あの人もこんなに若かった!人気シニア俳優、今昔
今週のクローズアップ
渋い魅力と群を抜いた演技力で映画界を支えるシニア俳優たち。そんな彼らは若いころからカッコよかった! 現役で精力的に活躍し続ける名優たちの若かりしころを、写真と一緒にプレイバックしてみました。
モーガン・フリーマン
『ショーシャンクの空に』の老囚人レッドや『セブン』の老刑事サマセットなど、落ち着いた物腰に長年の苦労をにじませるベテラン役で知られるモーガン・フリーマンは現在80歳。アカデミー賞助演男優賞に輝いた『ミリオンダラー・ベイビー』といった名作から、『ダークナイト』などのエンタメ大作まで、ハリウッドになくてはならない存在である彼は、1970年代に教育番組「ジ・エレクトリック・カンパニー」で歌声を披露したり、今では考えられないファンキーなコメディー演技を披露したりしていました。当時の、見ているだけで落ち着くような独特の表情は現在と同じ。30代半ばから、若々しいまま渋さを増したことが見てとれます。
イアン・マッケラン
『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズのガンダルフとして、世界中で絶大な知名度を誇るイアン・マッケラン。舞台俳優として、トニー賞など数々の栄誉に輝くイギリスを代表する名優であり、『X-MEN』シリーズのマグニートーとしてアメコミ映画ファンにも知られる存在。さらに、1980年代にいち早くゲイであることを公表するなど、公私にわたってエンタメ界に多大な影響を与えてきました。1960年代から映像の世界で活躍し、そのころの姿は英国舞台俳優らしい凛としたたたずまいと、若者らしい無邪気な表情が合わさり、えも言われぬ美しさ。透き通った瞳は現在のままです。どことなくベネディクト・カンバーバッチのような雰囲気も感じます。
アンソニー・ホプキンス
名門王立演劇アカデミー出身にして、アカデミー賞主演男優賞に輝いた『羊たちの沈黙』の殺人鬼レクター博士役で知られる名優アンソニー・ホプキンス。80歳の現在も『マイティ・ソー』シリーズやドラマ「ウエストワールド」など、ジャンルを問わず引っ張りだこの彼ですが、『羊たちの沈黙』以前から、名脇役として知られる存在だったといいます。1960年代の姿を見てみると、ほとんど見た目が変わってないことにビックリ。俳優としての心がけは「せりふを覚えて、現場に行って、演技をする」ことだという自然体で物事に向き合う姿が、若さの秘訣なのかもしれません。
マイケル・ケイン
『ダークナイト』『インターステラー』などクリストファー・ノーラン監督とのタッグで知られ、85歳にして、主人公をサポートする“執事”ポジションが最も似合う(?)存在として人気のマイケル・ケイン。映画ファンには言わずと知れたことかもしれませんが、若いころの彼はなかなかのイケメン! 稀代のプレイボーイを演じた『アルフィー』(1966)など、ひょうひょうとした物腰と、イギリス出身らしい紳士的なたたずまいが融合した姿と、引き込まれる目力は、今観てもドキリとさせられます。『空軍大戦略』『ハンナとその姉妹』といった名作から『ジョーズ'87/復讐篇』まで、出演作の多さで知られる彼ですが、その経験が、より人間としての深みを増すことに一役買ったように感じられます。
ジェームズ・クロムウェル
ひょろりとした長身と、特徴的な鼻、知性がにじむ顔立ちで、悪役から善人まで幅広い役を演じ分けるジェームズ・クロムウェル。大ヒット海外ドラマ「24 TWENTY FOUR」では主人公ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)の父親を演じるなど、ドラマ界でも活躍し、『L.A.コンフィデンシャル』や『グリーンマイル』、最新作の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』まで、現在ではハリウッドで引っ張りだこの彼ですが、『ベイブ』(1995)の寡黙な農場主役で注目されるまでは、そこまで知られた存在ではなく、舞台経験を経た後の主な活躍の場はテレビドラマだったといいます。当時の姿を見ると、あらためて身長の高さにビックリ! 共演者が見上げてしまうほどの高さゆえに、撮影現場では使いにくかったのかもと想像してしまいます。
ジュディ・デンチ
70代で『007 スカイフォール』のメインヒロインともいえる役を見事に務め上げたのが名女優ジュディ・デンチ。1957年の舞台デビュー当時の姿は、初々しいという言葉がぴったりの女の子。しかしここから彼女は、数多くの賞を受けることになり、イギリス演劇界で確固たる地位を築きました。60年後の現在でも、当時のあどけなさが残っていることが見てとれます。
トミー・リー・ジョーンズ
並んだシニア俳優のなかでは、まだまだ若いトミー・リー・ジョーンズ。それもそのはずで、71歳という年齢は、実はシルヴェスター・スタローンと一緒です。居並ぶ名優たちと一緒でも違和感がないのは、その演技力と風格ゆえでしょうか。大学卒業後、ニューヨークでブロードウェイの舞台に立ち、1970年に『ある愛の詩』で映画デビュー。『ローリング・サンダー』『沈黙の戦艦』、アカデミー賞助演男優賞を受賞した『ハリソン・フォード 逃亡者』、そして『天と地』『ノーカントリー』など、アクションから深みのある演技力を生かしたドラマまで、やはり幅広く活躍する演技派の彼ですが、学生時代はアメリカンフットボールで最優秀選手賞に輝いたスポーツマンでした。当時の姿は、たくましい肉体とアゴが目を引く、“無骨”を絵に描いたようなたたずまいが印象的です。
こうして、主に80代オーバーの名優たちを見てみると、あらためて、若いころから変わらない彼らの魅力と、そのパワフルさを感じられるようです。彼らの前では、やはり現在68歳のイギリス俳優ビル・ナイも、まだまだ若いと思えてきます。少しでも長く、彼らの名演を観ていたいですね。(編集部・入倉功一)