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鳥肌もののミュージカル!2月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 歌と踊りの迫力がハンパないヒュー・ジャックマン主演ミュージカルがついに公開! 岡崎京子の漫画を二階堂ふみ吉沢亮で実写化した青春ドラマのほか、賞レースの顔ともいえるクライムサスペンス、切なく心に響くストップモーションアニメ、カンヌ国際映画祭で女性史上2人目の監督賞に輝いたソフィア・コッポラのスリラーをピックアップ。これが2月の5つ星映画5作品だ!

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やり場のない母の怒りは暴力的でどこか悲しい

スリー・ビルボード
(C) 2017 Twentieth Century Fox

スリー・ビルボード

 アメリカの田舎町で、娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)が、犯人が逮捕されないことに腹を立て道路沿いに3枚の広告看板を出したことから巻き起こる騒動を描く本作。フランシスは、『ファーゴ』以来となるアカデミー賞主演女優賞の受賞本命と予想されており、今回は信念を貫くことで孤立してしまう強い母を演じている。劇中でジャンプスーツに身を包んで頭にバンダナを巻き、真一文字に口を結んで突き進むその表情は、孤高の戦士のよう。娘はもう戻ってこないと理解しながらも、やり場のない怒りのエネルギーを2時間ノンストップで燃やし続ける新たな悲劇のヒロイン、いや、真摯に事件を追う新たなヒーロー像を見せている。一方、フランシスと対立する警察官役のサム・ロックウェルは、暴力と人種差別を具現化したような人物でありつつも人間としてのもろさがあり、悪は何かを問いかける。答えのない重苦しい空気の中で、時々放たれるブラックなジョークには切なくも救いが感じられ、俳優とマーティン・マクドナー監督の手腕が光る。(編集部・梅山富美子)

映画『スリー・ビルボード』は2月1日より公開中

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愛くるしい子供たちが伝えるメッセージは温かいだけじゃない

ぼくの名前はズッキーニ
(C) RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016

ぼくの名前はズッキーニ

 第89回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた、スイス・フランス合作のストップモーションアニメ。心に傷を負った子供たちが、さまざまな事情で親から離れ施設で共同生活をする中で、信頼や愛情を見いだしていくさまを描いている。真っ青な髪に青く縁どられたまん丸の目というビジュアルだけを見ると、ちょっとドキッとしてしまうような主人公・ズッキーニ、そして同じく個性的な子供のキャラクターたち。しかし、ひとたび動き出せばストップモーションアニメならではの体温が感じられ、愛おしい存在に見えてくる。66分という短い時間の中で、動いていく子供たちの心が急がず丁寧に映し出され、じんわりと温かさが伝わってくる。人形だからこそ視覚的に訴える感情があるのはもちろんだが、ほんの時折、子供らしい素直な言葉に表れるストレートなメッセージは印象的。ふわりと涙が流れる一方で、カラフルな色彩がそれと対照的な社会の現実、大人たちの影響により子供の心に沈んだ薄暗い影を浮き出させているのも確か。(編集部・小山美咲)

映画『ぼくの名前はズッキーニ』は2月10日より公開

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鳥肌ものの歌とダンスが最初から最後まで!

グレイテスト・ショーマン
Victor Chavez / Getty Images

グレイテスト・ショーマン

 『X-MEN』のウルヴァリン役で世界的スターになったヒュー・ジャックマンが、実在した伝説の興行師P・T・バーナムにふんしたオリジナルミュージカル。自身のSNSにダンスの練習風景を投稿しているヒューだけでなく、妻を演じたミシェル・ウィリアムズの踊りと抑揚のある歌声も完ぺきで、2人の共演シーンは昨年のアカデミー賞で6部門を制し日本でも大ヒットした『ラ・ラ・ランド』を上回る出来栄え。一つの動きに意味を持たせる振り付けも格好良く、肉体を駆使して表現しきった全ダンサーの熱がスクリーンからあふれ出してくる。鳥肌ものの歌とダンスで愛と人生を語るサクセスストーリーの中でバーナムが次々と繰り出す奇抜なアイデアは、ビジネスマンのヒントになりそうなものばかり。「目を開けて夢を見よう」「何かと比較するのはよそう」といった格言が歌に乗ってミュージカルシーンの迫力が最初から最後まで失われないところが最大の魅力!(編集部・小松芙未)

映画『グレイテスト・ショーマン』は2月16日より公開

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監督&キャストの情熱が結実した「完璧」な岡崎ワールド!

リバーズ・エッジ
(C) 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

リバーズ・エッジ

 「岡崎京子の漫画を映画化」というだけで拒否反応を示す原作ファンもいるかもしれないが、原作の魅力に忠実であること、そして20年以上前に連載された原作を「今」映像化する意義を重んじる作り手の真摯さに圧倒される野心作だ。行定勲監督が「2017年に映画を作るわけだから、この年に生きている登場人物と同じ世代のキャストに、キャラクターを通じて役をどう受け止めているのかを聞きたいと思った」と意図を説明している試みは、キャラの個性や内面を印象付けるのにも一役買っている。学校での「健全」な付き合いと対比するかのように、河原に放置された死体という秘密を共有することで本当の自分をさらけ出していくティーンの寄る辺なさ、漠然とした不安が生々しい。一見は「普通」の女子に見えるハルナ役の二階堂ふみは受け身の演技に徹しながらも、彼氏役の上杉柊平を相手にした時は体当たりの熱演を披露。ガールフレンドとかりそめの生活を続け、時限爆弾のような葛藤を抱える同性愛者の山田にふんした吉沢亮は、終盤、あるモノを目撃したときの“ヤバい”表情が圧巻。原作の中でも“岡崎的”な、ハルナの友人で男性関係が派手なルミ(土居志央梨)とその姉の壮絶な確執も見ものだ。(編集部・石井百合子)

映画『リバーズ・エッジ』は2月16日より公開

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女同士の連帯は最強(恐)!円熟味を増したソフィア・コッポラ最新作

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
(C) 2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

 ソフィア・コッポラがカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、話題になった本作。南北戦争期、米南部にある女だけの寄宿学園に、負傷した北軍兵士が運び込まれたことから、女たちの情欲と嫉妬が渦巻いていくさまを描く。ドン・シーゲル監督×クリント・イーストウッド主演版『白い肌の異常な夜』と同じ原作に基づいているがそのリメイクではなく、あくまでも原作の“女性解釈版”とソフィア自身が強調しているように、女性たちの愛憎劇がよりリアルで恐ろしい(!)。これまでの作品では主に少女の気持ちを代弁してきたソフィアだが、本作で少女はもちろんニコール・キッドマン演じる園長先生まで、それも新境地のスリラーで描き切り、監督としての、女性としての円熟度を見せつける。そしてイーストウッド版よりもワイルドな魅力で女子たちを翻弄するコリン・ファレルがこれまた絶品。彼が魅力的であればあるほどに結末がドラマチックになるのだから。女同士の連帯は最強(恐)であり、今まさにセクハラ問題や賃金格差に声を上げる女性たちに共鳴するかのような一作でもある。(編集部・石神恵美子)

映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は2月23日より公開

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