泣ける「しんちゃん」復活!大人ガチ泣きの名シーン選
提供:BANDAI V
国民的幼稚園児クレヨンしんちゃんが映画になった『映画クレヨンしんちゃん』シリーズを、子供向けギャグアニメと侮るなかれ。実は、映画ファンだったら誰もが注目するアカデミー賞の受賞作品にも負けず劣らずの感動をもたらしてくれる映画なのです。ドラマチックな物語の展開、練り尽くされた脚本、圧倒的なスケールは、もはや名作映画の域。「そんなこと……いまさら、知っているよ! 最近割とギャグ路線だけどね」……とおっしゃるマニアなアナタには、今年公開された『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』をぜひ観ていただきたい。前々作『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』もしかり、「泣ける」「感動する」作品として復活したとファンの間では話題になっています。「しまった、子供向けと思ってしんちゃん自体スルーしていた」という映画ファンの方にもおススメしたい、『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』ほか号泣必至のアカデミー賞級の感動作を劇中の名言とともに選んでみました。(編集部・井本早紀)
後ろ姿で涙をこぼす…『映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』
今やアニメ界のキーパーソン原恵一&水島努コンビの泣かせの技術が光り始める映画第6作のキーを握るのは、故・塩沢兼人さんが声を担当した『クレしん』重要キャラクター「ぶりぶりざえもん」。主人公の野原しんのすけが生んだ半裸タイツの正義の味方ぶりぶりざえもんが、彼の知らないところで世界を滅ぼすことができる悪の存在と化していたら……悪のぶりぶりざえもんを説得するしんちゃんのお話には心にグサッとくる深さがあります。しんちゃんの中のぶりぶりざえもんは、泣いている女性をスルーしようとしたり、助けるときに見返りを求めたりとちょっぴり悪いヤツだけど、なんだかんだで泣き続ける小さな女の子にも手を差し伸べる本物のヒーロー。自分のあるべき姿を自覚したぶりぶりざえもんがたどる運命に号泣。声を上げず後ろ姿で涙をこぼすしんちゃんの演出にしびれます。
野原家の名言
「わたし、信じるわ。どんなバカな話だって、しんのすけが生きている可能性があるのなら。信じます!」(しんのすけの母・みさえ)
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人生をギュッと詰めた回想に涙腺が決壊『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』
どうして大人って昔を懐かしむんだろう、懐かしいってそんなにいいものなのかなあ……子供のときにはそう思っていたのに、気付いたらその大人になっていた。本作では昔に返りたがる大人たちと、今のままでいたい子供たちの戦いが描かれます。だけど大人と子供の力の差は歴然。それでもしんちゃんたちが戦う理由は「パパやママと一緒にいたい」というその一心だけ。しんちゃんの思いが通じて、しんちゃんの父・ひろしが催眠状態から覚醒するシーンはハンカチ必須。ひろしが父親の大きな背中を見て育った少年時代、淡い初恋を経験した青年時代、そして運命の人と出会って得た子供という宝物や数々の思い出を振り返っていくうちに、今のひろしにとっての一番の幸せは、残業してクッタクタになって帰る家で待つ子供たちの笑顔を見ることだったと気づくのです。この一連の流れをセリフなしで展開させる監督の手腕は見事。しんちゃんの「オラがわかる……?」とうれしさと不安が入り交じった問いかけに、ギュッとしんちゃんを抱きしめるひろしの姿に涙がとまらなくなるはず。
野原家の名言
「俺の人生はつまらなくなんかない! 家族がいる幸せをあんたたちにもわけてあげたいくらいだぜ!」(ひろし)
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生きるとは?死ぬとは?『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』
前作の『オトナ帝国の逆襲』に続き、傑作と名高い『戦国大合戦』。ストーリーの出来の良さから、草なぎ剛主演で映画『BALLAD 名もなき恋のうた』としてリメイクされたほど。でもでもシリアスなシーンが引き締まるのは、良質なギャグがあってこそ! ギャグとシリアスの美しいバランスを感じ取れる作品です。戦国時代にタイムスリップして、いなくなってしまったしんちゃんを探すために、自ら戦国時代にタイムスリップしてきた父・ひろしや母・みさえ。日本刀を構える相手の前に四の五の考えずに飛び出していく普通のサラリーマンと主婦であるひろしとみさえの愛が本当にステキ。「しんのすけのいない世界に未練なんかあるか!?」という命懸けで戦う覚悟にも涙。だけどもっとぼろ泣きしちゃうのは「ギャグ作品のお約束」を裏切ったラスト間際のシーン。生きるとは、死ぬとは。爆泣きしたいときに観たい名作です。
