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手作り感がたまらない!5月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 野田洋次郎RADWIMPS)や渡辺謙ら日本のボイスキャストも話題のウェス・アンダーソン監督最新作がついに公開! ゴールデンウイークの休みボケを吹っ飛ばす骨太ヤクザ映画のほか、名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作、女子フィギュアスケート界最大のスキャンダルを取り上げた伝記ドラマ、大泉洋小松菜奈で人気コミックを実写化したラブストーリーをピックアップ。これが5月の5つ星映画5作品だ!

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衝撃の事件から生まれた大傑作!

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
Copyright (C) 2017 AI Film Entertainment LLC.

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

 1990年代、衝撃のライバル襲撃事件で世界中の注目を浴びた女子フィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの実話に基づく伝記ドラマ。トップスケーターとして栄光を手にした彼女は、なぜ数多のスキャンダルにまみれ、世界中から嫌われたのか? 母親、元夫、指導者……食い違う関係者の証言をキャラクター自身に語らせる手法で、彼女のさまざまな一面が浮き彫りになっていく。貧乏暮らしで父親は家を出ていき、母親に虐待まがいのしつけを受けて育ったトーニャの現実はハードだが、お粗末なスキャンダルの顛末はコメディー映画のよう。「超」が付くほどおろかな登場人物たちの魅力から目が離せない。特にトーニャ役のマーゴット・ロビー、トーニャの元夫役のセバスチャン・スタン、そして、トーニャの鬼母ラヴォナ役でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリソン・ジャネイの演技は、誰もがオスカー級の素晴らしさだ。起きてしまった事件は決して許されることではないが、世間が望むアスリート像に迎合することなく、実力で世間に認められ、愛されようと望んだ彼女を、ただの嘲笑の対象として扱っていいのか? 笑って泣けて、考えさせる、映画の魅力を詰め込んだ大傑作になっている。(編集部・入倉功一)

映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は5月4日より公開中

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ヤクザ系映画の最先端にして新定番の誕生

孤狼の血
(C) 2018「孤狼の血」製作委員会

孤狼の血

 白石和彌監督がメガホンを取り、暴力団対策法施行以前の広島県で、血で血を洗う抗争を繰り広げている暴力団と、彼らを取り巻く刑事たちの生きざまを描いた作品。役所広司がベテラン刑事の大上章吾役で汗まみれの男くささを見せ、大上の後を追う新米刑事・日岡秀一役の松坂桃李が「男の成長」を魂のこもった演技で表現している。劇中で時折使用されるナレーション、コンプライアンスどこ吹く風のヤクザ描写にはどこか懐かしさがあり、かつて一時代を築いた「東映ヤクザ映画」へのリスペクトを感じた。だが、単純に過去の栄光にすがりついているのではない。いくつもの仕掛けを用意することで「東映ヤクザ映画」は今作で新たなレベルにたどり着いており、この映画がヤクザ映画の新定番になるのではとさえ思う。役所、松坂以外のキャスト陣も真木よう子石橋蓮司江口洋介と粒ぞろいで、それぞれが強烈な印象を残す。中村倫也ピエール瀧音尾琢真TEAM NACS)らコワモテな男たちが続々と登場する映画の中で、突如現れる阿部純子の可愛さは異常。(編集部・海江田宗)

映画『孤狼の血』は5月12日より公開

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手作り感がたまらない!犬のかわいさ&スリリングな物語に目が離せない傑作

