20代のハン・ソロは破天荒!『ハン・ソロ』で描かれる素顔とは
ハン・ソロとはいったい何者?
いよいよ6月29日の日本公開が近づく『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』! 主人公ハン・ソロを早わかりする全3回集中連載も最終回。これまで見てきたソロの歴史とソロを演じるオールデン・エアエンライクの背景を踏まえて、新作『ハン・ソロ』のソロを予測しよう!(文・平沢薫)
1.予告編でハン・ソロのキャラがわかる!?
『ハン・ソロ』の時代背景は、最初の3部作の第1作・エピソード4『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』の約10~13年前。ソロはまだ20代の若者だ。彼がどんな人物なのかは、公式サイトの予告編でもソロ自身が語っている。生い立ちは「ガキの頃からワルだった」「フライト・アカデミーを追放されても自力で生きてきた」「運転も操縦も、一発あてるために磨いてきた」というもの。その頃のことが、本編でもっと描かれるのに違いない。この言葉だけでも、ソロが幼い頃から独立心旺盛で、自分の能力に自信を持っていることがわかる。その一方で、「銀河一のパイロットになる」と宣言する、大きな夢を持つロマンチストでもある。
【動画】ハン・ソロが語る!映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』US版特報
そして、楽観的でちょっと調子のいい性格らしい。そう思わせるのは「イイ予感しかしないぜ」というせりふ。これは『スター・ウォーズ』に必ず登場するお約束のせりふ「なんだか嫌な予感がするぜ」を意識したもの。『ハン・ソロ』のソロは、まだ嫌な予感とは無縁の、希望と自信に満ちた若者なのだ。
2.演じるオールデン・エアエンライクは、スピルバーグに発見された!
オールデンは、1989年11月22日生まれの28歳。生まれも育ちもロサンゼルスだが、家族は映画業界とは無関係で、母はインテリアデザイナー、継父は矯正歯科医。オールデンは幼い頃から演技に興味を持っていたが、母は彼に普通の子供時代を過ごさせたいと考えてプロの子役にはさせなかったとVultureが報じている。
が、彼はスティーヴン・スピルバーグに発見される。14歳の時に、友人たちと一緒に出演して撮影した短編が友人の成人式で上映され、それを観たスピルバーグが気に入って、ドリームワークスを介して彼にエージェントを紹介したのだ。その短編は、当時は痩せたパンク少年だった彼が、女装しようとしたり、食べ物をわざと汚く食べたりする映画だったそう。
それからはオーディションを受けまくり、16歳でテレビ「SUPERNATURAL スーパーナチュラル」、その後「CSI:科学捜査班」に出演、20歳でフランシス・フォード・コッポラ監督の『テトロ 過去を殺した男』(2009)で映画デビュー。ニューヨーク大学で演劇を学びながら、コッポラ監督の『Virginia/ヴァージニア』(2011)、パク・チャヌク監督の『イノセント・ガーデン』(2013)、ウディ・アレン監督の『ブルージャスミン』(2013)などでキャリアを重ねてきた。
そして、本作出演が決まる直前、2016年のコーエン兄弟の『ヘイル、シーザー!』で、シカゴ映画批評家賞などの助演男優賞にノミネートされて注目を浴びた。彼が演じたのは、1950年代ハリウッドの西部劇映画の新人スター。この演技よりも投げ縄が得意な無骨で純粋な若者を、オールデンが魅力的に演じてみせた。この役の若さ、純粋さ、西部劇の古典的ヒーローの雰囲気は、今回のハン・ソロと共通しているのではないだろうか。
また、彼は『ハン・ソロ』の映画のPRのために来日し、会見でこれまでハン・ソロを演じてきたハリソン・フォードについても語った。
「ハリソンにはいろんなアドバイスをもらったよ。でも彼にそれについて聞かれたらこう答えるようにと言われてるんだ。『必要なことはすべて教えてもらった。でもその内容を公表することはできない』ってね(笑)」
そして、こうも発言している。
「ハリソンはこの映画を観て、とても気に入ったと言ってくれたよ。それは、僕らにとっては大事なことなんだ」
この映画のハン・ソロは、ハリソン・フォードも認めるハン・ソロなのだ。
3.生涯の友チューバッカとの初めての出会いが描かれるはず
ソロとすでにおなじみのキャラ、チューバッカ、ランド・カルリジアンとの出会いがどう描かれるのかは、『ハン・ソロ』の見どころの一つ。特にチューバッカは、ソロとはエピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』まで生涯を通じて共に行動することになる大親友。そんな2人がどんなふうに出会うのか、どのようにして信頼し合う間柄になっていくのかが描かれるのに違いない。
すでに予告編には、ミレニアム・ファルコンを操縦中のソロの隣の席に、チューイが初めて座るシーンが登場。おなじみの光景の“原点”を観て、思わず、“おおっ!”と感激したファンは多いだろう。きっと本編では、さらにファルコン関係の重要なシーンが描かれるはず。
まずその一つは、2人が愛機ミレニアム・ファルコンを手に入れる瞬間だ。もちろん、エピソード5『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』のせりふから、ファルコンはソロが当時の持ち主のランド・カルリジアンからカードゲーム“サバック”の賭けで手に入れることはわかっている。しかし、それでも、それがどんな賭けなのかが描かれて、その光景を目にしたら、やっぱり感動してしまうだろう。
そして、もう一つの重要なシーンは、銀河中の伝説となったハン・ソロとミレニアム・ファルコンの高速記録、“ケッセル・ラン”について(「ハン・ソロのキャラがわかる4つのエピソード」-「【エピソード1】ミレニアム・ファルコンはケッセル・ランを12パーセクで飛んだ!」参照)。この伝説が生まれる瞬間を描いてくれるはずだ。
4.新キャラとの出会いで、ソロの新たな顔が見えてくる!?
さらに注目なのは、ソロのこれまで知られていなかった過去が描かれること。中でもキーマンとなりそうなのが、予告編でソロを冒険に誘う男、トバイアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)。彼はいわばソロの師匠的な存在。ソロが彼との旅でどんなことを経験するのか、何を学ぶのか。その体験は、その後のソロに影響を及ぼしている可能性が高い。
もう一人、気になる新キャラは、謎の美女キーラ(エミリア・クラーク)。予告編でも「昔と変わってないわ」「わたしだけよ 本当のあなたを知っているのは」と言う彼女は、惑星コレリアでソロと一緒に育った幼なじみ。ソロとはいったいどんな関係だったのか。まだ誰も知らないソロのもうひとつの顔が、彼女との関係の中で明らかになるかもしれない?
5.オールデンはルーカスフィルムと3作の契約をしている
本作はハン・ソロの物語だが、大宇宙をまたにかけての壮大なアクションアドベンチャーでもある。ベケットやキーラ以外にも新キャラが続々参戦し、予告編に登場した奇妙な装束の集団や、ランドの相棒の女性型ドロイドL3-37、犯罪組織を率いるドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)などが登場。彼らがどんな冒険が繰り広げるのかが見もの。
また、ソロ役のオールデンは、Esquireのインタビューでルーカスフィルムとは3本の契約があると発言している。つまり、本作の物語は完結しているが、今度もソロの冒険が描かれていく可能性はある。ハン・ソロというキャラクターが、長い年月を経て、本家3部作中ではその役割を終えたとしても、ソロの冒険が終わったわけではないのだ。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』には、そんな映画ならではのマジカルな魅力も宿っている。