『名探偵コナン』青山剛昌によるキャラクター豆知識 鈍感王は…平次、お前やっ!!
劇場版第21作『名探偵コナン から紅の恋歌（ラブレター）』では、服部平次＆遠山和葉の関西幼なじみコンビが大活躍！ 東の名探偵・工藤新一のよきライバル・そして相棒として長年描かれてきた平次たちが久々に劇場版で大暴れするということで、毎年映画の総監修を務めている原作者の青山剛昌氏が、キャラクターのちょっとした豆知識を教えちゃいます！
今年の主役はもろたで工藤！服部平次
Q：『から紅の恋歌』では恋愛模様も展開します。ヤキモキする恋愛をしている工藤新一と服部平次ですが、ズバリどちらが鈍感王なのでしょう？
鈍感王は工藤新一よりも服部平次ですよね。新一と比べて、まだ恋愛感情に気づいてなかった時期もありましたから……（笑）。それと新一は告白しちゃったのに、平次はまだウダウダしていますからね。
Q：平次を描く際に気を付けているところは？
ビジュアル的な面でいうと、平次は眉毛に気を付けて描いています。あとチョンととんがっている髪の毛の角度も重要ですよね。それから彼が色黒になったのには、新一と対比するという意味合いもありました。（彼が出た）当時、色黒キャラはまだいなかったので、これは出したいな～という気持ちがあって。最初は（父親の）平蔵を色黒キャラにしようとしていたんですよね。でもトーンを貼ったら、「え……どこの国の人だ!?」ってなっちゃって。それで平次の色黒は祖父の遺伝ということにしました（笑）。母親の静華に貼るわけにもいかないしな～と思って。祖父見てみたいですか？
一番気にしているパーツはポニーテール！平次の幼なじみ・遠山和葉
Q：和葉を描く際に気を付けているところは？
和葉はポニーテールをかなり意識して描いているキャラクターです。そういえば漫画では結んでいるリボンは赤色なんですが、アニメでは黄色ですよね。そして和葉は蘭よりも積極的で。「好き」と自分で言っちゃっていますしね。でもそれでスッキリしちゃっている面もあるんじゃないかな……。
意外なクイーン！平次の母・静華
Q：今回は平次のお母さんの静華も登場しますね。
今回久々の登場ですね。静華が出ている話は「偽りだらけの依頼人」（テレビアニメ2001年放送）、「服部平次 VS工藤新一 ゲレンデの推理対決！」（2007年放送）とかなので、何年ぶりくらいなんだろう……。声優さんは変わらずに勝生真沙子さんですよね。
映画に静華を登場させるというのは、自分からの提案でした。かるた初心者の和葉が大会に出て～のくだりで「ウソだろ!?」とさせないようにするため、百人一首の元クイーンと特訓させようということで。静華をクイーンにしよう！ という流れになったんです！
和葉の恋のライバル！大岡紅葉
Q：紅葉のキャラクターはどのようにして作られたのでしょう？
本作は「ちはやふる」（作・末次由紀）の影響をかなり受けているんですよ。紅葉も「『ちはやふる』のクイーンの若宮詩暢ちゃんの真逆にしよう！」と。京都でかるた強くて……となると詩暢ちゃんのイメージが強くなってしまうので。「ちはやふる」の詩暢ちゃんは黒髪でツリ目、ネイルとかもしなさそうな女の子ですが、紅葉は本当に真逆です（笑）。今作の企画会議では「ちはやふる」のファンの自分が一番、熱が入っていたと思います（笑）。
今作でも大活躍！江戸川コナン
Q：コナンくんを描く際に気を付けているパーツはありますか？
コナンを描くときには、目とメガネのバランスは気を付けています。目を描いて、輪郭を描いて、メガネの順で描いています。メガネは大事なんですよ。今回も原画はいくつか担当していますが、作画の方がうまくなっていますよね。平次とかの部分でも「俺が描いたんじゃないの!?」と思うところがありました（笑）。
髪型はやっぱり意識しているんです！ヒロイン・毛利蘭
Q：最近はグッズでも蘭の頭のトンガリを意識されたものもありますが、先生も描くときに意識されて？
蘭の頭のトンガリはかなり意識しています。（トンガリがあれば）絶対蘭ってわかるじゃないですか。「あ……蘭だっ！」って。それがいいと思うんです。以前はウェーブがかかっている普通の髪型だったんですけれども、いまいち見分けがつかないな……と思って、徐々にとんがってきちゃいました。
Q：本作の劇中でもそうですが、ほかの登場人物たちが次々にスマートフォンを使用していく中で蘭はガラパゴス携帯のままですよね。その理由は？
みんなスマートフォンなのに、蘭だけガラパゴス携帯を使っている理由は、ファンの皆さんからのお願いからなんです。ファンレターで「わたしもガラケーなので、蘭はガラケーでいてください」とたくさん届いて。それで「ガラケーのままにしないとな」って。それとガラケーの場合には開いたり閉じたりで電話の描写ができるので、（シーンに合わせて）使いやすいというところもあります。あとスマホはストラップ付けづらいしね（笑）。
一番作者と似ている!?毛利小五郎
Q：小五郎を描く際に気を付けているところは？
一番自分が気を楽にして描けるキャラクターですね。描きやすくて！ 俺に一番近いから、投影しやすいんですよね。チャランポランだし（笑）。小五郎ならこう言うだろうな～と。俺は工藤優作ではないです。毛利小五郎なんです（笑）。
役割がちゃんと分担されている！少年探偵団
Q：少年探偵団の子たちを描く際に気を付けているところは？
難しい言葉は光彦にしゃべらせる。食べ物関係は元太と決まっています。そして「すごーい」などと最初に気付くのが歩美ちゃん。だから（景色を見た時に）「わー」と歩美ちゃんが感嘆した後に、「あの柿の木うまそうだな」って言うのが元太。その後に「樹齢〇年だそうですよ」と説明するのが光彦なんですね。三段オチになっています。
ちょっぴり怒るシーンもあったかも？灰原哀
Q：今作での灰原の裏話をお願いします！
実は映画ではなくなっちゃったんですけれども、コナンからの頼みごとが2回も3回も続くことに灰原がぶち切れて、饅頭とかのお土産リストをガーッと言うエピソードも予定していたんです（笑）。けどカットするなら俺もそこかなと思いましたから。でも残念！
Q：灰原は生い立ち含めて特別なキャラクターですよね。彼女にも今夢中になっている方はいますがそれは“憧れ”どまりなのかなと……今後彼女が恋をすることはあるのでしょうか？
彼女は少年探偵団の中にはいますが、（コナンと同じく大人が子供になったという事情もあり）うがったクールな考え方でしゃべりますよね。最近彼女にとっての憧れの人がいますが、それはやはり憧れで。でも灰原も恋はしているんですよ（笑）。
メインではないけど重要キャラクター・警察官の描写について
Q：メインではないですが、警察関係者などはコナンにおいては重要なキャラクターですよね。描く際に気を付けているところは？
ウソっぽくならないようにしています。例えば昔の刑事ドラマでは「これを鑑識に回せ！」とか命令口調になったりしているんですけれども、警視庁に取材へ向かったときに「鑑識は刑事の部下じゃないですからね」と言われまして。なので鑑識さんに話すときには「～してください」などの口調にしていたりとかしています。部署が違いますしね。
取材・文：編集部・井本早紀
『名探偵コナン から紅の恋歌（ラブレター）』は公開中
