なぜ僕は醜いの?特別な顔を持つ少年が生む奇跡に共感しすぎて泣けるワケ
提供:キノフィルムズ
「なぜ僕は醜いの?」そんな切ない少年の言葉に胸を締め付けられる、『美女と野獣』の製作スタッフがベストセラー小説を映画化した『ワンダー 君は太陽』。アメリカでの興行収入は1.3億ドル超を記録(あの『ラ・ラ・ランド』に匹敵!)した本作は、生まれながらに顔立ちが人と違う少年のオギーを『ルーム』(2015)の天才子役ジェイコブ・トレンブレイが演じるほか、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソンら実力派俳優がそろい踏み。「今年いちばん泣ける映画」の大本命である本作は、期待をはるかに超えてくるさまざまなメッセージが詰まった宝箱のような映画でした。(編集部・大内啓輔)
■天才子役ジェイコブ・トレンブレイの演技に涙!
主人公のオギーに扮したのが、天才子役として注目を浴びるジェイコブ・トレンブレイくん。2006年生まれの彼は、アカデミー賞に4部門でノミネートされた『ルーム』の公開時は8歳でしたが、いまは11歳になってちょっとだけ大きくなった姿を見ることができます。先天的にハンディキャップを抱えているという難しい役どころながら、笑いのテイストも加えた絶妙なさじ加減の演技を披露。冒頭から彼のナレーションで一気に物語に引き込まれてしまいます。
10歳までに27回もの整形手術を受けてきたオギー。幼いころから母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)と自宅で勉強をしていた彼ですが、ついに学校へ通うことになり、両親と姉に見送られ学校という“宇宙”へと出発します。顔を隠すため被っていた宇宙飛行士のヘルメットを外す瞬間は……ドキドキです。学校生活では、遠巻きにじろじろ眺められたり、誰にも話しかけられず、クラスメイトからは髪型を馬鹿にされたり。しかし、数々の困難にぶつかりながらも、初めての親友との友情が芽生え、得意な理科の授業で博識ぶりを発揮して賞賛を集めるなど学校生活は軌道に乗り始めます。
ハンディキャップを抱えながらも困難に立ち向かうオギーを体現したジェイコブくんの名演技に、心を打たれて涙してしまうこと必至です。そして、涙しながらも微笑んでしまっていることに気がつくはず! すでに待機作も続々の彼の“天才子役ぶり”を堪能しましょう。
■誰もが共感する普遍的なテーマに涙!
天才子役の登場で、すでに名作の予感がしますが、誰もが共感できる普遍的な視点があることも本作の大きな魅力です。物語が進むにつれ、彼の両親や姉のヴィア(イザベラ・ヴィドヴィッチ)、クラスメイトたちも実は悩みをそれぞれに抱えていることがわかっていきます。たとえばヴィアは、オギーにとってとても優しい姉ですが、両親はハンディキャップを抱えるオギーにばかり気をかけ、人知れず孤独を抱えています。そんななか親友のミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)とも仲たがい。ところが、そのミランダやオギーのクラスメイトもそれぞれ自分なりの悩みを抱えていることが明らかになります。
どの悩みも「あるある!」と頷いてしまうものばかり。大人、子ども、親、兄弟、友達などさまざまな立場で、そして国や言語、時代を超えても共感できるテーマを含んでいます。邦題にもある“太陽”のオギーを中心にみんなが惑星のように動きはじめる物語。どこか群像劇のような味わいもあり、きっと知らないうちに登場人物の誰かの視点で感情移入して映画のなかに入り込んでしまうことでしょう。
■何にも負けない家族愛と友情に涙!
母のイザベルは「顔は人の過去を示す地図」だから「あなたは絶対に醜くない」とオギーを励ましつづけ、父のネート(オーウェン・ウィルソン)は初めて学校へ通うことになるオギーに「孤立してもお前は1人じゃない」と勇気づけます。そして、オギーに興味はあるけど接し方がわからないクラスメイトたち。悩みを持ちながらもポジティブに生きる登場人物たちの内面に迫っていき、オギーを中心にみんなが次第に変化していく展開には、物語が進むにつれ涙が止まらなくなるでしょう。ほんの少しの勇気や素直さで、人生は良い方向に変わっていくんだというメッセージにも気がつき、泣けてきます。
メガホンをとったスティーヴン・チョボスキー監督は青春群像劇『ウォールフラワー』(2012)も手掛け、思春期の青年たちの揺れ動くデリケートな心の機微を繊細かつリアルに描いていました。そんな友情を描く腕はピカイチの彼が、家族愛にもその手腕を発揮したといえるでしょう。チョボスキー監督は『美女と野獣』の共同脚本でもあり、次の作品はディズニー映画『プリンス・チャーミング / Prince Charming』の監督にも決定したことでも注目されています。
■スター・ウォーズ愛に涙!
本作では、実は小ネタも見どころ。宇宙飛行士のヘルメットを被っていた宇宙好きのオギーは『スター・ウォーズ』が大好きで、ハロウィンの仮装にはボバ・フェットの衣装を選んだり、お父さんとスター・ウォーズごっこに興じたりします。パダワンを真似た三つ編みをバカにされ、ダース・シディアスと呼ばれてからかわれますが、随所に登場する小ネタが物語をシリアスに傾けすぎず、ほどよい笑いを加えてくれています。劇中にキャラクターが何体か登場しますが、そのクオリティーの高さも見逃さないでください!
撮影を『フォレスト・ガンプ/一期一会』のドン・バージェス、衣装を『Dr.パルナサスの鏡』のモニク・プリュドム、音楽監修を『トワイライト』シリーズのアレクサンドラ・パットサヴァスが担当するなど豪華なスタッフが顔を揃えた本作。「今年いちばん泣ける映画」の大本命であり、笑いもたくさん詰まっていて、共感するポイントは満載! 観たあとは必ず、誰かと本作について語りたくなるはずです。
映画『ワンダー 君は太陽』は6月15日よりTOHOシネマズ日比谷他にて全国公開
『ワンダー 君は太陽』公式サイト
Photo credit: Dale Robinette
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