妻そっちのけ!愛人同士が殴り合い!ピカソの愛憎劇が超スキャンダラス
提供:ナショジオ
20世紀最大の画家として誰もがその名を知る天才パブロ・ピカソ。天才たちの知られざる素顔に迫るドラマシリーズ「ジーニアス:ピカソ」では、ピカソの栄光と苦悩だけでなく、希代のモテ男だった彼の息をのむほどスキャンダラスな愛憎劇も史実にそってたっぷり描かれています。(編集部・市川遥)
ハンサムで自由を愛したピカソ
幼い頃からアートの探究こそ自分の使命だと確信していたピカソは、教師になってほしいと望んでいた両親のもとを去り、芸術家としての波乱万丈な道を選びます。若くして異国フランスへと渡ると、新しいものを認めない評論家たちから大バッシングを受けますが、臆することなく芸術界の既成概念を次々と打ち破り、自ら道を切り開いていきました。ハンサムなピカソが発する強烈なエネルギーは多くの女性たちを惹きつけ、彼も女性たちを情熱的に愛しましたが、芸術家として何よりも自由を大切にしたピカソだけに、妻に加えて愛人たちの間を渡り歩くなどその女性遍歴は破天荒そのものでした。
愛人同士の殴り合いを見てあの名画「ゲルニカ」完成!
ドラマは何と、ピカソに愛人が二人もいる状態から始まります。二人の愛人とは、家庭的なマリー=テレーズ・ワルテルと、奔放な画家で写真家のドラ・マールという正反対の美しい女性たちのこと。ピカソはマリー=テレーズとの間に娘までもうけていますが、彼女を訪ねたその足でもう一人の愛人ドラのもとへ向かい、プレゼントとしてマリー=テレーズの家の庭に咲いていたバラまで持って行ってしまうという仰天の行動を取ったりも!
さらにはある日、マリー=テレーズがピカソのアトリエに行くと、そこにはすでにピカソといい感じになっているドラの姿が……。一触即発状態の愛人二人から「どっちを選ぶの!?」と迫られたピカソは、「それは二人で決めて」とまさかの返答をし、その言葉を合図に女同士の壮絶な殴り合いが始まります。
この時、ピカソが描いていたのが、ドイツ軍によって空爆されたスペインの地方都市をモチーフにした傑作「ゲルニカ」です。“芸術第一”のピカソは愛人たちが殴り合う姿にもイマジネーションをかき立てられ、夢中で絵筆を走らせます。なお、本作の劇中で描かれるエピソードは資料や回顧録に残された事実のみを基にしており、この驚きのエピソードももちろん史実。実際「ゲルニカ」には争うマリー=テレーズとドラの姿も描かれているほか、名画「泣く女」のモデルもドラだったりと、ピカソにとって女性たちは創造力の源だったのです。
唯一ピカソを捨てた、親子ほど年の離れた女性
そしてマリー=テレーズ、ドラに続いてピカソの愛人の仲間入りを果たすことになるのが、知性あふれる若き画家のフランソワーズ・ジローです。ピカソはフランソワーズに優しくしたかと思えば突き放し、意地悪にも他の愛人と会わせようとしたりしますが、フランソワーズも負けてはいません。
フランソワーズは、ピカソ、ドラとの3人のディナーに、ハンサムでピカソよりずっと若い男性をあえて連れて行ったりして対抗! フランソワーズはピカソが最も愛した女性にして、彼を捨てた唯一の女性として知られており、二人の愛憎に満ちた特異な関係も「ジーニアス:ピカソ」はひもといていきます。
ピカソ役はセクシーなアントニオ・バンデラス!
そんな破天荒でありながら、ユーモラスでなぜか憎めない魅力的なピカソを体現しているのが、映画『マスク・オブ・ゾロ』のスペイン人俳優アントニオ・バンデラスです。バンデラスが演じる中年・老年期に、親友の死や恋人からの影響を受けて苦悩しながら自身のアートを確立させていく少年・青年期の姿も時間軸を交錯させながら映し出されるため、彼の強烈な才能に、女性たちがどうしようもなく魅了されてしまうのも妙に納得させられます。
スキャンダラスな女性たちとの関係にドキドキし、色彩の魔術師アンリ・マティスと切磋琢磨する姿や、「ゲルニカ」をはじめとした名画の誕生秘話に知的好奇心を刺激される本作。エミー賞で10部門にノミネートされた「ジーニアス:世紀の天才アインシュタイン」に続く作品でもあり、そのドラマ性とクオリティーの高さは折り紙付きです。
「ジーニアス:ピカソ」はナショナルジオ グラフィックで二ヶ国語版 7月29日(日)スタート・毎週日曜22:00~23:00/字幕版7月31日(火)スタート・毎週火曜21:00~22:00 ナショナル ジオグラフィック公式サイト
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