アベンジャーズにデッドプールも!2018年アメコミ映画が激戦!
今週のクローズアップ
映画『アイアンマン』でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が幕を開け、クリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト』が傑作として名を残したのは、今からちょうど10年前の2008年。今年はもしかすると、それ以上に輝かしいアメコミ映画イヤーになるかもしれません! マーベルヒーローが大集結する『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を筆頭に、今年公開のアメコミ映画注目作をご紹介。(編集部・石神恵美子)
近年、数多く公開されているアメコミ映画ですが、一度整理しておくと、マーベルコミックスの映画化を主に行っているのは、『アベンジャーズ』シリーズなどMCUのマーベルスタジオ、『X-MEN』シリーズなどの20世紀フォックス、『スパイダーマン』シリーズのソニー・ピクチャーズ エンタテインメントで、『ジャスティス・リーグ』などDCコミックスの映画化を行っているのがワーナー・ブラザースです。それを踏まえて、今年のアメコミ映画注目作をスタジオごとに並べると……!
■マーベルスタジオ
『ブラックパンサー』3月1日日本公開
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』4月27日日本公開
『アントマン・アンド・ザ・ワスプ(原題) / Ant-Man and the Wasp』7月6日全米公開
■20世紀フォックス
『ザ・ニュー・ミュータンツ(原題) / The New Mutants』4月13日全米公開(→2019年2月22日全米公開へと延期になってしまいました)
『デッドプール2(仮題)』6月日本公開
『X-メン:ダーク・フェニックス(原題) / X-Men: Dark Phoenix』11月2日全米公開
■ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
『ヴェノム(原題)/ Venom』10月5日全米公開
■ワーナー・ブラザース
『アクアマン(原題) / Aquaman』12月21日全米公開
MCUは10年の集大成へ!
何といっても今年一番の注目作は、マーベルヒーローが一堂に会する『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。待望の海外版予告編が昨年11月にアップされると、24時間で再生回数2億3,000万回(!)を超え、歴代ナンバーワンの記録を樹立したことからも、ファンの大きな期待がうかがえます。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソーたちから成るヒーローチーム「アベンジャーズ」に加え、ドクター・ストレンジ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーらも登場し、俳優に支払うギャラだけでもとんでもない金額になるんじゃないかと心配になってしまうくらい、とにかく大所帯のヒーロー映画に。そこまでヒーローが集結する理由は、銀河の支配を企てる史上最強の敵サノス(ジョシュ・ブローリン)を倒すため。また、MCUにはフェーズ(段階)という区切りが設けられており、2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスタートした「フェーズ3」は『アベンジャーズ』第4弾(2019年5月3日全米公開)をもって締めくくられることになっています。マーベルスタジオの社長ケヴィン・ファイギは、10年越しの集大成として、その区切りの重要性を語っており、まさに終わりの始まりが描かれる本作はファン必見の一作です。
その前後に公開されるのが、『ブラックパンサー』(予告編)と『アントマン』の続編『アントマン・アンド・ザ・ワスプ(原題)』。ブラックパンサーは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で一足先にその姿を披露している、マーベルコミックス初の黒人ヒーロー。キャプテン・アメリカの盾にも使われている希少な金属ヴィブラニウムの産出国であるワカンダ王国で、父の死により若くして王位を受け継いだ主人公のティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が、「ブラックパンサー」という神聖な名のもとに、国民をあらゆる脅威から守る使命を担います。2017年はコメディー色の強い作品が続いたMCUですが、製作総指揮のネイト・ムーアいわく、本作は『ゴッドファーザー』&『007』のスーパーヒーロー版とのことで、権力闘争やスパイアクションの要素が色濃く反映された、これまでとはまた一味違う作品になりそうです。
『アントマン・アンド・ザ・ワスプ(原題)』は、特殊スーツで体長1.5センチに縮小できるヒーロー“アントマン”とその相棒となる女性ヒーロー“ワスプ”の活躍を描きます。MCUには、ブラック・ウィドウやスカーレット・ウィッチなどなど、すでに人気の女性ヒーローが存在していますが、タイトルにヒロインの名が入るのは今作が初めて。まだ発表されていない邦題がどうなるのかも、気になるところです。黒人ヒーローや女性ヒーローというように、MCUは昨今ハリウッドで叫ばれている多様化に取り組んでいきます。
『X-MEN』シリーズはR指定路線で拡大!