野原家の名言
「過去に行けたとしてどうやって帰ってくるの!?」(みさえ)
「知らん! しんのすけのいない世界に未練なんかあるか!?」(ひろし)
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ホンキの初恋相手『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』
この作品までしんちゃんが好きになる女の子は、女子高生以上の「おねえさん」な女性でした。しかし本作のヒロインは中学生くらいの女の子・つばきちゃん。はじめは好きじゃないと否定していたしんちゃんですが、いつの間にかつばきちゃんは、彼にとっての永遠の憧れの女性・ななこお姉さんを超える存在になっていました。5歳児なりに将来を本気で考えたしんちゃんの“初恋”の相手。その恋の行方は本作最大の謎と共に明らかになります。1回目に気付いて泣いて。2回目にこれからを思いながら泣いて。そしてエンディングの歌にジーンときて。当時人気だった伝説の番組「内村プロデュース」とコラボしたエンディングは、夢見る子供を卒業したおじさんたちだからこそ歌える歌詞。『オトナ帝国』『戦国大合戦』を作った原恵一&水島努コンビの最後の作品は、実に味わい深い仕上がりになっています。
野原家の名言
「見ていられないなら、なんとかすればいい!」(しんのすけ)
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自分はいったい誰?『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
ずばり「しんちゃん=泣ける」と再注目を浴びるきっかけになった作品がこちら。「クレしん」を制作しているシンエイ動画が育ててきた高橋渉が監督を務め、劇団☆新感線の中島かずきが筆を執った本作では、父親の復権をもくろむ組織によってロボットにされてしまった父・ひろしこと、ロボとーちゃんが大活躍します。しかし同じ記憶を持っていれば、ロボとーちゃんとひろしは同一人物なのでしょうか? 記憶を移植したロボとーちゃんは今までのひろしのように動きます。同じようにしんちゃんに話し掛けます。しかしバグも起こります。ロボとーちゃんに戸惑う妻・みさえとしんちゃん。けれどもそれはロボとーちゃんにとっても同じこと。自分はいったい誰なんだ? 非常に残酷な方法で提示される答えには、胸が張り裂けそうになること間違いなし。子供を、家族を助けなければという父親としての記憶に準じて動くロボとーちゃんに、しんちゃんが小さな体で大きな宣言をするさまには目頭が熱くなります。
野原家の名言
「おしつけることがしつけじゃねえんだ!! 自分からやらなきゃ意味がねえんだよ!!」(ひろし)
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母の愛が心に刺さる!『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』
『ロボとーちゃん』の高橋監督が劇団ひとりとタッグを組んで再び泣かせにきた、まさにお子様向けの皮をかぶった大人向け作品。母親に関するトラウマのせいで悪夢しか見られなくなった女の子・サキを救うため、彼女の父親は周囲の人間に悪夢を肩代わりさせる装置を作り上げます。ですがそれを知るサキは悪夢をまき散らす原因の自分には友達なんてできるはずないと、自分から一人ぼっちになってしまいます。それぞれの正義を抱えるがゆえに苦しむ不器用な人々の機微。それを表現する『もののけ姫』『パプリカ』などの三原三千夫がデザインした色彩豊かな画面にもご注目。そして本作で語られるしんちゃんの母・みさえが、子供に嫌われながらもしつけをやめないワケに涙がぽろり。たまにヒステリックになっちゃうけど、誰よりも自分の子供を愛していたい。リアルなママの本音は、特に女性であれば心に刺さるものばかり。お母さん方、これから母になる人、そして親と一緒に子供時代を過ごした全ての人にオススメしたい、“お母さんの愛”が染みる一作です。
野原家の名言
「優しくしてくれるパパばっかりに甘えんな! 好きで嫌われ役やってんじゃないわよ! 嫌われたっていいから自分の子供を守りたいだけ」(みさえ)
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そのほかにも、笑いすぎて涙が出てくるラストの3分間追いかけっこを何度も繰り返し観てしまう『映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』などもエンターテインメントとして最高! 6選なんかじゃ到底収まりきらないんです~~~『クレしん』マジでいいから見てほしい~~~!!
(C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK