『未成年だけどコドモじゃない』平祐奈 単独インタビュー
16歳で結婚は考えられない
取材・文:高山亜紀 写真:杉映貴子
16歳の誕生日に結婚することになった究極のお嬢様、香琳。相手は一目ぼれした尚先輩だった。それを知った幼なじみの五十鈴は猛アタックを開始。『未成年だけどコドモじゃない』で中島健人、知念侑李、二人の王子様から求愛されるなんとも贅沢なヒロインを演じた平祐奈。スーパーポジティブでハイテンションな香琳をチャーミングに演じた彼女が女の子の夢がびっしり詰まった「みせコド」の撮影の裏側を、余すことなく語りつくす。
アドリブ満載の撮影現場!
Q:撮影現場では笑いが絶えなかったそうですね。英勉監督の演出はどうでしたか。
監督が本当にパワフルで、太陽のような方だったので、現場でもスタッフの皆さんがずっと笑顔なんです。芝居してても、監督のいるモニターの方から、常に笑い声が聞こえてくるくらい。監督が笑ってくれるとうれしくて、もっと頑張ろうと思うので、ついついアドリブも多くなっていきました。
Q:共演の中島健人さんと知念侑李さんの印象を教えてください。
お二人は違ったタイプで、それぞれ個性があって面白い方々だなって思ってました。中島さんはテレビで見る印象が強かったんですが、イメージそのままの方でした。知念さんは柔らかい、ふんわりとした空気感を持っていて、二人とも優しかったです。
Q:表情がくるくる変わる香琳ですが、どのように役づくりをしていったのですか。
今回の香琳ちゃんに関しては、実はあまり役づくりはしていないんです。どちらかというと、テンションだったり、ポジティブ思考なところなど、自分に似ているところが多かったので。ただ、もともと原作は漫画なので、どこまでテンションを上げていいんだろうといった加減はわからなかったので、そこは監督と話し合いました。監督から「原作は気にしなくていい。やり切ってください。やり過ぎてたら言いますから」と言われたので、「じゃあMAXでいこう!」と、とりあえずやってみました。最初こそ不安があったんですが、初日から監督に「香琳、掴んでるね」と言っていただいて、ノリノリになりました。日が経っていくうち、自分でも、香琳スイッチが入るようになって、香琳ってぶっ飛んでるから、なんでもオッケーなんだ、と気づいてからは、アドリブでいろいろ言ったりやったり。怖いものなしになって、自由にやらせてもらいました(笑)。
Q:自分で、「やってやった!」と気に入っているアドリブはありますか。
わたしも結構、言ってるんですが、中島さんもそうで、二人でお家にいるシーンなどは、アドリブ合戦のようになっていましたね。尚先輩がテスト勉強で夜遅く帰ってくるシーンがあるんですが、香琳は「テスト」ってワードすら知らないんです。で、尚先輩に対して、「テスト?」って何回も繰り返して聞いているうちに、中島さんが「テイラー・スウィフト!」っていうアドリブを入れてきたんです。そこで、わたしが間髪入れずに「友だち!」って言ったんです。香琳なのに、直球過ぎてちょっとワルい子口調になってますが、監督は「ナイス!」と言ってくれました。「尚、よくやった」って監督は感動してたみたいです。あとは本番中なのに、中島さんの頬に蚊が止まっていたんですよ。「あ、蚊がいる」と思ったんですが、カメラが回っていたので、そのまま香琳として「あれ? 虫がついてるよ」って取ってあげたんです。みんなはもう一回、撮影し直すと思ってたようですが、監督は一発OKを出して、本当に使われてるんです。自然と映像に映ってたんで、びっくりしました。まさか、使われるとは思ってなかったです(笑)。
中島健人考案の「おじやす」ゲームとは
Q:自分を成長させてくれる尚先輩と、そのままの自分を全部受け止めてくれるリンリンでは、どっちがタイプですか。
成長させてくれる方ですかね。監督は「結婚するなら、絶対リンリンの方がええで」って言ってましたけどね(笑)。確かにそれはそうだけど、お金じゃないって思うんです。平屋に住んでいても、愛があればこんなにも楽しいって思えるんだって、香琳と同じように思うと思います。
Q:撮影の合間はどんな風に過ごしていましたか。
