『ブラックパンサー』百田夏菜子 単独インタビュー
一人だと人見知りでソワソワしちゃう
取材・文:磯部正和 写真:高野広美
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で鮮烈なヒーローデビューを飾ったブラックパンサーの活躍を描いた映画『ブラックパンサー』。本作で、ブラックパンサーの正体であるティ・チャラの妹シュリの日本語吹き替え版声優を務めたのが、人気アイドルグループ・ももいろクローバーZの百田夏菜子だ。ハリウッド作品への参加に「自分が絶対に足を踏み入れられる世界ではないと思っていた」と率直な胸の内を明かした百田が、吹き替えの感想や、2018年にチャレンジしたい意外な野望(!?)について語った。
ハリウッドは足を踏み入れられない世界だった
Q:ハリウッド作品への参加となりましたが、どんなお気持ちで挑まれましたか?
わたしの中で「ハリウッド」という言葉は大きすぎて、絶対に自分が足を踏み入れられる世界ではないと思っていたので、いろいろなニュースでハリウッドという言葉とわたしの名前が一緒に取り上げられているのを見ると、現実なのか夢なのかという不思議な感覚でした。
Q:アフレコ収録をされて、実感は湧いてきましたか?
正直、まだ実感がないです。これまでがあまりにもかけ離れていたので……。でもこういう形で関わらせていただけて、少しは自分の中でかみしめている感じです。
Q:初めての吹き替えということでしたが、どんなところを意識しましたか?
いろいろな作品での吹き替え声優さんの声を聞いて、発音というよりは声の出し方をすごく気にしました。テレビドラマや映画でやっているようなお芝居をしても、なにか違うような感じがしたので、少し大きくというか、劇的なお芝居を意識しました。ただ、お芝居をしているときにも感じるのですが、吹き替えも何が正解なのかわからないので、難しかったです。
個人活動とももクロでの活動の違い
Q:声優や女優のお仕事など、個人での活動も増えていますが、グループでのお仕事とは気持ちは違うのでしょうか?
どこかでわたしは“ももクロの百田”ということを感じているとは思いますが、あまり個人だから、グループだからといって気持ちが変わることはないと思っています。一つのお仕事に対してグループとしても個人としても、ただ全力でやらせていただくだけです。
Q:性格や立ち居振る舞いも変わりませんか?
個人の場合、一緒にいる人が違うので多少は違うかなと思います。グループでいるときは、たいていみんなふざけていて、基本的にメンバーそれぞれ人の話は聞いていません(笑)。でも一人のお仕事のときは、周りに助けてくれる人がいないので、いつも以上にしっかりしないといけないという気持ちでいます。
Q:グループでいるときは、みなさん奔放なのですか?
そうですね。みんなでいるとワイワイにぎやかですね。でも一人になると人見知りを発揮してしまいます(笑)。わたしもほかの撮影現場だと、ソワソワしてしまって、あいさつの声も小さくなりがちなので、そういう部分は気をつけようと思っています。
百田にとってのヒーローとは?
Q:マーベル作品といえばヒーローですが、百田さんにとってのヒーローとは?
THE ALFEE の坂崎幸之助さんです。月1でお仕事(「坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT」)をご一緒させていただいているのですが、お仕事の考え方がとても素敵で格好いいです。いつお会いしても優しくて、坂崎さんとご一緒させていただいていると「頑張らなければ」と思えます。大変なときに、すごくさりげなく寄り添ってくれるというか、無言で助けてくれるような方。わたしにとってのヒーローです。
Q:手の届かない対象よりは、身近な人にヒーロー像を抱く方なのですね。
もちろん、マーベルで描かれているようなヒーローにも憧れます。この作品でも、国王とヒーローという使命を任されて奮闘する姿にはとても共感できました。でも、個人的には身近な人の方がリアリティーを感じます。
Q:百田さん自身も、ももいろクローバーZとして、多くの人から憧れられる存在であると思うのですが、普段から心掛けている生活信条みたいなものはありますか?
最近、小さい子ども向けの番組などもやらせていただいているので、なるべく汚い言葉や、ネガティブな発言はしないように心掛けています。小さい子には夢だけを持ってほしいですからね。あとは、言葉遣いや立ち居振る舞いも含めて、人を嫌な気持ちにさせないようにということを意識しています。
2018年、百田夏菜子の野望!
Q:ももいろクローバーZも4人体制での再スタートの年になります。百田さん自身、どんな思いで2018年を迎えましたか。
ももクロは今年10周年を迎えるので、これまでお世話になった人たちに感謝を伝えたいと思っています。体制も変わりやることが多く、のんびりはしていられませんが、しっかりと丁寧に、納得のいく仕事をしていきたいです。
Q:個人としてはいかがですか?
このあいだ、番組で占いをしていただいたのですが、2018年は「ご褒美の年」といわれました。思ったことはなんでもやった方がいいということだったので、行動あるのみです。
Q:具体的にはなにか野望はありますか?
わたしは、ずっと静岡から東京に通っているので、これまで数え切れないほど新幹線に乗っているのです。そんなわたしが、最近すごく気になっているのが、車内アナウンスです。静岡を通るぐらいに「みなさま、間もなく右手に富士山が見えてくると思うので、どうぞ記念写真を撮ってお帰りください」みたいな音声が流れてきて、みんなが一斉に写真を撮っていたのです。それを見てすごく感動したので、いまはあのアナウンスをやりたいです。静岡~東京間ならいろいろな知識もあるし、わたしなりの放送ができると思っています(笑)。
「グループのメンバーの中では、わたしは割とドライな方です」と照れ笑いを浮かべていた百田だが、言葉の端々から漏れ出てくる人懐っこさは、ファンばかりではなく、多くの業界関係者からも愛される理由の一つなのだろう。ももいろクローバーZは今年、4人体制で新たなスタートを切るが、百田個人としても、ほぼ同タイミングでハリウッド作品への参加という大きな仕事が重なった。こんなときだからこそ「一つ一つ丁寧に」と仕事に向き合う姿勢を明かした彼女の姿には、愛らしさにプラスして頼もしさも感じられた。
(C) Marvel Studios 2018
映画『ブラックパンサー』は3月1日より全国公開