犬ヶ島
(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

犬ヶ島

 『ファンタスティックMr.FOX』に次いでウェス・アンダーソンが手掛けたストップモーションアニメ。近未来の日本、架空都市・メガ崎市を舞台に、“ドッグ病”の蔓延によってゴミの島に隔離されてしまった愛犬を捜す12歳の少年アタリと5匹の犬の壮大な冒険が描かれる。“ウェス調”とも呼べるユニークなセリフ回しやカメラワーク、細部にまで手の込んだ小道具と衣装、色彩感覚は今作でも健在。あえて手作り感を残すためにこだわり、作られた人形1,097体、撮影日数は445日に及んだという。犬の細かい表情や仕草、毛の一本一本までがリアルに作り込まれたパペットは、本物の犬よりも犬らしく感情が表現されていて愛おしさが込み上げてくる。随所に登場する相撲や浮世絵、寿司、和太鼓など日本的な意匠もデフォルメ具合が絶妙でかわいらしく、どこか新鮮味も感じられる。ただ、それがオリエンタリズムと無縁なのは、黒澤映画などを通じて培われた作り手の日本文化への真摯(しんし)な思いが感じられるためだろう。物語は、犬と共に独裁者に抵抗する人間の姿をスリリングに描き、現代にもある差別や不正義、政治の問題に目配せすることで普遍的なテーマにつながっている。映像技術もどんどん進化する今、貴重な手作り感をフルに堪能できる野心的な傑作だ。(編集部・大内啓輔)

映画『犬ヶ島』は5月25日より公開

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女子高生の恋愛モノと侮るなかれ!爽快感で満たされる青春映画

恋は雨上がりのように
(C) 2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C) 2014 眉月じゅん/小学館

恋は雨上がりのように

 小さいころから走るのが大好きで陸上に打ち込んできた女子高生が、けがにより初めて味わった挫折。突如、落とされた暗闇に一筋の光を差し込んでくれたのが、偶然入ったファミレスの店長であり、彼への想いを募らせるのだ。10代ならではのひたむきな恋心で突進するヒロイン、そしてそんなヒロインのまっすぐな想いにひたすら戸惑うしがない中年。小松菜奈と大泉洋という名キャスティングも相まった、真面目VSコミカルの構図は絶妙な温度差で楽しませてくれる。偶然にも役柄と同じ45歳の大泉は、しがなさには少々欠ける気もするが、持ち前のコメディーセンスと彼の持つ柔和な雰囲気が、自然と小松をリードし、作品の空気感を司っているように思う。ラブストーリーが前面に押し出されているわけではなく、夢中になれるものや、しかるべき方向に導いてくれる人との出会いが、思春期にあることの素晴らしさを感じさせてくれる作品。見終わった後には何とも言えない爽快感で満たされる。(編集部・浅野麗)

映画『恋は雨上がりのように』は5月25日より公開

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名優の俳優人生を締めくくる、普遍的で驚きに満ちた愛の物語

ファントム・スレッド
(C) 2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved

ファントム・スレッド

 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で名優ダニエル・デイ=ルイスに2度目のオスカーをもたらしたポール・トーマス・アンダーソン監督の長編第8作目となる本作は、普遍的で、奇妙で、驚きに満ちた愛の物語だ。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の主人公は「美」とは無縁の強欲な石油王だったが、「孤独」という点においては、1950年代の英国ファッション界に君臨するレイノルズ(ダニエル)は、対をなす人物とも言える。彼と運命的な恋に落ちるウエイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)は、生まれ育った環境も性格もまるで違う。彼の仕立てるドレスはどれも素人目にもハッとするほど美しいが、完璧主義者ゆえに彼と生活を共にするのは地獄に等しい。その象徴としてしばしば朝食のシーンが登場するが、静けさを重んじる彼の前では飲食すらままならず、次第に疑問だらけになる。「なぜ、アルマは彼を捨てないのか?」と。それでもレイノルズを愛してやまないアルマの変貌ぶりには目を見張り、思わず笑ってしまうほど。本作のために50点以上の衣装を作り上げ、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したマーク・ブリッジス、そして本作をもって引退を表明したダニエル。“完璧”な才能を束ねるアンダーソン監督の力量にあらためて圧倒される。(編集部・石井百合子)

映画『ファントム・スレッド』は5月26日より公開

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