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映画たて・よこ・ななめ見!

ウーマン村本、女性の真の敵を考える - 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

映画たて・よこ・ななめ見!

ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、かつてテニス界を騒がせた男性vs.女性のバトルを、村本が愛する『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン主演で映画化した『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆)

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

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男性優位だったテニス界に変革をもたらした、女子テニス世界王者ビリー・ジーン・キングを題材にした実録ドラマ。落ちぶれた人生の逆転を狙い、男性優位主義の代表として彼女に試合を申し込んできた、男子テニス元王者のボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)との戦いを、『リトル・ミス・サンシャイン』などのジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス監督が描く。

タイトルに込められた意味

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タイトルの“セクシーズ”の意味とは?

村本:おれ、この映画は絶対に観に行きたくて、実は昨日、渋谷のシネクイントに自腹で行ってきたで! めっちゃくちゃ良かったなぁ……。ひとつ疑問なのは、なんでもっともっと大きいシネコンなんかでも上映されないのかってこと。ぜひ、たくさんの人に観てもらいたい!

中川:これは俺も観たかった。先輩に勧められてたから。

村本:嘘つけ! スプラッター映画しか観ないお前にこの映画の良さがわかるわけないやろ! 

中川:わかるわ! 実際にあった話だって聞いて、すごく観たかったのよ。

村本:ホンマか? まぁええけど、僕はね、この映画のタイトルがまずすごく気に入ってる。『バトル・オブ・セクシーズ』って、“sexes”って書くわけ。セックスって言葉が入ってるから勘違いする人もいるかもしれへんけど、これは、“性別”ってことなのよ。つまり“性別(男女)の戦い”って意味やから、すごく面白いタイトルやと思った。

中川:国際線の飛行機に乗るときも、書類とかに性別を書くときは性別の欄にも「sex」って書いてあるもんな。

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村本、エマ・ストーン好きイメージに一言

中川:村本の好きなエマ・ストーンがヒロインだったけど、全然化粧していなくて、めっちゃスッピンでびっくりしたわ。『ラ・ラ・ランド』とは180度くらい違う役やったな。

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強くかっこいい、尊敬に価するビリー・ジーン

村本:あのな、お前もそうやし、一般の皆さんもかなり勘違いしてるみたいだから言っとくけどな。おれが好きなのは、エマ・ストーンじゃない! エマ・ストーンが演じた『ラ・ラ・ランド』のミアが好きなのよ。ミアがかわいくてめっちゃ好きだったの!

中川:そうなん? じゃあ、この映画で演じてるビリー・ジーンは?

村本:彼女に関しては、好きとか嫌いとかっていうよりも、もう尊敬する。とにかく強くて、かっこよくて、尊敬っていう意味の好きやな。さらにエマ・ストーンはハリウッドにおける男女の給与格差に苦言を呈し、一石を投じた人。そういう彼女がビリー・ジーン役をやったことに意味があるんや。お前みたいな女性差別野郎にはわからんやろ!

中川:いや、こんなの男が勝つやろくらいは思うけど、女性差別はしてへんわ! 

村本の考えるかっこよさ

中川:試合のシーンも、めっちゃ迫力あったなぁ。実は学生の頃テニス部に入ってたから、かなり手に汗握ったわ。まぁおれの場合、3年間かなり頑張ったのに全然上手くならんくて、サーブさえ全く入らなかったけど! 

村本:おれはビリー・ジーンが、ボビーとの戦いに挑むまでの経緯がすごく良かった。彼女はすごくストイックで、プロとしての品性やチャンピオンとしての価値を大事にしていたから、どんなにボビー側から挑発されようが乗らないわけ。でも、自分以外の女性選手が負けて、女性として侮辱されているのを見て奮い立つ。単純に話題性だけで戦ったわけじゃないのがいいねん。そこに信念があったから。

中川:確かに、本気になってからのビリー・ジーンは、さらにかっこよかったな。

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再び戦う意思を固めるウーマンラッシュアワー!

村本:立ち上がることによって、いろんなものを失う覚悟を決めなきゃいけなかった。おれは日本の女性の皆さんにも、ビリー・ジーンの姿から、戦うべきときに立ち上がることの大切さだったり、強さだったりを学んでほしい。それで、どんどん強くなってほしい。「意思表示」ってめっちゃ大切やから。おれ自身、めっちゃ刺激を受けて「よっしゃ、おれも戦ったろ!」って思たわ。

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真の敵は誰だ!

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しっかり意見を言う女性たち

村本:もともとこの映画は、(国際政治学者の)三浦瑠璃さんから、すごく面白いから観たほうがいいって、偶然教えてもらったのよ。三浦さんって、若くてもすごくしっかりした意見を言う人だから、年配の評論家の人たちの中では彼女を疎ましく思っている人がいるみたいで。男社会の中でしっかりと主張をする女性を、男性が厳しく扱ったり、鼻で笑ったりする風潮って、日本にもすごく根付いている気がするな。

中川:まあ女性がちょっとしっかりしたことを言っただけで、いろいろ言う人はいるもんな。

村本:ただ映画を観ていると、ビリー・ジーンに挑発的な言葉をはいたり、女性蔑視発言をするボビーがめっちゃ悪役のような気がするんやけど、俺の中で一番の悪はこいつじゃないねん。

中川:え? 俺にはボビー、めっちゃ女性の敵に見えたけど。他に誰かおった?

村本:俺のなかでは、世間向けにワーワーわかりやすい主張をしているボビーみたいな男以上に、全米テニス協会の責任者のおっさん(ジャック・クレイマー)の方がよっぽど怖いと思った。あいつら、自然にさらっと女性蔑視的な発言をしまくるんやもん!

中川:確かにボビーにはビジネスって感じもあったもんな。あいつがいたからこそ、女性がめっちゃ怒って、試合も盛り上がったって言うのはあるんかな。

村本:少し話がそれる部分もあるけど、最近、「同性愛者の生産性」の話をした女性議員が総叩きされているよな。でも俺は、ただあの人を排除するべきじゃないと思う。それこそ、この映画におけるボビーみたいな役割が、あの人にもあるんやないかと思ってんねん。例えば、あの発言をきっかけにいろんな立場の人たちが、もっともっとLGBTに関して議論をするような世界になっていけばって、この映画を観てあらためて思ったわ。

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は渋谷・シネクイントほかにて公開中 全国順次上映
(C)2018 Twentieth Century Fox
※記事内容には個人の意見が含まれています

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ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

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