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『忍びの国』大野智インタビュー

30分で考えた自作のアクション

大野智

常勝・織田軍が敗戦を喫した「天正伊賀の乱」をモチーフにした和田竜の小説を映画化した『忍びの国』。本作で、伊賀一の凄腕の忍者・無門を演じたのがアイドルグループ嵐のリーダー、大野智だ。周囲から「虎狼の族」と揶揄されている人でなしの忍者という設定ながら、実にひょうひょうとキャラクターを演じた大野が、注目のアクションシーンのエピソードや嵐のメンバーの反応、事務所の後輩・Hey! Say! JUMP 知念侑李との共演の感想などを語った。

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バリエーションに富んだアクションシーン

大野智

Q:忍者を演じると聞いたとき、どんな感想を持ちましたか?

忍者のリアリティーにピンと来ていなかったのですが、原作を読んで「天正伊賀の乱」という出来事も知ったし、忍者のことも「本当にいたんだな」と実感しました。

Q:大野さんが演じた無門という役は、伊賀一の凄腕忍者という設定でしたが、イメージは湧きましたか?

心に思っていることを表面に出さない人物ですが、(石原さとみ演じる妻の)お国と出会ったことによって、確実に気持ちが変化していくといった深い人間ドラマも描かれているし、身体能力を生かしたアクションシーンもいろいろなパターンがある。盛りだくさんだなと思いました。

Q:いまお話にあったアクションシーンは、見せ場の一つですね。

鈴木亮平 演じる)平兵衛との真剣な一騎打ちのシーンがあったり、(満島真之介 演じる)次郎兵衛のシーンではお遊びが入っていたり、殺陣のバリエーションは豊富ですね。

通販で買った器具で役づくり

大野智

Q:アクションの準備はどうやってされたのでしょうか?

ドラマの撮影が終わってすぐ、映画のクランクインだったので、正直あまり時間がなかったんです。撮影をしながら合間で殺陣の練習という繰り返しでした。ただ、中村(義洋)監督からは「体を柔らかくしておいて」と言われたので、通販で足が広がる器具を買って準備はしました。でも撮影中、体が柔らかくないといけないシーンはほとんどなかったんですけどね(笑)。

Q:一番大変だったアクションは?

ワイヤーアクションですね。大変というか、カメラアングルを含め、スタッフさんと呼吸を合わせることが必要なので、何十回もテイクを重ねたシーンもありました。でも僕よりスタッフさんの方が大変だったと思いますよ。僕はつるされているだけなので、高いところから海が見えたりして、結構癒やされていました。

大野智

Q:大野さんが考えたアクションもあったとか?

槍で包囲されて突かれるシーンですかね。その撮影の前に、平兵衛との殺陣を3日間撮っていたのですが、中村監督にとっては、そこがクライマックス的な感覚があったようで、僕自身も結構達成感でぐったりとしていたんです。そうしたら急に呼び出されて「相手の動きを面白く避けている感じのアクションを考えてくれ」って言われたんです。

Q:前触れもなく急に言われたのですか?

そうなんです。「マジか」と思って「30分ぐらいください」と言って、その場で考えたんです。自分なりに結構面白い感じになったなと思っていたのですが、長く撮っていたわりには、本編でそこまで使われてなかったんですよね(笑)。

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俳優の仕事は出張に行くような感じ

大野智

Q:映画の出演は久々ですね。

最初に話を聞いたのは、2015年の年末ぐらいでした。「時代劇アクション」とだけ言われて。『映画 怪物くん』でご一緒した中村監督だったので、久々に会えるなといううれしさはありました。でも、会ったときにいきなりアクション資料を見せられたのですが、結構すごくて「これやるの?」と驚いた記憶がありますね。

Q:嵐での活動と俳優の仕事では意識は違うのでしょうか?

やっぱり違いますね。5人でいるときは5人の空気感の中で仕事をしていますが、俳優の仕事だと一人なので「ちゃんとしなくちゃ」という思いは強いです。撮影が終わって5人の仕事になると、そこでスイッチが切り替わる感じです。出張に行って、帰ってくるみたいな。

Q:同時期に松本潤さんや二宮和也さんも映画の撮影に入っていたとお聞きしましたが、お互いの作品の話はされたりするのですか?

芝居の内容とかよりも「いまどこまで進んでいるの?」とか「いつ終わるの?」とかスケジュールの話はしますね。今回の撮影中に、ニノが現場に顔を出してくれたのですが「リーダーの作品観たい」と言ってくれましたし、相葉(雅紀)ちゃんも「観る」と言ってくれました。

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知念侑李とようやく一緒に仕事できた

大野智

Q:無門にとってお国はどのような存在だと思いますか?

孤独だった無門にとって、お国との出会いは特別で、言ってみれば一目惚れだったのでしょうが、術もかからないし、家にも入れてもらえない。でもそばにいるだけで幸せという、とても大切な存在ですよね。

Q:その他、印象に残ったキャストはいますか?

(音羽の半六役の)きたろうさんは(ドラマ「魔王」以来)8年ぶりぐらいにご一緒したのですが、相変わらず「本当にすごくなったな~」と話しかけてくださって、こっちも「いやいや~」みたいなトークをしました(笑)。まったくお変わりなくてうれしかったです。打ち上げの日に「今度飲もう」とお誘いいただいて、きたろうさんがメールアドレスを紙に書いてくれたんです。でも翌日、お礼のメールを送ったら、戻ってきちゃって。アドレス書き間違えているんですよね(笑)。

Q:大野さんのことが憧れだと言っている事務所の後輩の知念侑李さん(織田信雄役)とのお仕事はいかがでしたか?

向き合って一緒に仕事をしたのは、この映画が初めてでした。共演シーン自体は少なかったのですが、空き時間には「ようやく一緒に仕事できたね」と話をしました。一番体が動く彼のアクションシーンがほとんどなかったのが残念でしたけど(笑)。でも、出来上がった作品を観たら、彼のお芝居がすごく良かったです。

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取材後記

大野智

共演した石原さとみが大野について「スッと現場に入ってくる方」と表現していたが、インタビュー中のたたずまいも受け答えも自然体で、肩ひじ張ったようなところが感じられない。劇中で演じた無門も、伊賀一の凄腕忍者だが、どこかつかみどころがなく、ひょうひょうとしているところが、本人のキャラクターにリンクしているように感じられる。それでいて、激しいアクションシーンや、声を張り上げて仲間を呼び止めるシーンなどでは、抜群の躍動感とキレを見せる。何とも不思議で魅力的な存在だ。(取材・文:磯部正和)

映画『忍びの国』は7月1日より全国公開

(C) 2017 映画『忍びの国』製作委員会

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