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男がほれる男たちがスクリーンによみがえる!

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(C) 大島渚プロダクション

 映画史に残る名作を1年間にわたり連続上映する「午前十時の映画祭」は、思い出の作品から、いままで見逃していた名作を映画館で観られることから支持を得ている企画です。10月には黒澤明監督のサスペンス作品2本が4Kリマスター版で上映されるほか、日本映画界で今も輝きを放つ名作の数々が登場予定。そんな名作の中から、誰もがしびれた印象的な「男の人生」を紹介します。(文:森田真帆)

冷静沈着で硬派な正義感 『天国と地獄』の仲代達矢

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(C) 東宝

 黒澤監督の映画『天国と地獄』は、1963年に作られたサスペンス作品。三船敏郎演じる靴会社の重役・権藤の息子が誘拐されたと思いきや、実は誘拐されたのは、運転手の息子。それでも全てを投げ打って、子供を助けようとする権藤、そして仲代達矢演じる冷静沈着に犯人を追い詰めていく刑事。練りに練られた脚本と、息苦しくなるほどの長回しのカットが見応えのある一本。

 注目したいのは今や日本の演劇界、そして映画界を支える大御所の仲代が演じる戸倉警部は、正義感にあふれながらも感情を押し殺しながら犯人をジリジリと追い詰めていくクールな男。全財産をかけても誘拐された子供を助けようとする権藤の男気を受け止め、犯人逮捕に駆け回る硬派な昭和感がかっこいい! 罪なき子供を誘拐した許されざる犯人に対しての怒りが爆発する逮捕シーンでは、戸倉警部の人間らしい正義感にグッときます。

白スーツ姿がワイルドでセクシー 『野良犬』の三船敏郎

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(C) 東宝

 世界中の名監督たちがリスペクトしてきた刑事映画の原点とも言えるクロサワ映画の代表作。第二次世界大戦直後に東京で撮影された本作は、ゲリラ的な隠し撮りのシーンが数多く登場し、戦後の東京のリアルな姿が映し出されています。拳銃を盗まれてしまった若い刑事が、ベテラン刑事の助けを借りながら犯人を追い詰めていくサスペンス作品。若い刑事役を三船敏郎、そしてベテラン刑事を志村喬という黒澤映画の常連となる二人が熱演しています。

 本作で若き刑事の村上を演じる三船は当時29歳で、主演デビューを飾った『酔いどれ天使』の翌年に本作に出演しました。自分の銃が犯罪に使われるのではないかという焦燥感と若さゆえの激情で、ギラつく三船の目つきはワイルドでセクシー。日本人にはなかなか着こなせない白いスーツも、三船が着るとクールに決まっているのがすごい。雄のフェロモンが強烈に漂う、若き三船を堪能できます。

背中が語る男の悲哀 『夜叉』の高倉健

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(C) 東宝

 1985年に公開された、高倉健の主演作。高倉が演じるのは、かつて大阪のミナミで、「人斬り夜叉」と言われて恐れられたヤクザの修治が、再び己の心にある夜叉となっていく姿を描いた作品。修治の心を乱す謎めいたヒロインを田中裕子、修治を再び夜叉の世界へと引き戻すきっかけとなる存在をビートたけしが狂気あふれる演技で魅せる、任侠映画の傑作です。

 高倉が演じる役はいつも寡黙で、不器用で優しい。本作で演じた修治も、背中に入った刺青を隠しながら、妻子を守り続ける寡黙な男。そして自分が惚れた女のために、どこまでも不器用にその愛を表現する! 今の時代には出会えないであろう、無骨な昭和の男なのです。夜叉の刺青を背負った、高倉の背中から漂う男の哀愁にしびれます。

粗暴さと人間らしさのギャップ 『戦場のメリークリスマス』のビートたけし

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(C) 大島渚プロダクション

 大島渚監督が世界に衝撃を与えた、映画『戦場のメリークリスマス』は、俳優ビートたけしの原点とも言える作品。ジャワ島の日本軍捕虜収容所を舞台に描いたのは、戦争ではなく人間同士の愛。主要キャストにデヴィッド・ボウイ坂本龍一という二人のミュージシャンを起用したほか、内田裕也ジョニー大倉などのロックンローラーをキャスティングするなど、異例すぎるキャストが注目を集めた。中でも、最も話題を呼んだのが当時コメディアンとして大人気だったたけし。

 本作でたけしが演じたのは、当時の日本軍を象徴するような存在のハラ軍曹。捕虜に対して、とことん追い詰めていく鬼のような顔を見せたかと思えば、クリスマスイブの夜、酒に酔った際にふと見せる人間的で愛嬌のある姿。ただ残虐なだけではない、日本兵である前の人間としての魅力は、のちに世界のたけしとなる俳優・ビートたけしだからこそできた表情でしょう。

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