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品川ヒロシ監督、映画づくりの独自セオリーを語る

 きたる7月7日、映画監督の品川ヒロシが池袋・新文芸坐にて行われる「新文芸坐×よしもと映画大学 品川ヒロシのオールナイトシアター&トーク」に出演する。これは自身の監督作品の撮影秘話や上映作品の裏話などを語る講座形式のイベントで、当日は笑えるゾンビ映画の傑作『Zアイランド』や感動できるゾンビ映画として口コミで大ヒットした韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』を上映。イベントでは『Zアイランド』に出演している宮川大輔も登壇して、「ゾンビ映画」について語りまくるという。品川監督たっての希望で実現したというこの企画。映画を愛し、自らメガホンを取る品川監督を駆り立てる映画の魅力とは一体なんなのか。自ら企画に携わっているオールナイトイベントへの思い、そして監督・品川ヒロシの映画づくりのスタイルなど、映画への思いを語った。(取材・文:森田真帆)

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スクリーンで映画を観たい!品川監督のオールナイト上映への思い

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(C) 2015「Zアイランド」製作委員会

Q:7月7日にご自身の企画で、オールナイト上映に挑戦されるそうですが、どんなきっかけで決めたのでしょうか?

映画『ゴッドファーザー』シリーズや『仁義なき戦い』シリーズなど、好きな映画はたくさんあるんですが、実際にスクリーンで観たことは一度もなくて。だから、自分がもう一度観たい映画や、観たことがない映画を大きいスクリーン観てみたかったのと、あとは映画館でみんなが映画を観るという体験を共有したかったのが大きいです。だから最初は、『仁義なき戦い』シリーズをオールナイトで観たいってところから始めたのがきっかけなんです。

Q:ゾンビ映画がテーマだそうですが、「ゾンビ」をテーマに選ばれた理由はありますか?

オールナイトの企画が立ち上がった時に、主催者の方から僕の映画も絡めてくださいとご提案をいただきました。それなら自分の監督作でもある『Zアイランド』を上映して、ゾンビ映画特集をやったらいいんじゃないかってことになりました。オールナイトでかける映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、韓国で観た時に本当に衝撃を受けて。ゾンビ映画に韓国が味付けをするとこうなるのか! って(笑)。感動もあるし、涙もあるし、なんか絶対殺(や)られちゃうけどめちゃくちゃいい味出してる脇役もいて。絶対に外れがないんですよね。

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品川監督の原点は角川映画!

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Q:映画館離れが進む中、スクリーンで観るイベントの企画は映画館にとってもとても有意義なことですね。

そんな大それたものじゃないんだけど(笑)。でも、この前松竹で、大きなスクリーンで小津安二郎監督の映画を観て、やっぱりすごかった。多分あの感覚は、映画館でしか感じられないものだと思うんです。今の若い人に、『仁義なき戦い』を俺がすすめたとして、家のテレビとかパソコンでソファに寄っ掛かりながら観るのと、劇場で観る映画のパワーって全然違うはずだし。映画を観終わった後にみんなで感想を共有するのって、なんかうれしいし楽しいんですよね。

Q:監督自身の忘れられない映画館での思い出は?

やっぱり角川映画だなあ。『里見八犬伝』とか『セーラー服と機関銃』とか、『戦国自衛隊』とか『二代目はクリスチャン』。僕が子供の頃にちょうど『里見八犬伝』と『二代目はクリスチャン』を映画館で二本同時上映していて。当時は入れ替え制でもなかったから、朝から晩までずーっと映画館で繰り返し観ていたのを思い出します。大好きでした。僕の映画の原点って、そこなんですよね。突き詰めれば『七人の侍』もそうですが、仲間が集まって一人ずつ死んでいくっていうところは同じ。

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品川監督流、映画づくりの極意とは?

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(C) 2015「Zアイランド」製作委員会

Q:ここからは、少し映画づくりについて聞いていきたいのですが、初めての監督作品である『ドロップ』を含め、ご自身で脚本を書かれてきて、参考にしたものはあったんですか?

