ウーマン村本がノンスタ井上を擁護した真意
映画たて・よこ・ななめ見！
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は村本が俺を実写にした映画と共感！ 武器を待たず戦地で多くの人を救った兵士の実話『ハクソー・リッジ』をななめ見しちゃいます！（取材・文：シネマトゥデイ編集部・入倉功一）
中川、銃を持たない主人公に疑問
中川：主人公のドスって、映画で観るとすごい人やなぁってなるけど、もし僕が同じ部隊におったら、何言うてねんこいつってなりそうやわ。自分から戦争に志願してんのに、銃は持たれへんて。それで連帯責任でみんな走らされたり。
村本：夜中に仲間からボコボコにされたりしてな。
中川：僕も殴る側になってしまうかも。だって、撃たんでも練習の時だけ銃持ってたらええやんって思うもん。ホンマ変わってる人やわ。
村本：俺は逆に、ドスこそまともな人間やと思ったわ。野生の動物って、エサを取り合って殺し合ったりするやん。人間も戦争となると、勝手に白黒決めて殺し合いをする。そうやってみんなが動物になってしまう中で、ドスだけは、折れた方がいいと思われていても、人であることを貫いた気がする。
中川：そういう面もあるかもわからんな。
村本：NON STYLE の井上（裕介）が接触事故を起こしたとき、俺が「俺も怖いし逃げるかもしれない。そう考えたら単純に責められない」みたいなツイートして、めちゃくちゃたたかれたやろ。会社からも「だいぶ苦情きてます」って連絡があって。
中川：当て逃げしていいと言っているわけじゃ……。
村本：全く言ってない。ただ「ちょっと考えたらそういうもんやない？ もっと人に優しくなってもええんちゃう？」ってだけやのに、「人を殺したヤツにもそう言えるのか」みたいに飛躍する人もいたりして。テレビ関係の人に「損になるからやめた方がいいですよ」と言われたりもしたけど、俺はツイートを消さずに言い通した。だから、絶対に折れなかったドスの気持ちは本当にわかる気がする。
中川：おまえのそのへんの精神力はすごいよな。先輩にも言いたいこと言うて。
村本：俺もドスも、考えがシンプルな子供のままなんやろうな。まぁ俺とドスの大きな違いは、ドスは自分をいびった上官を戦場で助けるけど、俺やったらそいつを撃つかもわからんてことやで！
中川：そんな終わり方の映画嫌や……。
村本＆中川、凄惨な戦闘描写にうちのめされる
中川：戦闘シーンもすごくて、これまで観たどの映画よりも戦争ってひどいもんなんやって思ったなぁ。
村本：兵士の足がゾンビみたいにちぎれたり、なかなかのパンチ力やったな。監督のメル・ギブソンが、うれしそうに演出してるのが目に浮かぶようやったで。ただ、最初こそウッてなったけど段々と慣れてしまう。実際の戦争でも、こうして（感覚が）マヒして人が死ぬことが当たり前になってしまうんやろうなって思ったわ。
中川：もう地獄絵図。ドスはあんなところに武器も持たずに何度も戻っていくもんな。
村本：俺も昔、ドスみたいな体験あったで。300万人くらいフォロワーがいる韓流アイドルに似てるって言われたってツイートしただけで「おまえが似ているはずあるか！」って炎上して。
中川：すごいな！ もうめちゃめちゃやん。
村本：そこで俺のファンが「村本さんはカッコいいと思います」「村本さんは似てるなんて言っていません」って擁護してくれたんやけど、数が少ないから「ブスは黙れ」とか突入されまくって。俺はそこで、いったんTwitterを見ないようにしようと思ったのよ。
中川：え、何で。
村本：1日、2日もすれば騒ぎも無くなるやろって。でも、その間もファンが撃たれていると思ったら耐えきれなくて、結局は炎の中に戻っていったわけや！ ファンも「村本さん戻ってきてくれた。キャーッ！」ってなって。
中川：ヒーローやん！ 全然命の危険はないけど……。
村本：いや、あのときのTwitterはノコギリ谷（ハクソー・リッジ）よりも燃え上がっていたかもわからん。せやから、これは俺の映画を観ているような気分やった。
村本、「きれい」を連発する恋愛テクにNG
村本：ドスもそうやけど、飲んだくれのお父さんも良かったなぁ。
中川：お父さん役のヒューゴ・ウィーヴィングって、『マトリックス』のエージェント・スミス役の人やったんか！ わからんかったなぁ。
村本：あと、ドスの奥さん（ドロシー）役のテリーサ・パーマーがめちゃくちゃかわいい！ 映画館でデートするシーンの彼女にグッと来たわ！ ドスはドスで、めっちゃピュアで、キュンとした。
中川：そう？ ドスは不器用に見えてめっちゃ女の子が喜ぶツボを心得ているやん！ って思った。素直にかわいいって彼女に言って、「そんなことない」って返されたら「いや、本当に美しいよ」って念を押したり。
村本：いや、あれ普通は喜ばんやろ！ 映画が始まる直前まで「美しいね」みたいに言われ続けて、始まってからも「君はきれい」なんて、しつこ！ ってなるわ。あれはドロシーが周りに流されない娘やから成立したんやって。ドスに「あなたは他の誰とも違うから好き」って言うてたやん。
中川：確かに言うてた！
村本：つまり彼女も、いい男はこういうもの、みたいな世の中の空気に流されない、ドスのようにちゃんと自分を持っている娘やっていうことよ。
中川：ちなみにドス役のアンドリュー・ガーフィールドは、おまえが好きなエマ・ストーンの元カレらしいけど。やからといって、アンドリューを褒めることに抵抗はない？
村本：あくまで役者の話やろ？ 実在のドスがエマ・ストーンの元カレやったって言われたら、「もうちょっと人助けな割に合わんで」ってもっかいハクソー・リッジに上げたるけどな！
これだけは言いたい！ななめ見ポイント
村本：子供時代のドスがレンガで弟をどつくシーンで、親が「やりすぎだ」って叱るよな。俺らも子供のころケンカしたら暴力はあかんって言われたやん？ でも戦争では、一生懸命勉強して国のトップに行ったような賢い大人が、自分たちの利益のために殺し合いしてる。子供のお菓子の取り合いと何が違うんやって。
中川：ただ、訓練で相手の殺し方や武器の使い方とかを学ばされて、それでも空気に流されないくらい強い人って、普通じゃ考えられへんと思うわ。信念を貫くって多分よほどの覚悟がないと無理やろ。
村本：でも俺は、ドスみたいな人は今もいると思う。この映画は昔の話やけど、シリアなんかでは沖縄のように一般の人が犠牲になっていて、現実に子供たちがこの映画みたいに殺されたりもしてる。せやから、こういう作品を通して、みんなが良い意味で、戦争が危険で怖いっていう空気に流されてくれたらええなと思う。何か、映画の力を信じたいと思わされたわ。
今月の激オシ映画はコレ！
『ハクソー・リッジ』
俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』でオスカーも手にしたメル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作。第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描く。主人公を『沈黙 －サイレンス－』などのアンドリュー・ガーフィールドが熱演。自身の信念に基づき、勇気ある行動をとった兵士の物語が胸を打つ。
(C) Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です！」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため（中退）、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。「AbemaNews」チャンネルのニュース番組「AbemaPrime」（毎週月～金曜日21:00～23:00生放送）にて月曜レギュラー出演。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。