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映画たて・よこ・ななめ見!

初めてでも楽しめる?村本大輔&中川パラダイス『トレインスポッティング』続編を観る

映画たて・よこ・ななめ見!

ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、村本もその生き方に共感! 1996年に公開され大ブームになった青春映画20年ぶりの続編『T2 トレインスポッティング』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆)

前作を未見の村本と、前作ファンの中川、反応は……?

T2 トレインスポッティング
スパッド、レントン、シック・ボーイ、ベグビー。あの4人がついにカムバック!

村本:俺、前作は観てなかったけど楽しめたわ!

中川:え!? あんなに流行ってたのに観たことなかったん?

村本:そんなに流行ったん? この映画。

中川:めっちゃ流行ってたよ。キャラクターのTシャツ着てるやつとかめっちゃ周りにおったし。ちょっとおしゃれな子とかは部屋にポスター貼ってたりして。

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T2 トレインスポッティング
『トレインスポッティング』(1966)の村本版レントン Polygram Filmed Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

村本:10代の頃なんて毎日泣いてたからな。そんな余裕なかったわ。

中川:泣いてたってなんで?

村本:人生を嘆いててん。毎日悲しくて泣いててん。ばあちゃんにお小遣いもらってコンビニにアイス買いに行っても店が遠すぎてな。家帰った時にはばあちゃんと一緒に食べようと思ってたアイスが溶けてて悲しくて壁に向かって泣いてたわ。

中川:どこそれ、満州?

村本:福井や! 駅まで1時間歩いて、電車が1時間に1本しか走ってないねんから『トレインスポッティング』もクソもないやろ。そんなカルチャー届いてないわ!

中川:悲しいな(笑)。僕なんて3回くらい観たで!

T2 トレインスポッティング
中川版シック・ボーイ。目がコワい…… Polygram Filmed Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

村本:前のと結構つながってんの?

中川:20年前やから、あんまりストーリ覚えてなかった……。

村本:なんやそれ、全然意味ないやん……。

中川:いやでも映画観ると、1作目のシーンとかエピソードが時々出てくるから、「ああ、あんなことあったなあ!」って思い出しながら観れたのは懐かしくて面白かったわ。

村本:俺は前作知らんかったし、あえて観てこなかったのよ。だって若い子たちは多分続編を先に観ることになるやろ。前作を観てから観るかちょっと考えたけど、そうすると前作を観たことのある人に寄った感想になってしまうから。実際カッコよくて最高やった。今日観たおかげで1作目も観たくなったわ。なんていうか、あの空虚感というかな。なーんもやることなくて、裕福な生活とも程遠い主人公たちが、ぼーっと床に寝っ転がってるの見てたら、昔の自分に重なった。高校やめてベッドの上で一日中天井見て過ごしてた、あの頃の自分は「無」やったから。映画の中で「未来を選べ」って出てきたけど、あそこから破滅の人生じゃなくて、今の芸人の人生を選べたことに幸せを感じたわ。

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パラ兄「村本は絶対レントンタイプ」と断言

T2 トレインスポッティング
シック・ボーイことサイモン(左)はパブ経営をしながら、ゆすりや売春で金を稼ぎ相変わらずヤクザな人生を送っていた……

村本:主人公もみんなキャラ濃かったな。シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)とか結局めちゃめちゃ裏切られてるのに最後まで気付いてなかったし。一番かわいそうやった。

中川:でもあの登場人物の誰に近いかって言ったら、村本は友達を裏切る主人公のレントン(ユアン・マクレガーやろ。親友の彼女と浮気するタイプや。

村本:そうだす。それがわたすだす。でもパラダイスの嫁と……って思ったことはさすがに……あったな。

中川:あんのか! 僕は中学生の頃からの幼なじみと未だに仲良いから、どんなにイラつくことあっても結局昔の話とかで盛り上がっているうちに仲直りしちゃうような関係って、めっちゃわかるわ。ぼくもシック・ボーイほど裏切られてはいないけど、「ONE PIECE」全巻友達に貸したら、それブックオフに売られたことあった。でもその時も結局許したし。だからあの親友同士の関係は共感できた。

T2 トレインスポッティング
スパッド(右)は相変わらずジャンキーで、仕事をクビになり妻子にも愛想をつかされ自殺しようとした矢先にレントンと再会する

村本:何それ、ちっちゃ! 御堂筋スポッティングはしょぼいなあ。

中川:35になっても、一緒に遊ぶとハタチくらいの頃にめっちゃ遊んでたみたいな感じに戻ってクラブでナンパしたりとかする。逆に今の方が「パーラダイス」で一発OKやしな。

村本:それ使えるって初めて知ったわ……。でもな、ああいう風にしか生きられなかった奴がおっさんになっても、一生懸命やんちゃを楽しんでる感じが良かった。別にイイ人に変わるわけでもなく、ずっと同じ感じでさ。日本でもヤンキーめっちゃ多い地元ってあるやんか。いわば、そういうとこの若い子たちがおっちゃんになった物語やな。イギリス版『岸和田少年愚連隊みたいな。

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20年後のウーマンラッシュアワーを想像してみた

T2 トレインスポッティング
前作で亡くなった仲間の一人、トミーを悼むシーンは前作をリアルタイムで観たファンには感慨深いはず

村本:でも20年後に同じキャストがそろうってすごいよな! 

