暑さを吹き飛ばす!自宅で夏フェス映画
今週のクローズアップ
ついに夏が来ました! そして夏といえばお祭り! 風流な花火大会も良いですが、音楽のお祭り“夏フェス”も夏には欠かせません。ですが、「行きたくてもなかなか都合がつかない」「音楽は聴きたいけれど、この暑さで長時間人混みにいるのはツライ」という人も多いはず。そこで、クーラーの効いた自宅でも夏フェスに行った気分で楽しめるような映画を観て、この暑さを吹き飛ばしましょう!(編集部・吉田唯)
■流行のEDMでテンションUP!
まずは近年夏フェスには欠かせないEDMでテンションを上げていきましょう。EDMとは Electronic Dance Music の略で、ダンスミュージックという名前の通り思わず踊り出したくなるようなノリの良さが特徴的。2000年代後半にアメリカで爆発的に広まり、EDMシーンを代表するDJであるZEDDが安室奈美恵の「Heaven」をプロデュース、オランダ出身の世界的DJニッキー・ロメロが SEKAI NO OWARI の「Dragon Night」でサウンド・プロデュースを担当するなど日本でも人気を獲得しています。
そのニッキー・ロメロなど、豪華DJ陣の出演でも注目を浴びたのが、DJで成功することを夢見る青年の青春を描いた映画『WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ』です。DJ志望の主人公コールにふんしたのは「ハイスクール・ミュージカル」や映画『恋人まで1%』などのザック・エフロン。DJらしい外見に近づけるため鍛え上げていた身体を10キロ近く減量し、自宅での練習用の機材を購入するなど、徹底した役づくりで説得力のあるDJパフォーマンスを披露しています。「DJはPCと最高の1曲だけでいい。それが成功の鍵だ」という近年のEDMシーンの在り方を表現するようなセリフの数々が興味深いだけでなく、実際にEDMの野外パーティーを敢行し、1万2,000人以上の観客を集めて撮影されたフェスシーンはリアルな熱気に包まれていて、観ているだけでその場に行った気分を味わえ、テンションが上がります!
Netflixオリジナル作品の『XOXO』は、駆け出しのDJと親友、今は落ちぶれてしまった元DJ、ロマンチックな恋を夢見る少女、ある不安を抱えたカップルを描いたオムニバス映画。そんな彼らの人生が交錯する場がEDMフェスなんです。YouTubeにアップした楽曲から火がついて大型フェスでプレイすることになる駆け出しDJの青年は、まさにインターネット時代の音楽シーンの象徴といえるでしょう。スクリレックス・アンド・ディプロにフライ・ボーイ・ケノがフィーチャリングで参加した「Beats Knockin」や、イライザ・ドゥーリトルをフィーチャーしたディスクロージャーの「You & Me (Flume Remix)」など有名アーティストの楽曲が多数収録されたサントラは必聴! また、女性陣のファッションも注目ポイントで、ネオンカラーを多用した奇抜な服装は実際にEDMフェスで流行しているスタイルなんです。目の回るようなドラッグ描写など、『WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ』よりもポップで刺激的な画が特徴的で、音楽にノリノリになっている時のあの熱狂具合を視覚でも体験することができます。
■伝説を目撃せよ!
夏フェスといえばロックは外せないでしょう! 1969年には、3日間で約40万人を集客したアメリカの音楽史に残る前代未聞のロックフェスティバルが開催されました。その名も“ウッドストックフェスティバル”。『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』はその野外コンサートを記録し、第43回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝いた作品です。あまりにも人が殺到したためイベントは途中から無料化、会場までの道は車が渋滞して途方もない時間がかかるためアーティストはヘリコプターで会場入り、さらには米軍から医療班が出動する事態になり、会場で出産する人が現れたりと、映画に記録された数々の仰天エピソードは今では考えられないスケールです。そんな規格外の本フェスティバルに参加したのはザ・フー、サンタナなど。中でもトリを飾ったジミ・ヘンドリックスの名プレイは語り継がれていて、うなりをあげるギターの音色にしびれること間違いなし! あるジャンルやグループの代表曲をアンセムといったりしますが、まさに「ナショナル・アンセム(国歌)」であるアメリカ国歌を演奏して会場を一つにしたジミヘンの姿は、まるで音楽の神様が乗り移ったのかと錯覚するほどです。
ちなみに編集を担当したのはあのマーティン・スコセッシ。マーティンは本作の編集のためにカリフォルニア州を訪れた際にロジャー・コーマンと出会い、それがきっかけで自身の出世作『ミーン・ストリート』が誕生することになったという裏話があります。
もう少し最近のライブを観たい! という人は、『121212 ニューヨーク、奇跡のライブ』をどうぞ。本作は2012年にアメリカを襲ったハリケーン「サンディ」の被災地支援のため、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたチャリティーコンサートを追ったドキュメンタリーで、出演者のアリシア・キーズも「緊張した」と語るほどの大物ばかりが登場。そのラインナップは、ザ・ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、ビリー・ジョエル、ボン・ジョヴィ、クリス・マーティン(コールドプレイ)、カニエ・ウェストら音楽界のレジェンドたちがズラリ。さらには、製作総指揮を務めたポール・マッカートニーがニルヴァーナの曲をやろうと同バンドのドラマーだったデイヴ・グロールを誘ったことで元メンバーが集結してニルヴァーナが一夜限りの復活(!)を果たしたり、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズとパール・ジャムのエディ・ヴェダーが共演したりと、ここでしか見られない奇跡のコラボレーションには胸が熱くなります。
セレブたちが寄付を受け付ける電話の応対をする舞台裏も収められていて、ベン・スティラー、ウーピー・ゴールドバーグ、スティーヴ・ブシェミら超豪華なラインナップも映画ファン的には注目したいポイント。電話を受けたものの相手が自分のことを知らなかったジェイク・ギレンホールがある神対応をする場面では、そのスマートさに思わずキュンとしてしまいます。
■子供と一緒に楽しむならこの一本!
昔は夏フェスに行っていたけれど、親になると子供を置いてフェスに行けない……そんな悩みを抱えている人もいるのでは? だったら子供と一緒に楽しめるアニメーション映画で夏フェス気分を味わっちゃいましょう! オススメは日本でもヒットした『SING/シング』。経営が傾いてしまった劇場に活気を取り戻そうと、コアラのバスター・ムーンが歌唱コンテストを開催、個性豊かな動物たちがレディー・ガガやアリアナ・グランデ、テイラー・スウィフト、シーア、ビヨンセ、スティーヴィー・ワンダーらのヒットナンバーを披露するさまを描き出しています。ユニークな動物たちの声を担当したのはスカーレット・ヨハンソン、マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーンら超有名キャスト。彼らの声を聴いているだけでも耳が幸せではあるのですが、それ以上にみんな歌の実力がハンパじゃない! しかも選曲が素晴らしく、歌詞がキャラクターの心情にピッタリなので感情移入して思わず一緒に歌いたくなってしまう場面が多数あります。なんといっても、歌を通して「自分を変えること、自分を信じること」を実現していく姿には、子供だけでなく大人も勇気をもらえるでしょう。