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蒼井優&高畑充希、こんな顔観たことない!:コンペティション部門ヒロイン映画4選

第29回東京国際映画祭

杉野希妃、松居大悟という30代若手監督の野心作をはじめロシア、イタリア、イラン、トルコ、フィリピンなど、世界各国から集まった1,502本の中から選ばれた16本。本部門のプログラミングディレクター・矢田部吉彦氏が全作品の注目ポイントをズバリ解説します!

『アズミ・ハルコは行方不明』

アズミ・ハルコは行方不明
(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

製作国:日本
監督:松居大悟
出演:蒼井優高畑充希太賀

突如、街中に拡散される、女の顔のグラフィティアート。無差別で男をボコる、女子高生集団。28歳のOL安曇春子の失踪をきっかけに一つの街で交差する、二つのいたずら。なぜハルコは姿を消したのか?

【矢田部氏のここに注目!】
この作品には松居大悟監督の“今しか撮れない、自分の世代の作品を撮るんだ!”という気概を感じました。主演が(監督と)同い年の蒼井優さんで、彼女に自身を投影しているところもある。今後が楽しみな監督の意欲作です。

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『サーミ・ブラッド』

サーミ・ブラッド
(C)Nordisk Film Production Sverige AB

製作国:スウェーデン=デンマーク=ノルウェー
監督:アマンダ・ケンネル
出演:レーネ=セシリア・スパルロク、ミーア=エリーカ・スパルロク

1930年代、スウェーデン北部の山間部で暮らすサーミ族は、劣等民族とみなされ差別的な扱いを受けていた。従属を拒んだ少女は、運命を変えようと決意する……。自らサーミ族の血を引く監督が、先の世代の体験を力強いヒロインに託し、ラップランドの美しい自然の中で描く感動的なドラマ。

【矢田部氏のここに注目!】
スウェーデンの山間部で暮らすサーミ族が、劣等民族という差別を受けていた1930年代の物語。サーミ族の血をひく監督が、両親、祖父母の物語を屈辱的な仕打ちに抗う少女に託して力強く描いていて、とても感動的です。

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『私に構わないで』

私に構わないで
(C)Kinorama, Beofilm and Croatian

製作国:クロアチア=デンマーク
監督:ハナ・ユシッチ
出演:ミア・ペトリチェヴィッチ、ニクシャ・ブティエル

クロアチアの海岸沿いの町、ヒロインは問題の多い家族と窮屈な暮らしを送っている。不幸ではないが、決して幸せでもない。そして予期せぬ出来事が、家族の光景を変えていく……。内気なヒロインの心理に寄り添い、絶妙な設定とリアリティーあふれる監督の演出センスが光る人間ドラマ。

【矢田部氏のここに注目!】
家族に縛られている20代の女性が主人公で、最初は憎たらしかった家族がだんだんイイ人たちに見えてくる監督の演出が見事です。誰もが思う家族に対する愛憎を絶妙に視覚化していて、クロアチア映画の勢いを感じます。

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『7分間』

7分間
(C)Goldenart Production S.r.l. - Manny Films - Ventura Film - 2016

製作国:イタリア=フランス=スイス
監督:ミケーレ・プラチド
出演:オッタヴィア・ピッコロ、アンブラ・アンジョリーニ

リストラ計画が進行する繊維工場。さまざまな背景と事情を持つ女性労働者たちは結束して交渉にあたるが、工場側は奇妙な提案を出してくる……。揺れ動く人間心理を丁寧に見つめた、スリリングな心理ドラマ。

【矢田部氏のここに注目!】
俳優でもあるミケーレ・プラチド監督の新作。女性労働者たちがリストラを迫る会社側が出してきた奇妙な条件をめぐって議論を戦わせる内容は、あの『十二人の怒れる男』(1957)を彷彿とさせます。とても見応えがあります。

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