今年期待のホラー映画たち!人気シリーズから掘り出しモノまで!
今週のクローズアップ
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『美女と野獣』といった大作が並んだ2017年。そんななか、恐怖のピエロが子供たちを襲うジュブナイルホラー『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が空前のヒットを記録。ホラー市場の再燃を予感させる今年公開予定(全米含む)の、震えて待ちたい期待の新作をピックアップしました!(編集部・入倉功一)
絶対に死ぬビデオ、再び……
『ザ・リング/リバース』(日本公開1月26日)
今年20周年を迎える映画『リング』シリーズのハリウッド版最新作。日本版は、貞子が『呪怨』の伽椰子と対決を果たし(『貞子vs伽椰子』)行き着くところまで行った感がありますが、本作では、原点回帰の恐怖が描かれます。「見た者は必ず7日後に死ぬ」という、呪いのビデオの怖さは相変わらず。犠牲者の死にざまもシリーズ屈指の怖さです。アメリカの貞子ことサマラは、航空機事故まで巻き起こすハリウッド規模のジェノサイダーぶりを発揮。また薄型テレビが主流の時代に合わせ、床に倒れたテレビを画面から持ち上げて出てくる力技など、新しい魅力も満載の一本です。サマラの恐怖の解釈についても、原作に近いものがあり、小説シリーズの読者にとっても興味深い一本だといえるでしょう。
ベジタリアンの少女に隠された本能
『RAW~少女のめざめ~』(日本公開2月2日)
あまりにショッキングな内容から、昨年から一部の映画ファンの間で話題になっていたフレンチ青春ホラーです。獣医学校に入学したベジタリアンの少女が、新入生いびりで動物の内臓を口にしたことをきっかけに、カニバリズムに目覚めていく……。女性監督のジュリア・デュクルノーが手掛けた本作は、思わずのけぞってしまうハードな描写はあるものの、一人の少女が女性へと変化していくさまを過激に切り取った成長物語になっており、ホラー嫌いの人も共感できるはず。スタイリッシュで芸術的な映像にも目を奪われる、ホラー映画の枠にとどまらず、間違いなく近年の映画史に残る一本として必見の映画です。
悪魔の修道女を描く『死霊館』スピンオフ!
『ザ・ナン(原題)/The Nun』(全米公開7月13日予定)
(ヴァラクの姿は1:51ごろ登場『死霊館 エンフィールド事件』予告編)
派生シリーズがいずれも大ヒットとなり、ホラー界の『ワイルド・スピード』の様相を呈してきた『死霊館』シリーズのスピンオフ。『死霊館 エンフィールド事件』に登場した、シスターの姿をした悪魔ヴァラクにまつわるストーリーが語られます。これまでのシリーズでも、似顔絵や、ただ立っているだけでメチャクチャ怖かったシスターが出ずっぱりと考えただけで、最恐ホラーになること確実な一本です。詳細は不明ですが、修道院を舞台に、ヴァラクに対峙(たいじ)する修道僧たちを描くともいわれています。ちなみにヴァラクは、昨年スマッシュヒットを記録した『アナベル 死霊人形の誕生』のラストにも、マーベル映画のようなオマケ映像としてちょっとだけ登場しています。
『死霊館』じゃないよ!本格ホラー第4弾!
『インシディアス:ザ・ラスト・キー(原題) / Insidious: The Last Key』(全米公開中)
呪いの家の恐怖を発端とした人気ホラーシリーズの最新作。同じ『ソウ』シリーズのジェームズ・ワン監督のプロデュース作品で、どちらの作品にもパトリック・ウィルソンが出演していることから、『死霊館』シリーズと混同しやすかったのですが、前日譚(たん)となった前作『インシディアス 序章』から、1作目に登場した霊能力者エリーズ(リン・シェイ)を軸にした物語になりました。今回エリーズは、メキシコにある自分の生まれた家の呪いに向き合うことに! 少女時代のエリーズが、どんな体験を経て霊能力者となったのか? その秘密が明らかになりそうです。すでに全米ボックスオフィスにおいて、初登場2位のヒットを記録。日本では、前作『序章』が短期間の限定上映に終わったこともあり、今度はちゃんと劇場公開されるのか? という意味でもドキドキする一本です。
人皮マスクの殺人鬼、誕生秘話!
『レザーフェイス(原題)』(日本公開春予定)
衝撃的な恐怖描写で映画史を一変させた伝説的ホラー映画『悪魔のいけにえ』(1974)の前日譚(たん)。テキサスに暮らす異常な殺人鬼一家の一員で、人の皮のマスクをかぶりチェーンソーを振り回す姿で知られる殺人鬼・通称レザーフェイスの十代を描きます。精神科病院から脱走した3人の患者たちが、看護師を人質に逃避行を繰り広げる。異常な警官によって追い詰められる彼らだったが、実はその3人のうち1人は、ティーンエージャー時代のレザーフェイスと呼ばれる男だった……。誰がレザーフェイスなのか? というミステリーに加え、監督は正視にたえないショッキング描写で話題を呼んだ『屋敷女』(2007)のジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロのコンビとあって、スプラッター描写にも期待大。
スクリームクイーンが帰ってくる!
