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娼婦を取材するジャーナリストが目にしたのは…:コンペティション部門さまざまな職業人のリアル

第29回東京国際映画祭

杉野希妃、松居大悟という30代若手監督の野心作をはじめロシア、イタリア、イラン、トルコ、フィリピンなど、世界各国から集まった1,502本の中から選ばれた16本。本部門のプログラミングディレクター・矢田部吉彦氏が全作品の注目ポイントをズバリ解説します!

『フィクサー』

フィクサー

製作国:ルーマニア=フランス
監督:アドリアン・シタル
出演:トゥドル・アロン・イストドル、メフディ・ネボウ

売春をしていた少女がパリからルーマニアに強制送還された。事件を取材するテレビクルーを手伝う記者は手柄を立てようと張り切るが、少女への面会は難航し、記者の前にヨーロッパの闇が立ちはだかる……。ルーマニア期待の監督による、現代社会におけるモラルのあり方を問うスリリングなドラマ。

【矢田部氏のここに注目!】
テレビクルーのコーディネーターが娼婦の取材に難航するところから、ジャーナリズムの職業倫理やヨーロッパの闇が浮き彫りになりますが、この監督は社会と個人をスリリングに描くのが上手ですね。

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『誕生のゆくえ』

誕生のゆくえ

製作国:イラン
監督:モーセン・アブドルワハブ
出演:ヘダヤト・ハシェミ、エルハム・コルダ

映画監督の夫と、舞台女優の妻。妻が第2子を妊娠し、経済力と互いの仕事を理由に中絶を夫婦で合意するが……。たたみかける会話の応酬が、日常の家族の風景を緊迫した人間ドラマへと押し上げていく。普遍的なテーマの中、随所に現代イランが直面する問題が垣間見える。

【矢田部氏のここに注目!】
中年夫婦が第2子の中絶を検討しているところから始まる本作は、そこからイラン特有の考え方やイスラム文化の風習、現代のイラン社会を浮き上がらせる語り口が見事。イランの芸術表現の壁が裏テーマにもなっています。

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『天才バレエダンサーの皮肉な運命』

天才バレエダンサーの皮肉な運命
(C)Sergey Bezrukov Film Company

製作国:ロシア
監督:アンナ・マティソン
出演:セルゲイ・ベズルコフ、アナスタシア・ベズルコワ

バレエ教室を営む傲慢で最悪な性格のアレクセイは、かつては将来を嘱望された天才ダンサーだった。突然、実の子が現れたうえに腰痛が悪化し、彼はある決意を固めるが……。美しいサンクトペテルブルクを舞台にした、起伏に富んだヒューマン・コメディー。マジカルなカメラワークにも注目。

【矢田部氏のここに注目!】
傲慢なバレエ教師をめぐる物語ですが、著名な指揮者(ヴァレリー・)ゲルギエフも本人役で登場する、虚実入り乱れた豪華でスケール感もあるエンターテインメント作品。トリッキーなカメラワークも楽しくて、ロシア映画の印象が変わります。

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