昨年末には世界を驚かせた米ディズニーによる21世紀フォックス主要事業の買収。これにより、20世紀フォックスが築き上げてきたマーベルコミックスが原作の『X-MEN』シリーズなどは、同じくディズニー傘下であるマーベルスタジオのMCUと合流する見通しです。具体的なことは発表されていませんが、すでにタイトルとスケジュールが公表されているMCUのフェーズ3が締めくくられてから、合流していくのではないかと考えられています。なので、2018年も旧体制(?)のままと考えて、フォックスは『デッドプール』『LOGAN/ローガン』の大ヒットの流れを汲んだ、大人ターゲットの過激なR指定路線を継続です。
『X-MEN』スピンオフ作品ながらも、ホラーに振り切った『ザ・ニュー・ミュータンツ(原題)』。『スプリット』のアニヤ・テイラー=ジョイや「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのメイジー・ウィリアムズなど注目の若手俳優たちを若きミュータントたちにキャスティングし、感動作『きっと、星のせいじゃない。』のジョシュ・ブーン監督がメガホンを取ることから、さわやかな青春映画になるのかと思いきや、海外版予告編では不穏なシーンのオンパレード……。ミュータントたちに宿る超人的能力を“恐怖”として描くようです。思春期ホラーとして、2017年社会現象化した最恐ピエロ映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』的なヒットに期待がかかります。→『X-MEN』シリーズとして2018年の一発目となる予定の本作でしたが、全米公開が2019年2月22日へと延期になることがつい先日発表されてしまいました。
そしてみなさんお待ちかねのマーベル史上最も破天荒なヒーロー、デッドプールが帰ってくる『デッドプール2(仮題)』も今年公開。原作でデッドプールの相棒的存在のケーブルと、ケーブルの恋人でもあったドミノという新キャラクターも登場し、ますますのにぎわいを見せそうです。そのケーブル役はなんと、前述の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で史上最強の敵サノスを演じるジョシュ・ブローリンと、なんとも大胆なキャスティング。2018年のアメコミ映画はジョシュの存在なしでは語れないことになりそうです。一方、ドミノ役は人気ドラマ「アトランタ」のザジ・ビーツ。まだまだ一般的知名度は低いですが、海外メディアでは今年ブレイクしそうなスターの一人として注目されています。さらには、日本から忽那汐里さんが「物語の鍵となる役」で参加することにもなっています!
最後に『X-メン:ダーク・フェニックス(原題)』は、『X-MEN』シリーズの前作『X-MEN:アポカリプス』からおよそ10年後の世界を舞台に、若き日のジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の別人格ダーク・フェニックスに迫るストーリーを描きます。ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルトらおなじみの豪華キャストが続投し、悪役としてジェシカ・チャステインが初参戦。ジーン・グレイが炎と一体化しているような印象的なビジュアルがすでに披露され、演じたソフィーによると「ダークで現実的なドラマ」になるとのこと。ファスベンダーふんするマグニートーがズタボロになっている場面写真も公開されており、ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンのように、本作でキャストの世代交代が本格化するのかもしれません。
トム・ハーディ主演のスパイダーマン悪役映画がダークホース!
ソニーは、マーベルスタジオと手を組んで大ヒットを飛ばしたトム・ホランド主演『スパイダーマン:ホームカミング』シリーズとは別に、スパイダーマンの人気悪役ヴェノムを主人公にした映画『ヴェノム(原題)』をトム・ハーディ主演で鋭意製作しています。ヴェノムとは、スパイダーマンの能力を記憶した地球外の寄生体シンビオートが人間に寄生して誕生したヴィランで、スパイダーマンの能力を完全に受け継いでいることから、“第2のスパイダーマン”とも呼ばれています。
『ダークナイト』3部作の最終章『ダークナイト ライジング』でバットマンの宿敵ベインを演じていたトムハが今度はどんな怪演をするのか……。永遠に語り継がれるであろう故ヒース・レジャーさんが演じたジョーカーのような、ダークヒーローに化けるか見ものです。トムハのほかにも、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のミシェル・ウィリアムズ、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のリズ・アーメッドら実力派がそろっているので、演技合戦にも期待。
ソニーは、本作を皮切りにしたR指定路線のユニバース展開を視野に入れており、大作ではありえない急ピッチながらもかなり気合いを入れて製作しているのは、第1弾となる本作のヒットに懸けているからなのでしょう。映画ファンとしては、トムホふんするスパイダーマンと、トムハ演じるヴェノムという、英国俳優界の二大“トム”の共演というビジョンがちらつきますが、ソニー独自のユニバースになるため、MCU入りしている『スパイダーマン:ホームカミング』シリーズとは今のところクロスオーバーしないとしています。MCUが最強無敵になりつつある中、本作が新たな対抗馬になるのか、注目です。
DC映画は年末までお預け!
これまでマーベルコミックスが原作の映画ばかりでしたが、ワーナーが手掛けるDCエクステンデッド・ユニバースは、『ジャスティス・リーグ』ですでに活躍しているアクアマンの単独映画を年末に控えています。主演ジェイソン・モモアの脇を固めるのは、アクアマンの恋のお相手メラ役でジョニー・デップの元妻として知られるアンバー・ハード、アクアマンの母親役にニコール・キッドマン、アクアマンのアドバイザー的存在である科学者ヴァルコ役にウィレム・デフォー、アクアマンの異母兄弟にして悪役のオーム役に『死霊館』シリーズなどのパトリック・ウィルソン、アクアマンと敵対するネレウス役に『ロッキー4/炎の友情』のドルフ・ラングレンととにかく豪華俳優陣。『ソウ』『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワンがメガホンを取る本作は、『ワンダーウーマン』のような大ヒットを飛ばせるか、DC映画の今後を占ううえでも重要な一作になりそうです。