夏の終わりに観たい!花火映画
今週のクローズアップ
まだまだ暑い日が続きますが、8月も残すところあと1週間! 平成最後の夏に観ておきたい、夏の風物詩の1つともいえる花火が印象的な映画を紹介します。(※一部ネタバレがあります。映画未見の方はご注意ください)(編集部・梅山富美子)
夏の匂いを感じる青春編
いたずらばかりしている“ママチャリ”(市原隼人)率いる高校生たちと、それを執拗に取り締まる駐在さん(佐々木蔵之介)との仁義なき戦いの日々を描いた本作。ある夏の日、いたずら少年たちは、病気を抱える少女・ミカの「打ち上げ花火を見たい」という願いを叶えるために奮闘します。
■男同士の友情、胸アツ!
夏の終わりに友だちと一生の思い出を作りたくなる!
花火大会の日、ミカに花火を見せてあげることに成功するママチャリたち。花火には、人を幸せにしてくれる不思議な力があるのだとミカのキラキラと輝く目が訴えかけてきます。打ち上げ花火と交互に映し出されるのは、幸せそうに花火を見上げる町の人たちの顔。みんなを笑顔にしたママチャリたちいたずら少年の友情に胸がアツくなります。
夏だ!告白だ!編
『ラブ☆コン』
身長が高いことがコンプレックスの女子・小泉リサ(藤澤恵麻)と、身長が低いことがコンプレックスの男子・大谷敦士(小池徹平)の恋愛を描いたラブコメディー。リサは、高校1年生のクリスマスに大谷のことが好きと自覚します。それから半年、募る思いを大谷にぶつけようと、夏祭りでリサは勇気を振り絞って告白をします。
■女子会でワイワイしながら観よう!
観終わったあとは、気になる人を花火デートに誘っちゃいましょう!!
夏祭りに来たリサは、友人たちの計らいで大谷と2人きりになります。花火が上がり、いよいよ祭りもクライマックス。リサは、ドーンと打ち上がる花火の大きな音に背中を押されて、「好きやー!」とついに告白するのです。花火の音に負けないように、大声で愛の告白をするリサに思わず胸キュン! 好きな相手と行く夏祭りで、少しでも可愛いと思ってもらいたくて浴衣を着ていくリサの乙女心は、女性なら誰もが共感できるあるあるエピソードかも。
切なすぎる……大人の恋編
ハッピーエンドのその後を描いた本作。結婚7年目、気持ちがすれ違う日々を送っているシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)とディーン(ライアン・ゴズリング)。そんな2人もかつてはドラマチックな恋に落ち、永遠の幸せを手にしたと思っていたけれど……。映画のエンドロールでは、花火とともに2人の愛の軌跡を振り返ります。
■あえて恋人と観て欲しい
お互いの存在の大切さを実感できる
花火の光で浮かび上がるのは、幸せだったころの思い出。シンディとディーンが恋に落ちる瞬間、結婚したときのキラキラとした記憶が、一瞬だけ光って消えていきます。夜空を照らす花火がすぐに消えてしまうように、あれだけ幸福だった2人の絆も永遠には続かないのだと切なくなります。ただ、2人の間に愛はあったのだと気づかせてくれるニクい演出でもあるのです。
ひと夏の恋編
岩井俊二が原作、『モテキ』『バクマン。』の大根仁が脚本を務めたアニメーション。主人公の声を広瀬すずと菅田将暉が担い、企画・プロデュースは『君の名は。』を大ヒットさせた川村元気が担当、主題歌はDAOKOと米津玄師のコラボレーション。今をときめくヒットメーカーたちが作り上げたのは、ひと夏の淡い恋。花火大会の日、中学1年生の典道は、同級生のなずなに駆け落ちを提案されます。
■1人で映像美に酔いしれるのもアリ!
夏の空気を室内でも思う存分味わえる
アニメーションならではの映像の美しさに感動! 映画の冒頭、タイトルの文字の背景に花火が打ち上る様子は、夏の夜の空気を感じさせてくれます。宝石のような不思議な形の花火の光が、典道たちをカラフルに照らし出す描写は幻想的。花火の不思議な魅力に引き込まれてしまいます。夏の空の日差し、海の透明感、緑の色鮮やかさなど、どこを切りとっても美しい夏が表現されています。
やっぱり家族が一番編、その1
新潟県小千谷市片貝町で行われる、400年の歴史を持つ片貝まつり。世界一の打ち上げ花火としてギネスブックにも掲載されたことのあるこの祭りにまつわる実話をもとにした本作は、引きこもりの兄・須藤太郎(高良健吾)と白血病の妹・華(谷村美月)の物語です。病に倒れた華は、花火大会の花火を見たいと太郎に懇願し、太郎もその夢を叶えるために自分を変えていきます。
■花火が繋ぐ兄妹の絆!
家族と一緒に観て感謝の気持ちを伝えたくなる!
花火の美しさと壮大さを改めて知るとともに、花火がつなぐ兄妹の無償の愛に胸が締め付けられます。ラストに打ち上がる大輪の花火は少し寂しいけれど、太郎の成長した姿は前向きな気持ちにさせてくれます。家族はわずらわしいけれど、どんなときでも味方になってくれる、そんな当たり前のことを感じさせてくれる本作を観たら、きっと家族を誘って花火大会に出かけたくなるかも。
やっぱり家族が一番編、その2
『万引き家族』
今年、カンヌ国際映画祭の最高賞にあたるパルムドールを受賞した本作は、血の繋がらない家族を通して、家族とは何かを問う人間ドラマ。寄せ集めの家族は、虐待されている幼い少女・ゆり(佐々木みゆ)と半ば誘拐に近い形で一緒に住み始めます。夏のある日、縁側からゆりたちが見えないはずの花火を見上げるシーンは、血の繋がった家族よりも、あるべき家族の姿がそこにありました。
■家族で観たあとに、ご飯でも食べに行こう
幼いころの花火の記憶がよみがえってくる
今作には、花火は登場しないのです。それが、より一層観る人の想像力をかきたてます。見せないことで、本当にあるかのように感じさせるのは映画ならでは。縁側のある家で、ご飯やお酒を楽しみながら花火が見たくなってしまうのはそのせいかもしれません。きっと世界のどこかで花火を楽しんでいる家族がいるのだと、少しだけほっとした気持ちにさせてくれます。