ウーマン村本、命懸けで国家権力と戦ったスノーデンに感動!
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、村本もその生き方に共感! 政府による国民監視の実態を内部告発した青年の実話を巨匠オリヴァー・ストーンが映画化した『スノーデン』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・入倉功一)
真実を明かすか黙るのか、正義はどっち?
村本:面白かった!
中川:難しくて理解できない言葉がたくさん出てきたけど、話の筋はちゃんとわかるようになってて、面白かったわ~。
村本:エドワード・スノーデンって名前は頭の片隅にあったけど、映画を観るまでは米国政府の秘密を暴いてロシアに逃げた奴がいるなっていうくらいの、ちょっと悪いイメージがあったのよ。けど、リスクを承知で立ち向かうっていう意味で、彼のやったことはすごいことやと思ったわ!
中川:確かにすごいと思ったけど、僕は知らなくていい情報は知りたくないってタイプやから、この人を理解はできんかったかな。知らんかったら、もっと幸せにすごせるのにって。
村本:ばれんかったら浮気じゃないみたいに言うなぁ……(あきれ顔)。
中川:別に相手がしていても、僕にそれを言わんでいてくれたらええわ。
村本:そんなの家畜と一緒やんか……。餌だけ与えられて何の疑問も抱かずに飯だけ食っていればいいって自発性なさすぎ! スノーデンは、国民に真実を教えたうえで「さあ、選択してください」って言ってるわけや。
中川:でも、それが聞きたくない真実やったら嫌やん? この間、子どもを寝かせて嫁と2人っきりになった時にちょっとお酒飲んでて、「この前、帰って来るの遅かってんけど、浮気とかしてんじゃない?」って聞いたら「してないよ。何でそんな疑うの」ってもめごとになってしまって。それでも、「ほんまのこと言え。おまえ浮気しているやろ」って責めたら「あんたも浮気してるやん!」ってキレられて。
村本:……ん? 「も」ってことは当たってたってこと? 結局おまえは浮気してないの?
中川:しとるよ。
村本:堂々と言うなよ! しかもこの場で言うてしまってバレバレやん。おまえが嫁にしてることもスノーデンと同じやで。
監視社会の恐怖実話!
村本:俺も常に誰かに監視されているんじゃないかっていう不安はあるなぁ。ウチのテレビなんて、小さいカメラがウィーンって立ち上がるようになってて、誰かに見られてる気分になるから(カメラに)ガムテープ貼ってるもん。電源入れると、必死に立ち上がろうとするのがまた怖い! 店員さんなんかも疑ってしまって、携帯を修理にも出せんし。
中川:僕はそこまで疑り深くないなぁ。のぞかれてるかもって思ってもパソコンの前で全裸になれるで。
村本:俺なんか、村本軍団を連れて遊んでいるとき、机に置いた携帯の録音機能をオンにしてからトイレに行ったことあるもん。
中川:えっ何してんの……(困惑)。
村本:俺のいないときに悪口言ってないか確認したくて。そしたら「今日、そろそろ帰りたくない?」みたいに言われてて、俺が現れるなりみんなが下を向くみたいなことが何回かあったわ。
中川:何ちょっとスパイみたいなことしてんねん。っていうか、本当に悪口言われとるし!
村本:後輩7人くらいの国やけどな。おまえも嫁という名のアメリカに監視されとるやんか。
中川:なんでや! でもな、嫁に反対されてるパチンコに行って、携帯のGPSで店にいるのがバレるから違う場所で電源切って打ってたら、携帯が「ブーン」って強制的に電源入ったことがあって! 嫁から電話かかってきて「あんたパチンコ屋おるやろう」って。パソコンにも大して詳しくない嫁がそこまでできるんやから、国レベルの組織になったらすごい事できるんやろなって、怖くなったわ~。
村本は吉本のスノーデン?
