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人の意見を気にして決断なんてできない!映画『ダンケルク』ハリー・スタイルズ&フィオン・ホワイトヘッド単独インタビュー

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 映画『ダークナイト』『インセプション』で知られるクリストファー・ノーラン監督の新作は、第2次世界大戦中、ドイツ軍に包囲されたフランス領ダンケルクから約33万人のイギリス・フランス軍兵士を撤退させた大作戦の映画化作品だ。ケネス・ブラナーマーク・ライランストム・ハーディらイギリスの名優たちに混じって物語の中心となる若き兵士を演じているのは、同年代の新人俳優たち。幸運にもノーラン作品で映画デビューを飾った2人の若手俳優、フィオン・ホワイトヘッドワン・ダイレクションハリー・スタイルズが本作を語った。(取材・文:細谷佳史)

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■世界的歌手から新人俳優へ

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最も有名な新人俳優とも呼ばれたハリー・スタイルズ

Q:今回、ハリーさんの役者への転身を誰もが注目していたと思いますが、怖くはありませんでしたか?

ハリー・スタイルズ(以下ハリー):僕はこれまで、人がどう思うかといったことを気にして、何かを決断したことはないんだ。「もし自分がこれをやったら、大騒ぎになる……」とか、そういうふうに考えたりはしない。ただクリスが新しい映画を作るって聞いた途端に興奮して、ぜひ関わりたいと思ったんだよ。彼の作品の大ファンだし、映画作りが好きだからね。役者に挑戦するうえでも、良いタイミングだった。素晴らしい映画が完成したし、この作品に関われてとてもラッキーだった。

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本作が決まるまでは皿洗いで生計をたてていたフィオン・ホワイトヘッド

Q:フィオンさんは、ノーラン監督が自分のどこを気に入ってトミー役に起用されたと思いましたか?

フィオン・ホワイトヘッド(以下フィオン):いくつか理由はあると思う。けど、あるインタビューでクリスは、「(この映画に)新人がほしかった」と言っていた。それも、若いイギリス人男性をね。そして僕は、その両方に当てはまるのがひとつじゃないかな(笑)。

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■歌手と俳優、アプローチの違い

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ハリーは、歌手と俳優は表現の方法から違うと語る

Q:ハリーさんは、歌手としての経験が役者として仕事をするうえで有利に働いた点はありましたか?

ハリー:歌手であることがアドバンテージだとは感じなかった。実際、自分にとって居心地が良いと思う場所の外にいるような意識でいたよ。その感覚を楽しんだけどね。撮影は僕が今までに経験したのとは全く違うものだった。歌手と役者は、自分の中から引き出さなくてはいけないものが違うんだ。音楽では、自分自身の多くを表現に反映させるけど、演技では、自分というものを完全に失わせる。そこには違うチャレンジがあるし、仕事に対する報われ方も違う。2つのことをすごくエンジョイできるなんて、幸運だよね。

Q:撮影中、最も印象に残っている体験を教えていただけますか?

ハリー:海中のシーンを撮影している時かな。大勢の人たちが実際に海にいて叫んでいた。そして、ボートが爆発し、頭上を飛行機が飛んでいって、「オレはいったいここで何をしているんだ? オレの周りでは何が起きているんだ?」って感じたことがあった。とても普通じゃいられなかった。誰かが、海のど真ん中で(映画のために)この状況を作り出しているなんて、ありえないと思った。信じられないぐらいシュールだったよ。

フィオン:若い兵士であることと、新人の俳優であることはとてもかけ離れたものに思えるけど、似ている部分もあるんだ。自分が置かれた状況に慣れていないという点や、(家を)離れて、ある状態に放り込まれるという意味でもね。僕も初めての映画がノーラン作品で、その現場で缶詰状態になれるなんて、とてもラッキーだったと思っているよ。

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■撮影=完成した映画!

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絶望の中で生き残ろうとする兵士たちを描く

Q:映画を観ただけでも、撮影現場は体力的にとてもハードだったのではないかと思います。

ハリー:この映画を自分が観た時、撮影の様子を2時間分観ているような感覚を覚えた。すごく強烈だったね。実際、多くのことがあった。でも、本当の兵士たちが経験したことに比べたら、それが全く大したことじゃないということも感じていたんだ。だから現場では、誰もが個人的に辛いと感じていることは度外視して、映画を良くすることに集中していた。同時に、大変だったからこそ、やりがいもあったと思う。簡単に撮影できるような映画だったら、そんなに良い作品にはなっていなかったと思うよ。

Q:ハリーさんは、今後も俳優としての活動は続けていかれるのでしょうか?

ハリー:ノー(笑)。わからないな。そのことについて考えたことはないんだ。それがこの映画だったら、ぜひまたやりたい。経験したこと全てが好きだし、映画を観て、自分がやったことをとても誇りに感じた。何かいつもと違うことをやるのも大好きだしね。だけど正直に言って、それ以上に先のことは考えられないよ。

■撤退を描いた意味

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激しい戦いを描く一方、本作には敵であるドイツ兵の姿はほぼ映らない

Q:イギリスの若い世代にとっても、ダンケルクの撤退作戦は興味深い出来事なのでしょうか?

フィオン:イギリスにいると若い時から第2次世界大戦全体について多くのことを学ぶ。もちろんダンケルクの話にもその過程で触れることになるけど、あまり深くは学ばないんだ。だから今回は、自分たちでリサーチをした。工兵たちがトラックで桟橋を作ったとか、生き残るための人間の本能がどう働くのかを学んだ。彼ら兵士たちの問題解決能力には驚くべきものがあったと感じたね。僕にとっては、ダンケルクの撤退作戦の全てが興味深かった。ストーリー自体がありえないものに思えて、すごく濃密なんだ。

Q:撤退を描く『ダンケルク』は、ある意味、敗北についての物語です。しかし歴史的には、その後の勝利につながるキーポイントだったとも語られています。この作品のメッセージについて、どう捉えていますか?

フィオン:確かにこの出来事は、戦術的にも、軍事的にも失敗と考えられている。でも間違いなく、イギリスではこの作戦がその後の大戦の流れを決めたんだ。第2次世界大戦時のイギリス人が、どんな様子ですごしていたのかを説明するのに、「ダンケルクスピリット」(ダンケルク精神:一丸となって直面した困難を乗り越えていくこと)という合言葉がよく使われる。当時のコミュニティーへの意識や、いかに人々が団結し、お互いにサポートしあって危機を乗り越えたかといったことについて説明する言葉としてね。そういったことを振り返って、深く考えるのは大事なことだと思う。

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 実話を基に、陸・海・空の3つの視点から時間軸を巧みに交錯させて物語を構成する斬新な手法がいかにもノーラン監督らしい本作には、名優たちと若き才能が集結しており、来年のアカデミー賞ノミネートにも大いに期待ができそう。アメリカでは公開4週で1億5,000万ドル(約165億円・1ドル110円計算/数字は Box Office Mojo 調べ)を突破する大ヒットを記録。ノーラン監督の類い稀な才能はもちろん、大人向けの映画に予算をかけて製作に臨むハリウッドスタジオや、それを観るため劇場に足を運ぶ観客の層の厚さにもあらためて感心させられる。

映画『ダンケルク』は9月9日より全国公開
(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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