『Zアイランド』まで我流で脚本を書いていたのですが、執筆した後からブレイク・スナイダーの「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本家術」などの脚本についての本は何冊か読みました。実際に読むと、現状に満足していない主人公がまず出てきて、何ページまでに主要人物が全員出てくるとかいろいろと法則があるんです。でも本を読んでいくうちに自分が最初につくった映画『ドロップ』がそうだったってことに気づいたんです。確かに現状に満足していない主人公が出てきて、そこに旅の誘いがあって、主人公と同等かもしくはそれ以上のライバルがいるとか。ただ全部の作品でその法則を使っていたら、面白くないから、主人公が旅に出るってとこくらいまでですね。

Q:煮詰まることもありますか?

もちろんあります。特に『Zアイランド』に関しては、予算もない中でどうやってこのゾンビ映画を終わらせるかで頭を抱えました。ゾンビ映画って、終わり方が何通りかしかないんです。絶体絶命から助かってそれでも生きていくか、死ぬか(笑)。じゃあどうしようかって、考えていて、ラストのオチを思い付いた時は「これだ!」って思わず膝を叩いちゃいました(笑)。

Q:佐渡島で撮影していましたよね。密室感がすごかったんですが、あれはどうやって考えついたんですか?

そもそも東京でどこか封鎖して、軍隊とか出して夜の照明焚いてっていうハリウッドみたいな撮影をすることは絶対に無理だから、島で撮影することにしたんです(笑)。島はロケーションとしてすごくいいんですよ。逃げ場もないし。だから最近も島を舞台にした話をよく考えています。僕はこれからもアクション映画を撮っていきたいので、どこで撮影するのがいいかなって考えた時にやっぱりつい「島だな」って思っちゃうんですよね。

Q:品川監督の映画を観ていると、出ている人全員に気持ちを持っていかれてしまうほど、どのキャラクターも立っています。役の描写についてのこだわりを教えてください。

僕がもともと群像劇が好きなのと、あとは自分の経験ですね。自分が昔小さい役で呼ばれた時に「これ、俺じゃなくてもよくない?」ってことがあって。自分の撮影現場では、声を掛けた役者さんにそんな思いで帰って欲しくないっていうのが大きかったんです。それから、メインの役者さんたちに関しては、ほとんどが当て書きだからすごくつくっていきやすいです。

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品川祐監督、映画と「笑い」を語る

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Q:品川さんの映画づくりと、「笑い」はどう関わっているんでしょう?

僕の映画もボケとツッコミがあって、それってすごく日本的なんです。ツッコミって、前倒しで笑わせてそれを処理して次に進むって作業なんだけど、僕の映画の中に出てくる笑いのパターンは、そこにあるんです。僕はもともと説明ゼリフが苦手で、その説明ゼリフを紛らわせるために笑いを絡めることが多いんです。例えば、映画の嘘というか、「あいつらがそう簡単に来るわけないだろ」って言っているところに、敵が現れるのってすごく不自然で。だからそこに「あいつらがそう簡単に来るわけな……いた!」っていう風に、笑いを混ぜていくんです。特に意識せずとも結構芸人同士で話している感じで自然に出て来るんです。実際、それが映画的ではないって意見も言われてきたんですが、最近ハリウッドの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズとか『デッドプール』シリーズとか観てると割とみんなボケとツッコミがすごい多いんですよね。テンポもすごく速いし。

Q:今後の新作など、もし聞かせていただける情報があれば教えてください。

実は今、企画が二本動いていまして。一本は全く笑いのない映画です。もう一本はお笑いなんだけど、今までのボケとツッコミって感じではなくてミニコントのような作品。どちらもアクションです。やっぱりアクションがないと撮ってて楽しくないし、編集もアクションはすごく面白いです。

「新文芸坐×よしもと映画大学 品川ヒロシのオールナイトシアター&トーク」は7月7日(土)22:30より池袋・新文芸坐にて開催

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