『映画クレヨンしんちゃん』ももいろクローバーZ 単独インタビュー
しんちゃんはアイドルの大先輩!
取材・文:磯部正和 写真:高野広美
4人体制となったももいろクローバーZが主題歌&劇中歌&声優を務めた『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』。彼女たちにとって新体制となり初めての仕事だったが、明るく前向きになれる主題歌や“くろぐろクローバーZ”として劇中で活躍を見せるなど、存在感を存分にアピールした。そんなももクロのメンバーの百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにが『クレヨンしんちゃん』とのコラボや、新体制で臨む今後のももクロについて語った。
『クレヨンしんちゃん』との出会いは運命的!
Q:4人体制になったももいろクローバーZの初仕事が、劇場版『クレヨンしんちゃん』の主題歌&劇中歌&声優でしたね。
佐々木彩夏(以下、佐々木):4人になることが発表されたライブの翌日から『クレヨンしんちゃん』の仕事が始まったのですが、1人いなくなってしまって心細いところを、しんちゃんが明るく盛り上げてくれたので、とても救われた気分でした。
百田夏菜子(以下、百田):わたしも、4人になって最初のお仕事が『クレヨンしんちゃん』だったことはとても心強かったです。また、4人体制になって初めてのシングル「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」が主題歌になったことも、すごくありがたいなと思いました。『クレヨンしんちゃん』は、しんちゃんと仲間たちが、みんなで協力し合いながら前に進んでいくお話なので、わたしたちも一緒に前を向けている感じがして心の支えになっていました。
玉井詩織(以下、玉井):わたしたちもそうですが、ファンの方々も4人体制になったことは心配だったと思うんです。「どんなかたちになるんだろう」という不安のなか、『クレヨンしんちゃん』とコラボできたことはすごく大きかったです。わたしたちが歌う主題歌も「少し不安なことがあったり落ち込んでいたりしても、みんなで笑っていれば、きっと大丈夫」というメッセージが込められていて、いまのわたしたちにはピッタリの曲かなと思うんです。『クレヨンしんちゃん』との出会いには運命的なものを感じるし、勇気をもらいました。
高城れに(以下、高城):いきなり4人体制になると聞いたとき、心にポッカリ穴があいたような感じだったのですが、このお仕事をいただき、あいた穴が埋まっていくような感じでした。たくさんの人々に愛されている『クレヨンしんちゃん』のように、わたしたちも多くの人に愛されたいと思っているので、新曲のテーマである“笑顔の絆”をたくさんの方に伝えられたらと思っています。
Q:『クレヨンしんちゃん』愛がすごいですね。
百田:誰からも愛されている『クレヨンしんちゃん』とタッグを組めたら無敵になるんじゃないかなと思うぐらい、わたしたちにとって強い味方です。言ってみれば、しんちゃんはアイドルの大先輩なわけで、そんな方とご一緒できるのはやっぱりすごいですよね。しかもしんちゃんは5歳ですからね(笑)。
高城:テレビで見ていたときと、実際ご一緒してからのイメージが全然変わらないんです。いつまでたっても、どの立ち位置にいても、しんちゃんは無敵な存在です。
玉井:わたしは小さいころから『クレヨンしんちゃん』の映画やテレビアニメに勇気づけられてきた人間なのですが、そんな作品に出演できることは夢のようです。しかも、主題歌や声優としてご一緒できたということは今後ずっと残り続けるじゃないですか。それってすごいことですよね!
佐々木:しんちゃんが「ももクロちゃん!」って呼んでくれたり、わたしたちの曲に合わせて踊ってくれたりしているのを見ると「わたしたちのこと認識してくれているんだ」と感慨深い気持ちになります。普通に大スターとお友達になれた感覚です(笑)。
メンバーと一緒の仕事は安心感がすごい
Q:アフレコのお仕事はいかがでしたか?
百田:声の仕事は1人でやることが多かったのですが、この話をいただいたときは「4人でできる!」ってすごくうれしかったです。やっぱり隣にメンバーがいるのは安心感がすごいです!
