ジャック・スパロウって、いったいどんなやつだっけ?
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの孤高の海賊ジャック・スパロウといえば、彼が別の海賊に出会うたびに、相手が「お前にはひどい目にあわされた」と憎まれ口をたたかれ、ジャックの過去の出来事が明らかになるのがこのシリーズのパターン。なので、これまでのジャックのことを何も知らなくても、映画が楽しめるようになっている。とはいえ、このシリーズのストーリーは実は続きもの。ちょっとだけおさらいをしておくと、新作の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(7月1日公開)がもっと楽しくなるかも?(文:平沢薫)
1. ああ見えて、実は伝説的な海賊!
その前にちょっと海賊ジャック・スパロウの基本情報をおさらい。ジャックは格好もトークも動作も派手で大げさなので、ただの派手好きのいいかげんなヤツに見えてしまうが、海賊なら誰もがその名を知っている伝説的存在。一人で置き去りにされた孤島から、足にウミガメを結びつけて脱出したという伝説がある。海賊としての腕は優秀で、海賊評議会を構成する選ばれし伝説の海賊9人の一人でもある。
さらに見かけによらず剣の名手。ロープを使って飛び移ったりと運動能力も高い。そして、コミカルな行動ばかりしているように見えて、実は策略家。話術によるダマシのテクニックで敵を欺くのも、ジャックの得意技。敵同士を口論させて、その隙に別の行動をするといった小技から、老練な海賊黒ひげを最後にウソで騙すといった大技まで披露する。
愛用アイテムは特殊なコンパス。このコンパスは北を示さず、持ち主がもっとも欲しがっている物がある方向を指す。そして、今回の新作では、このコンパスに別の力のあることが判明する!?
2. キャラはロックスター!
ジャックの性格は、シリーズを通して変わらない。ジャックを演じたジョニー・デップが参考にしたのは、自分の価値観に忠実なロックスターのイメージ。なるほど、いくらでも生命を延ばせる秘宝生命の泉を見つけたのに手にいれず、「俺の生命は天に任す。でも、宝の発見者になれば有名になるだろ?」と言うジャックの価値観はロックスターっぽい?
ジャックのルックスも、彼が大好きなローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズがお手本。ジョニーの念願が叶って、キース・リチャードは第3作、第4作にジャックの父親、海賊ティーグ船長役で出演。
そしてロックな出演者は今回の新作にも。元ビートルズのポール・マッカートニーがなんとジャックの叔父役で登場。これは見逃せない!
3. ジャックの目的はいつもシンプル!
ではジャックの行動はというと、これもシリーズを通して基本的に変わらない。彼の頭の中にあるのは、愛する船ブラックパール号を手にいれることと、海賊行為をすることだけ。ただ船を手にいれようと行動し、他の海賊たちの妨害をクリアしようとするだけなのに、いろんな騒動が起きてしまうのだ。
ジャックは第1作では、海賊バルボッサからブラックパール号を取り戻そうとする。第2~3作では、海賊デイヴィ・ジョーンズと交わした血の契約から逃れようとする。第4作では、生命の泉を探して海賊黒ひげと競う。ジャックの行動はこんなにシンプルだ。
4. 友人はウィル、だけど行動目的は同じじゃない
ジャックとお互いに認め合い、相手の命を救ったこともあるが、相手を取引の材料にもする間柄なのが、オーランド・ブルーム演じるウィル・ターナー。彼は幼い頃に父親を失い、父が海賊だと知らずに育った青年。たまたまジャックと出会い、それぞれ別の目的を持ちながら一緒に行動することになる。なので第3作までは、ジャックの話と平行して、ウィルの話が展開する。
ウィルの視点から見ると、第1作はウィルが海賊バルボッサに誘拐された提督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)を救う話、第2~3作は、ウィルが海賊デイヴィ・ジョーンズの呪いから父親を救う話。ジャックはそうしたウィルの行動と連携して、バルボッサから船を取り戻し、デイヴィ・ジョーンズと交わした誓約から解放される。そんな話でもあるのだ。
そして、思い出しておきたいのは、第3作ラストでのウィルの状況。彼は、父親を呪いから救うため海賊デイヴィ・ジョーンズの息の根を止めたが、そのせいでジョーンズの代わりにフライング・ダッチマン号の船長として海をさまよい続けることになった。陸で1日過ごして海で10年過ごす、それを繰り返さなくてはならないのだ。その別れの10年後を描いたのが、第3作のエンドクレジット後のシーン。エリザベスが、ウィルとの間の息子である幼い少年を連れていた。
この少年ヘンリーが立派な青年に成長し、今回の新作でジャックに出会う。さて、彼はジャックとどう絡む?