あんまり三人の日がなかったので、三人の時はより話すよう心がけました。「おじやす」ゲームっていうのをずっと三人でやってました。差し入れをいただいた際にお礼を言ったんですが、その時に「ありがとうございます」「お願いします」って短縮したら、「あざーす」ってなるよねって話になったところ、わたしが聞き間違えて「“おじやす”って何?」って聞いちゃったんです。そしたら、「おじやす」って言葉が現場で流行ってしまって。それで、中島さんが手を2回たたいて、「おじやす」って言うリズムゲームを作ったんです。中島さんは韻を踏むのが好きで、わたしがダジャレ好きだから、ラップをすることもありました。知念さんがそれを聞いてボケたり。中島さんはほんとに頭の回転が速いので、ラップ、うまかったです。「隣人が人参を持って」だったかな(笑)。
Q:知念さんは二人のシーンに嫉妬してるって言っていました。
香琳も尚も個性が豊かなんですよね。周りの人もそう。本当にキャラクターが濃くて、お父さん、お母さんも、執事の鏑木も。そのなかで、リンリンが一番、まともな人なんです。ほかは(松井)沙綾さんぐらい。だから、リンリンはあんまり、はしゃぐことができなくて、知念さんは「僕もはじけたいな」ってしょんぼりしていて、監督も「ごめんね~」って感じでしたね。
素敵な夫妻を間近で見て結婚願望芽生えました!
Q:お父さんが高嶋政宏さん、お母さんがシルビア・グラブさんという本物の夫婦だというのも面白いです。
本当に素敵なんです。こんな仲良しの夫婦、いいなあって微笑ましかったです。結婚願望、芽生えましたね。いつかはしたいなって気持ちはあったんですけど、間近で見て、「こういう二人になれたらいいな」って、具体的な憧れ像ができました。
Q:結婚願望はもともと強い方ですか。
いずれですけど、いつかはしたいという気持ちはずっとあります。6人きょうだいなんですけど、わたし以外はみんな結婚しているので、今度はわたしの番だと思っています。
Q:16歳の誕生日に結婚するというのは?
それは考えられないです。学生結婚なんて、香琳ちゃんも大胆だなぁ。お父さんに言われるまま、それも嫌がることもないなんて信じられないです。誕生日の日にいきなり言われても、普通は理解できないと思います。
Q:16歳の誕生日のこと、覚えていますか。
いま19歳なので、3年前か。何してたかな。高1だったことくらいしか覚えてないです。ごめんなさい(笑)。高校時代は学校も楽しんでたし、仕事も充実してました。佐渡島に行って、『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』っていうテニスの映画を撮ったのも高1でした。誕生日はどうしてたっけ。全然、思い出せないなぁ。本当に一年が充実し過ぎていて、あっという間なんです。一日ですらそうなので、最近の記憶しかないんです。あとでツイッターを確認してみます!
Q:今回は結婚式のシーンやデートのシーンなど、女の子がキュンとくる場面がたくさんありますが、自分で観ていて、気に入ってるシチュエーションなどはありますか。
リンリンと踊る舞踏会のシーンは本当に豪華できらびやかで、美しかったですね。ダンスは難しかったですけど。それから、香琳と尚先輩がちょっとぎくしゃくした時に、お風呂からあがってきた香琳の髪の毛を尚先輩が「おいで」ってドライヤーで乾かしてくれるシーンはほっこりして、いいなと思いました。尚先輩の気持ちが変わっていくシーンでもありますし。この映画は本当に女子の憧れがすべて詰まっていると思います。
撮影中、「紅葉を見に行こうよう」と大好きなダジャレを披露し、魔法のようにみんなを笑顔にしてしまった平。まさに天使級の愛されキャラと言えそうだ。通りかかった中島、知念が「よ、愛梨!」とわざと間違えて彼女の姉の名前で呼びかけると、間髪入れずに「祐奈だわ!」と返すツッコミも見事。「みせコド」チームの仲の良さをしみじみ感じさせた。劇中でも三人の息はぴったり。もしかして、「おじやす」ゲームのおかげかも?
映画『未成年だけどコドモじゃない』は12月23日より全国公開