玉井:最初は「どうやったらいいんだろう」と困惑していたのですが、4人で横並びになると、自然と緊張感がなくなるんです。
高城:監督が鬼のように怖かったらどうしようとか、現場がシビアだったら大変だなと不安もあったのですが、初対面からとても気さくに接していただけたので、和やかにできました。楽しかったです。
佐々木:アイドル役だったので、なんの違和感もなく、いつものわたしたちっぽく臨めました。普段はわたしたちが、テレビのなかのしんちゃんを見ているのに、しんちゃんがわたしたちをテレビで見ているというシチュエーションはすごく不思議な感覚でした。
Q:ももクロのチームワークにしんちゃんが加わったときの化学反応は見ものですね。
百田:普段、わたしたちだけで話していると、周囲の人たちは「この子たちはなにを言っているんだろう」という不思議な目で見られることが多いのですが、きっとしんちゃんならわたしたちを理解してくれて、会話が成り立ちそうな気がします。同じ匂いを感じるんです(笑)。
高城:初めてしんちゃんに会ったとき、お手製のパンツを自分の懐から出してきて、わたしたちにプレゼントしてくれたんです。本当にびっくりしました(笑)。
佐々木:しんちゃんはきれいなお姉さんが好きなので、しんちゃんに選ばれるように頑張りたいです! でもしんちゃんは誰推しなんだろうね?
一同:すごく気になるよね! 誰がタイプなんだろうね。
アイドルだからできた仕事
Q:挿入歌や主題歌からも楽しさが伝わってきます。
百田:劇中で歌う挿入歌があるのですが、最初は1人ずつ収録すると聞いていたので「マジか!」と思っていたのですが、最初の音合わせを4人でやったとき、とてもよかったのでそのまま4人で収録できたんです。楽しかったですし、4人そろった強さを改めて感じました。
佐々木:『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズのなかで、主題歌と挿入歌、声優という3役をやったのは、わたしたちが初めてとお聞きしましたが、それってわたしたちがなんでもやるアイドルだからなのかなと思ったんです。どんな仕事でも頑張れるというのは、ある意味でわたしたちならではだと思っています。
玉井:やっぱり1人で活動するときは、どこか緊張して力が入ってしまうのですが、メンバーが一緒だと、いい意味で力が抜けてリラックスできます。
高城:しおりんが言っているように、わたしも1人だと縮こまっちゃう部分があるんです。『クレヨンしんちゃん』のアフレコでも、「ちょっと大げさにやってみて」とか「オーバーにやって」と演出を受けることがあったのですが、1人だと、どうしても照れてしまうんです。でもメンバーがいると恥ずかしさもなくなるし、やっぱり10年一緒にいる仲なので、居心地はいいです。
2018年、ももクロは10周年!
Q:今年は結成10周年を迎えます。新体制になり、どんな気持ちで臨んでいますか?
百田:やらなくてはいけないことがたくさんあり、のんびりできないのですが、せわしなさに流されていってしまうと、すべてが中途半端になる危険性があると思っています。曲も1つ1つ作り直しているのですが、こんなときだからこそ、時間がないなかでも、丁寧にいろいろなものを作っていかなければいけないと肝に銘じて過ごしています。
玉井:10周年の東京ドームライブというものはありますが、目の前にあるツアーのライブも1つ1つ大切に「みなさんに楽しんでいただく」ということを胸にやっていこうと思っています。
高城:ちょうど10年で新体制になったのですが、メンバーもスタッフも、ファンの方々も、またみんなで新しいものを作り上げていくチャンスをいただけたのかなと前向きにとらえています。
佐々木:4人になったことでいろいろなことがあると思いますが、いまは4人のパフォーマンスを多くの人に見ていただいて、納得してもらいたいし、4人バージョンの振り付けを1回でも多くやって、身体に染み込ませたいなと思っています。10周年のライブもありますが、いまのツアーも1つ1つが大切な時間なので、わたしたちもファンもいっぱい楽しめるようなももクロでいたいと思っています。
新生ももいろクローバーZ初仕事となる『クレヨンしんちゃん』とのコラボ。百田はしんちゃんを“大アイドル”と称していたが、ある意味で“国民的アイドル同士”の組み合わせは期待感がいっぱいだ。“大アイドル”なのだが、しんちゃんとももクロに共通するのは“懐の深さ”のように感じる。4人体制になったことを「大ピンチですよ」とメンバーは口をそろえて語っていたが、多くのことを吸収してしまう“懐の深さ”は悲愴感を丸々のみ込んでしまうだけの威力がある。人を明るく元気にする力は、さらに勢いを増しそうだ。
『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』は4月13日より全国公開