村本:自由に歩いていると思ってた道が、知らずに国によって違う道にすり替えられてしまっているかもしれない怖さも感じたな。メールすら監視され、管理され続けて。ここで声を上げないと、お上に好き放題されて本当の自由まで奪われるんじゃないかっていう恐怖から、スノーデンは告発を決心したように思えた。
中川:国に対する不信感もあったんかな。プログラマーとして作ってくれって頼まれたものが、自分が思っていない軍事目的で使われてたり。そうやって自分の仕事を信用できへんくなって、後々の告発につながっていった気がした。
村本:9割は納得したけど1割は納得できていないよ、みたいな。この“1”が積み重なって爆発する感じ、わかるわ~。漫才がウケてない師匠のギャラが俺らの10倍ぐらいで、何でなんだって思うこともあったけど、師匠のおかげでお客さんを呼べるわけで。結果的には稼ぐだけで、お客さんを満足させていないんじゃないかとも思うけどそういうもんなんや……って、この繰り返しよ。俺は吉本のスノーデンやな!
中川:うそ無しで全部言ってくれたら、不信感も持たへんのにな。
村本:スノーデンにとっての真実とアメリカにとっての真実って、多分違うんやろうけど、相手が政府で情報なんていくらでもねじ曲げられそうなのに、真実が映画になって俺らのところまで届いたっていうのもね。リスクを覚悟で報道を決意したイギリスのガーディアン紙とか、いろんな支援者の力があってたどり着いたんやろうなって思って、そこも感動した! 『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』なんかは、数学者アラン・チューリングさんの戦時中の業績をようやく今になって描けたわけやけど、この映画はほんのちょっと前、オバマ政権のころに起きたことをしっかり扱っている。この監督の姿勢もすごいわ!
これだけは言いたい!ななめ見ポイント
村本:スノーデンが最後の方で、全てを捨てたけど心の声に従ったからいいんだみたいなことを言うやん? あの気持ちもすごくわかる! 昔、あるタレントさんと討論番組に出た時、AかBどちらかの立場を選ぶっていうテーマでAにしたいって言ったのに(局から)「Bに変えてくれませんか」って言われたことがあって。
中川:そういう、これ言ってくれっていうのあるよな。
村本:「他のタレントさんと対決してもらいたいから逆のことを言ってください」って。俺は本当に思っていることじゃないから拒否したんやけど、「そこを何とかなりませんか」って言われて1回はのんだわけ。でもやっぱり我慢できなくて、操作があったことを告発したのよ。
中川:二度と呼ばれんかもしれんリスクを取ったわけや。
村本:ちょうど告発は良いことか悪いことかっていうテーマで、「僕は今、告発をしました。もしこれが良いことであれば、僕はまたこの番組に呼ばれると思います」って。結局また呼ばれたんやけど、呼ばれなかったとしても、スノーデンと同じで後悔はなかったと思う。
中川:心の声に従ったわけやな。
村本:そう! あと、前に「人志松本のすべらない話」に出た時、現場で全然ウケなくて。納得いかんから、ライブで全員分のエピソードを自分の話のようにしゃべって、多数決でどれが一番面白かったか聞いたこともあったな~。そうしたら、お客さんの反応で誰が本当に一番面白くなかったかわかるから。
中川:ホンマ、危険なことするなよ!
村本:結果、一番面白くなかったって言われたのが俺の話やったわ……。でも心の声に従った時は後悔ないで。毎回スッキリや!
中川:公正なジャッジ下されとる!
今月の激オシ映画はコレ!
名匠オリヴァー・ストーン監督が、アメリカ政府による国際的な個人情報監視の事実を暴き世界を震撼(しんかん)させた「スノーデン事件」の全貌に迫る人間ドラマ。CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員だったエドワード・スノーデン氏がキャリアや恋人との幸せな人生を捨て、重大な告発を決意するまでの過程を描く。スノーデン氏をジョセフ・ゴードン=レヴィット、その恋人をシャイリーン・ウッドリーが演じるほか、オスカー女優メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソンらが脇を固める。
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。「AbemaNews」チャンネルのニュース番組「AbemaPrime」(毎週月~金曜日21:00~23:00生放送)にて月曜レギュラー出演。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。