なぜ『スター・ウォーズ』を超えた?『ジュマンジ』が世界でウケた理由
提供:ソニー
すごいことが起きました。どんな映画も勝ち目がないと思われた『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』という映画が超えてしまったのです。それはなぜなのか、そしてどういう映画なのか、一足先に映画を観て、検証してみました!(編集部・海江田宗)
■まさかのスター・ウォーズ超え!タイタニック以来の快挙とは?
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』が全米で公開されたのは2017年12月20日。大ヒット確実の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の封切りのわずか5日後でした。
そして公開3週目にして“最後のジェダイ”を抜き去り、全米週末興行収入ナンバーワンに輝き、3週連続トップに。1度、トップの座を新作映画に明け渡すも翌週には、1位に返り咲きました。
12月公開の映画が2月に1位になるのは、1997年に公開されすべての映画の記録を塗り替えた『タイタニック』以来で、それだけでもそれがどれほどスゴイことなのかわかります。
■ゲームの世界へ!? 気づけばそこはジャングル
ゲームのキャラクターになって、ゲームの世界に入ってみたい! そんな妄想を抱いたことはありませんか? その妄想を映画の中で実現してしまっているのが、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』です。本作では、高校生4人組が、ゲームの世界に吸い込まれてしまい、普段の自分とは見た目も中身もまったく違う、ゲームで選んだキャラクターになってしまいます。
元の世界に戻るには、ゲームクリアしながらステージを進み、ミッションを達成しなければならない。ステージは4つで、一見、攻略の簡単なゲームにも思えるのですが、一つずつクリアしていかないと次のステージには進めません。しかもステージが進むにつれて難易度が増していきます。また、彼らの “ライフ”は3回と限られています。そうです、まるで、ゲームの自機(ゲームでプレイヤーの操作するキャラクター)のようで、ゲームのリアル感がハンパないんです!
■『君の名は。』のナナメ上をいく「もしかして入れ替わってる~?」
あの『君の名は。』の面白さの一つには、男女が入れ替わってしまった高校生が、性別も異なる他人になってしまったことに戸惑いながら、自分とは異なる誰かの生活に必死に順応していく姿があったと思います。この『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』での入れ替わりは、それが4人同時に起こってしまったような、まさに『君の名は。』のナナメ上をいく状態。4人は最初、普通にテレビゲームをしようとして、それぞれがキャラクターを選びますが、冒険家、地図専門家、動物学者、美女戦士と特に深く考えずキャラクターを決めます。しかし、いざゲームの世界に入ってみると、気弱なゲームオタクが選んだのは勇敢で無敵なムキムキのイケメン、自分大好きインスタ美女が選んだのはデブオヤジ、引っ込み思案のガリ勉女子が選んだのは超絶セクシー美女、勉強が苦手なアメフト部のスーパースターが選んだのは足が遅くてけんかも弱い武器係(というか、使い走り……)ということが判明します。
想像してみてください。ムキムキイケメンの中身がゲームオタクで、「やだやだ僕は行きたくない、お前が行けよ!」と言って怖がっている姿を……。または、デブオヤジが美女にモテるテクニックを指導している姿を……。イケメン役は、『ワイルド・スピード』シリーズにも出演していたドウェイン・ジョンソン。デブオヤジ役は『スクール・オブ・ロック』などコメディー映画によく出演しているジャック・ブラックです。演じている役者を知っていると、二人が世間のイメージと異なる役柄を嬉々として演じていることが伝わり、より面白く、それがヒットの要因の一つにもなっているのですが、先に想像していただいたとおり! そんなことを知らなくても十分に楽しめます!
■スキルは「キメ顔」ってどういうこと?謎のスペックに振り回される!
ゲームのキャラクターには、それぞれ得手不得手が設定されているものですが、4人がなってしまったキャラクターにも、「スキル」と「弱点」があります。しかも、右胸を押すとまるでゲームコントローラーのBボタンのように、自分のスペックがポップアップで表示され、状態が確認できたりしちゃいます。
例えば、ムキムキイケメンのスキルは「キメ顔」。ポップアップは自分だけでなく、チームのメンバー全員が見ることができるので、「スキルがキメ顔って何?」と皆困惑しますが、実は、それ必要? と思ったスペックでさえ、活用しなければ攻略できないようにゲームは設計されているのです!
4人は、居残り授業でたまたま一緒になったメンバーなので、ゲーム開始当初はまったく仲が良くなくチームワークもゼロなのですが、徐々にお互いの弱点をカバーし、強みなどを有効に使うなどして協力していかなければゲームを攻略できないことに気付き、次第に友情を(ちなみに恋も!)芽生えさせていきます。
“ゲームの中”という設定、キャラクターの中身と見た目のギャップに大笑いしていたら、いつの間にか、チームワークの重要性に気付かされ、じわじわと感動が湧いてくる本作。しかもそれは、おしつけがましい感動ではなく、ネット社会で、ともすれば個人プレーになりがちな昨今、忘れかけていたチームパワーという人と人との絆を思いおこさせてくれる、深い感動です。思いっ切り笑えるのに感動もできるというのは正直ズルい! いまの時代にぴったりでありながら普遍的なテーマで心をつかみ、そして最後の最後まで笑えて面白い! こんな映画、あるようでなかった。映画を観たら、きっとヒットの理由がわかるはずです。