中川:みんなおっさんにはなってるけど、カッコいいからすごいわ。僕たちは20年後にどうなってるんやろうなあ。

村本:20年後は55歳か。だいぶいってんなあ。どうなっとるんやろな。お笑いの世界はどんどんどんどん下の世代が出てきて、その度にスーッと消えて行く芸人というのは山ほどいるわけで。結局一握りの人達しか残らない厳しい世界やからな。そう考えると、もうテレビには出てないやろ! 俺はきっと村本軍団(村本と村本の後輩達で結成された軍団)と一緒に公園におるわ。

中川:暗い未来やなあ……(笑)。

村本:こないだオリエンタルラジオの藤森(慎吾)にメシ奢ったから。20年後ボロボロの服着た村本軍団全員でテレビ局行って、藤森捕まえて「あの時おごった飯代返してくれよ」って脅して。ほんで、女遊びがたたって病気になって鼻もげそうになりながら、一人寂しくツイキャスであいつの悪口言ってると思うわ。

T2 トレインスポッティング
血の気の多いベグビー(右)は殺人を犯し服役中と、最も悲惨な状況に。脱獄した彼はレントンの帰郷を知り、前作で仲間を裏切った彼と決着をつけようとするが……

中川:末期や……。でもウーマンラッシュアワーはもうおらんやろな。

村本:相方は節約して貯めまくって株で成功して家族と暮らし、俺は公園や。

中川:そういえば、なんで公園?

村本:公園には子供がたくさんおるから、子供眺めながら「俺にも家族がいたらこんな風やったんかな」って妄想しながら村本軍団と一緒にメチルアルコール飲むねん。20年後にその通りになったら、この記事持って「な? ほんまやったやろ」って言ったるわ。

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これだけは言いたい!ななめ見ポイント

T2 トレインスポッティング
いまだドラッグ漬けのシック・ボーイと、やめていたのについつい手を出してしまうレントン。人間、成長しないもので……

村本:ドラッグやってるシーン、めっちゃすごかった。ドラッグが普通に生活のすぐ近くにある環境って嫌やなあ。俺たちが全然知らん世界やもんな。

中川:うん。この監督、絶対ドラッグやったことあるんちゃうかな。それくらいドラッグの描写がめっちゃリアルやった。前作の時も(レントンが)トイレの中入っていったりするシーンとかすごかったけど、こんな感じになれんねやって。

村本:「めっちゃリアル」なんて言うってことは、おまえ本物知ってるからやろ! そうじゃないとそんなコメントおかしいわ! 「俺もやってたからわかるわかる」みたいな感じ出しやがって。

中川:ぼくも昔やんちゃでしたからね。

T2 トレインスポッティング
前作を未見の村本も、前作のファンだった中川も大満足な結果に

村本:いや自分で言わなくてええわ。それお前キャラにしようとしてるやろ。

中川:そんなことないわ! だって僕らのやんちゃなんて、もっと子供でこんなドラッグとかド派手な感じじゃなかったもん。クスリやったりとかじゃないよ。もっとなんやろ、100円ライターのガス吸ってる人がいたくらい。

村本:ほら。やっぱり御堂筋スポッティングはほんまに小さい。でもドラッグやってるシーンの例えは秀逸でおしゃれやったなー。スパッド(ユエン・ブレムナー)がヘロイン注射して頭からビニール袋かぶって死のうとしているシーンで、屋上から椅子のまま真っ逆さまに落ちて行くカットがパッと入ってきたり。映像がめっちゃカッコいい。男の不良版『アメリ』やったわ!

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今月の激オシ映画はコレ!『T2 トレインスポッティング』

『スラムドッグ$ミリオネア』でオスカーを手にしたダニー・ボイル監督が、アーヴィン・ウェルシュの小説を映画化した1996年の青春映画『トレインスポッティング』の続編。前作から20年後を舞台に、それぞれワケありの主人公たちの再会から始まる物語を描く。脚本のジョン・ホッジをはじめ、ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライルらおなじみのメンバーが再集結する。

オフィシャルサイトはコチラ>

ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。「AbemaNews」チャンネルのニュース番組「AbemaPrime」(毎週月~金曜日21:00~23:00生放送)にて月曜レギュラー出演。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

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