ミュージカル映画が好き!なら観るべき名作3選
提供:午前十時の映画祭
『ラ・ラ・ランド』に『グレイテスト・ショーマン』と、ミュージカル映画のヒットが昨年から続いている。パワフルな歌とダンスがもたらす高揚感がドラマを彩るミュージカル映画は、映画が映像とサウンドを楽しむエンターテインメントとして成熟した1930年代に花開いたジャンル。時代とともにスタイルを変えながら今も愛され続けている。映画史に燦然と輝く名作の数々を映画館で楽しめる企画「午前十時の映画祭9 デジタルで甦る永遠の名作」では、1950年代から1970年代にかけて製作された名作3本を上映する。(文:冨永由紀)
ミュージカル映画の最高峰!『雨に唄えば』(1952)
アメリカ映画協会(AFI)が選ぶアメリカ製ミュージカル映画ベスト25の第1位に輝く名作中の名作。これだけは押さえておきたいマストな1作だ。『踊る大紐育(ニューヨーク)』『巴里のアメリカ人』などのミュージカル映画の巨星、ジーン・ケリーがスタンリー・ドーネンと共同で監督を務めた主演作で、映画がサイレントからトーキーへ移行し始めた1920年代のハリウッドが舞台。スタントマン出身の人気スター、ドン(ケリー)と新人女優キャシー(デビー・レイノルズ)の恋を中心に、映像に音が加わって過渡期を迎えた映画界が描かれる。
ミュージカル映画全盛期を担ったフレッド・アステアとともにMGMミュージカルの二大立役者のケリーは、バレエやジャズ・ダンスを基盤に、様々なスタイルを取り入れた豊かな表現力が魅力。『ラ・ラ・ランド』を始め、数え切れないほど多くの作品に影響を与え、映画から舞台化もされた、これぞミュージカル映画と呼びたい名作だ。
家族で楽しめる!『メリー・ポピンズ』(1964)
第37回アカデミー賞で主演女優賞(ジュリー・アンドリュース)ほか全5部門(作曲賞、歌曲賞、編集賞、視覚効果賞)に輝いた本作は、ファンタジーの世界と家族愛というテーマが調和し、家族で観たい1作。1910年のロンドンを舞台に、風に乗ってやって来た家庭教師メリー・ポピンズと2人の姉弟の物語。実写とアニメの合成でメリーの不思議な魔法を映像化、めくるめく世界に飛び込んだ主人公たちの冒険が描かれる。1960年代の技術は現代のVFX(視覚効果)にはない素朴な味わいがあり、想像力を刺激する映像は世代を問わずに楽しめること間違いなし。オスカー歌曲賞受賞の「チム・チム・チェリー」などシャーマン兄弟による名曲の数々も映画を盛り上げている。
スターの輝きがケタ違い!『グリース』(1978)
『雨に唄えば』が映画から舞台化された傑作ならば、ブロードウェイの人気作をスクリーンに持ってきたのが『グリース』。『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラヴォルタと、歌姫オリヴィア・ニュートン=ジョンという当時人気絶頂のスター共演が話題を呼んで大ヒット、デュエット曲「愛のデュエット」はビルボード・ヒットチャート1位になった。
夏休みの休暇先で淡い恋が芽生えた男女が、新学期に偶然同じ高校の生徒同士として再会。女の子の方は出会いの時と変わらない優等生の美少女だが、男の子の方は実は不良グループのリーダー格。仲間たちの手前、態度をガラッと変えたことから気持ちがすれ違う2人の紆余曲折から大団円のダンス・コンテストまでを描く。設定は1958年だが、作品全体に1970年代の自由な空気が漂い、スクリーンに映えるケタ違いのスターオーラが、不可能を可能にする映画のマジックを体現している。
「午前十時の映画祭」はこのほかにも音楽が印象的な名作をラインナップ。主演のホイットニー・ヒューストンが熱唱する主題歌も印象的な『ボディガード』、同じく主題歌や劇中歌が大ヒットした『トップガン』、『雨に唄えば』のドーネン監督がオードリー・ヘプバーンとフレッド・アステアを主演に迎えたミュージカル『パリの恋人』の上映も予定されている。
とにかく名作ぞろい!「午前十時の映画祭9」予告編
「午前十時の映画祭9 デジタルで甦る永遠の名作」は全国58劇場にて毎朝10時開映中 <オフィシャルサイト>