5. 海賊バルボッサとは長~い歴史あり
もう一人、ジャックのこれまでを知るうえで欠かせないのが、海賊バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)。彼は第1作から全作に登場、最初は敵だったが、今は協力することもある。彼もジャック同様、海賊船で海に出るのが生き甲斐だ。ジャックとのくされ縁ぶりを振り返ると……。
まず第1作目。物語が始まる10年前、ジャックが海賊船ブラックパール号の船長だった時、一等航海士だったバルボッサはジャックの船を乗っ取る。そこでジャックはバルボッサを倒し、ブラックパール号を取り戻す。
が、第2作のラストで、バルボッサは生き返る。魔女ティア・ダルマが、海賊デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)により異空間に閉じ込められたジャックを救うため、彼を甦らせたのだ。
第3作で、バルボッサはウィルたちと協力してジャックを救出。選ばれし海賊9人が協力して東インド貿易会社を倒す。が、その後、バルボッサはジャックの留守にブラックパール号を奪って出航する。
第4作で、バルボッサは英国王に仕えているが、それは仮の姿。バルボッサは、海賊黒ひげにブラックパール号を奪われて片足を失っていた。彼は黒ひげに復讐するために、黒ひげと宝の争奪戦中のジャックに協力する。が、最後は別行動。バルボッサは黒ひげの船を奪って海に船出していく。
そして、今回の新作にもバルボッサが登場。バルボッサはジャックの宿敵サラザール船長に協力を申し出るらしい!?
6. 腹心の部下はギブス
ジャックが唯一信頼している部下といえば、シリーズ全作に登場している、ジョシャミー・ギブス(ケヴィン・マクナリー)。ラム酒が大好物の気のいいヤツだ。
第1作の冒頭での彼は、英国の海軍船の船員。少女エリザベスが提督である父親と共に英国からカリブ海の港に向かう船の船員だった。が、その後、海賊になり、ジャックがブラックパール号の船長だった時に出会って、船の航海士になった。ジャックが第1作でまず船の船員として探しに行ったのがギブス。いつもジャックの勝手な行動に振り回されて「船長は気まぐれだから」と首を振りつつ、一緒に行動している。しかし、今回はついにジャックに我慢できなくなる!?
7. 女性には”平手打ち"されるのがお約束
映画ではジャックに恋人がいることはなく、いつも元カノが登場して、ジャックに出会った瞬間に平手打ちをするのがお約束。恋愛は多そうだが、いつも関係が長続きせず、今度会ったらひっぱたいてやろうと思うような別れ方になるらしい? 第1作では酒場で働く女性2人と女性船乗りアナマリアに、第4作では黒ひげの娘アンジェリカに、ビシッと平手打ちされている。そして第3作では、東洋系海賊サオ・シェンの侍女たちが、会話にジャックの名前が出た時に意味ありそうなクスクス笑い。さすがジャック、こんなところまで!
8. 前作のラストはこうだった
シリーズのストーリーは続いているので、前作『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』のラストもおさらいしておこう。海賊黒ひげは、魔力を使って自分が沈めた船をガラスビンの中に閉じ込め、ボトルシップにするのが趣味。ジャックは、黒ひげの死後、愛船ブラックパール号の入ったビンをはじめ、たくさんのボトルシップを手にいれた。が、船はビンに入ったまま。航海士ギブスが「ビンから出せるんですかい?」と心配していたが……。
そして新作の予告編はコレ『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊第』 ↓