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「ウォーキング・デッド」ダリル・ディクソンの魅力~無口な一匹狼なのに優しい

ウォーキング・デッドの魅力

「ウォーキング・デッド」シーズン9の放送開始の前に、主な登場人物たちの魅力をもう一度、振り返っておこう。 第2回目はクロスボウとオートバイを愛する一匹狼、だけどやさしいダリル・ディクソン(ノーマン・リーダス。(平沢薫)

※ご注意※ なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン8までをがっつり観た人向けですので、未見の場合は衝撃のネタバレが含まれることがあります! ご注意ください。

ウォーキング・デッドの魅力 連載第2回 ダリル・ディクソン

唯一のイケメンキャラ?

ダリル・ディクソン
ダリルの得意技クロスボウ! 戦闘能力高し!AMC / Photofest/ ゲッティ イメージズ

 リアリティ重視の演出のためか、イケメン枠がガラ空きなのが、本シリーズの特徴。唯一のイケメンなのが、ダリル。口が悪くて無愛想、単独行動を好み、クロスボウの名手でオートバイ乗り、というクールなキャラだ。見た目通りに殺傷能力が高く、持久力もあり、ニーガンに捕まって拷問された時も、耐え続けてチャンスを待った。

 元は無職、自称ろくでなし兄メルルは窃盗や違法売買をする犯罪者で、ダリルは兄に命じられるまま何でもし、刑務所に入ったこともある。兄と共にグレンたちのグループにいて、兄がいなくなった後も彼らと行動を共にする。

 そんなダリルの魅力は、見た目はクールな一匹狼なのに実はやさしい、というギャップ萌えだろう。キャロルの娘ソフィアが行方不明になり全員が絶望した時も「祈るなんて時間のムダだ。みんなで探せばあの子は見つかる。この中でまともなのはオレだけか?」と言い放ち、一人で探しに行く。そして、娘を心配するキャロルの元に花を持って行って慰める。やさしいのは、仲間に対してだけではない。シーズン6では、自分を襲ってきたグループのバッグを奪うが、そこに持病用の注射が入っているのを見ると、わざわざバッグを返しに行って返り討ちに遭う。ルックスに似合わず(?)いい人なのだ。

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本当は兄メルルが大好きな“弟キャラ”

ダリル・ディクソン
孤独を愛する一方で協調性もあるAMC / Photofest/ ゲッティ イメージズ

 もうひとつの魅力は、弟キャラなこと。彼の凶暴な兄、メルルを演じたのは、今や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヨンドゥ役で人気のマイケル・ルーカー。メルルは乱暴者で、グループの他のメンバーたちには嫌われているが、兄弟の父親はアル中の暴力オヤジで、母親は不在、ダリルは小さい頃から兄に育てられたので、今も兄の命令には逆らえず、心の底では兄を慕っている。

 それを痛感するのは、シーズン2でダリルが瀕死状況に陥った時。彼の前に幻影のメルルが現れて、「弓を抜け。せっかく鍛えてやったのにこのザマか」と悪態で励ますと、ダリルは動き出すのだ。のちにメルルと再会した時も、メルルの欠点を知りながら、彼を無視することはできない。メルルが最終的に他人のための行動をするのは、そんなダリルの兄を思う気持ちが通じたからだろう。この兄弟の関係には、何度も泣かされるはず。

なぜか恋愛エピソードがないのも魅力?

ダリル・ディクソン
キャロルとは戦友 AMC / Photofest/ ゲッティ イメージズ

 また、キャロルとの意外な関係もダリルの魅力。キャロルは、最初は暴力夫に悩む子持ちの主婦だったが、後に最強戦士になる激変キャラ。この2人、最初は無法者と従順な主婦というかけ離れたキャラだが、次第に、周囲から浮く凄腕戦士という似た者同士になる。そして、互いに相手を気遣う関係になる。恋愛とも違うようだが、似たもの同志の共感だけではないような、一種不思議な関係を築いていくのだ。イケメン枠なのに恋愛エピソードがないのも、ダリルの魅力かも? 

 ちなみにダリルは、年齢に関係なく、認める相手には敬意と誠意を持って対応する。例えば、マギーの妹ベスと2人でさまよっていた時。ベスはダリルよりかなり年下だが、彼女が「お酒が飲んでみたい」と言って、偶然見つけたピーチ・シュナップスを飲もうとすると「初めて飲むのにふさわしい酒じゃない」と言って、密造酒を飲ませる。酒に対しても、ベスに対しても、敬意を持って行動するのだ。

 そんなダリルは、ドラマに沿ってゆっくり変化していく。グループの面々が彼の実像を知っていき、信頼するようになる。すると、ダリルもその信頼に応えて行動するようになる。そしてシーズン3頃からは、グループのリーダー、リックの右腕的な存在になる。

 しかし、気になるのはシーズン8のラスト。マギーは、ニーガンを殺さないというリックの意見に反発するが、なんとダリルはリックではなく、マギーに賛成するのだ。彼はリックと対立するようになるのか? シーズン9のダリルの行動が気になる。

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原作コミックでのダリル

 ダリルと兄メルルは、原作コミックには登場しない。実はダリルはTV版にも登場しない予定だった。TV版にはメルルのみ登場予定で、ダリル役のノーマン・リーダスは、メルル役のオーディションを受けて落ちる。が、プロデューサーがリーダスを気に入り、彼のためにダリル役を作ったそう。ダリルは、リーダスがあってこそのキャラなのだ。

【この人にも注目 グレゴリー 】

グレゴリー
ついつい自己保身に走るグレゴリー(右)左はダリルと並ぶイケメンキャラジーザス AMC / Photofest/ ゲッティ イメージズ

 共同体ヒルトップのリーダー。作中でもっとも品性が卑しいのはこの人? 共同体のリーダーなのに、自分の安全しか考えず、共同体の人々がどうなっても平気。牧師ゲイブリエルが聖域に彼を助けに行った時は、ゲイブリエルを置き去りにして彼の自動車を奪って脱出するほどの卑劣漢。しかし、こういうキャラが、シーズン8のラストでしっかり生き残っているのも、本作の醍醐味。彼はマギーが共同体のリーダーになったのが不満なので、シーズン9でも何かやらかしそう。

原作コミックでのグレゴリー

 設定、行動、マギーに殴られるのも原作と同じ。髪型や髭は同じだが、原作では太っている。TV版では痩身なので小者感がさらにアップ?

次回はマギー・グリーン! お楽しみに!

【ウォーキング・デッドキャラの魅力解剖連載予定】

vol.0 「ウォーキング・デッド」シーズン9を前に魅力を再確認!

vol.1  グレン・リー の魅力~人間の善を信じる男

vol.2 ダリル ・ディクソン

vol.3 マギー・グリーン

vol.4 ニーガン

vol.5 ミショーン

vol.6 ユージーン ・ポーター

vol.7 キャロル・ ペルティエ

vol.8 リック・グリムス

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