『ハロウィン(原題) / Halloween』(全米公開10月19日予定)
1978年に公開され、今年で40周年となるホラーシリーズの最新作。アメリカ・イリノイ州の架空の街ハドンフィールドを舞台にした、不気味な白い仮面とつなぎを身に着けた殺人鬼マイケル・マイヤーズの恐怖が再び蘇ります。リブート版を含めるとすでに8作を数える人気シリーズですが、今回は、生みの親であるジョン・カーペンターが製作総指揮として参加。さらに元祖スクリームクイーン、ジェイミー・リー・カーティスが演じるヒロイン、ローリー・ストロードも帰ってくるようです。物語はリブートではなく、シリーズの最初の2作品にフォーカスした作品になるとのこと。詳細は不明ですが、カーティスはTwitterで「同じベランダ。同じ衣装。同じ恐怖。40年後。最後にもう一度、ハドンフィールドに戻って来たわ」と本作についてツイートしているので、あらゆる意味でシリーズに終止符を打つ作品になるかもしれません。
古代の巨大サメ、ついに映画化!(VS.ステイサム)
『ザ・メグ(原題) / The Meg』(全米公開8月10日予定)
『ジョーズ』『ディープ・ブルー』『シャークネード』……。サメの恐怖を描く作品は数多く生まれていますが、サイズ的に最大級の作品がこれ。本作に登場するサメは、古代の地球に実在したとされ、歯の化石も発見されている古代のサメ“メガロドン”。体長30メートル、体重20トンともいわれる巨大サメが現代に生き残っていたという、スティーヴ・オルテンの海洋パニックスリラーが原作です。お台場の等身大ガンダム立像が全長約18メートルだったので、2倍以上の大きさです。ただ、この巨大サメに立ち向かうのは、アクションスターのジェイソン・ステイサムなので、勝負の結果は予測がつきません……。当初は食人映画『グリーン・インフェルノ』のイーライ・ロスがメガホンを取る予定でしたが、『ナショナル・トレジャー』シリーズのジョン・タートルトーブ監督に変更。ホラー色の薄れた、夏の大作らしい海洋アドベンチャーになりそうです。
絶対に音を立てちゃいけない!
『ア・クワイエット・プレイス(原題) / A Quiet Place』(全米公開4月6日予定)
「もし聞きつけられたら、あなたはやつらに狩られる」という意味深なコピーと予告編以外のあらすじが明かされていない謎のスリラー。予告編では、父と母、姉弟の4人家族が、味わいのあるロッジで、手話で会話を交わすなど、音を一切立てないようにして暮らす様子が映し出されます。物音を立てた瞬間に、どんな恐怖を彼らが襲うのか……。主演は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でトム・クルーズの相棒役を務めたエミリー・ブラント。「音を立ててはいけない」という緊張感から生まれる恐怖が持続する一級スリラーとして、盲目の老人が若者たちを襲う『ドント・ブリーズ』に続く、音を出しちゃいけない系ホラーの傑作となるのか? 気になるところです。
ネット発、あの都市伝説キャラクターが映画に!
『スレンダー・マン(原題) / Slender Man』(全米公開5月18日予定)
アメリカのあるユーモアサイトの掲示板から生まれた都市伝説キャラクターがついに実写化。細身で黒い背広に身を包んだ、異常なほど手足が長い長身の男“スレンダー・マン”の伝説はネットの世界で異常な広まりを見せ、日本でも話題になりました。予告編では、日本のホラーに近い、心理的な恐怖を描いた作品になっていることを予感させます。製作者たちが、どんなアイデアをもって不気味な男を映画化しているのか? ヒットすれば続編も製作されるでしょうから、ホラー映画界を代表する新キャラクターの誕生となるのかも含め、チェックしたい一本です。
このほか、「1年に一晩だけ、どんな犯罪も合法になる」法律が成立した世界の最初の夜を描く『ザ・パージ:ジ・アイランド(原題)The Purge: The Island』や、仮面をつけた不気味な襲撃者の恐怖を描いたリヴ・タイラー主演映画『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』(2008)の続編『ザ・ストレンジャーズ:プレイ・アット・ナイト(原題) / The Strangers: Prey at Night』など、ほかにも公開予定の映画はたくさん! 今年も星の数ほどあるホラー映画にどっぷりつかってください!