『銀魂2 掟は破るためにこそある』橋本環奈 単独インタビュー
大好きなシーンの実写化は心配もあった
取材・文:イソガイマサト 写真:日吉永遠
昨夏に公開された前作のヒットを受けて、笑いも感動も熱い友情ドラマもパワーアップして公開されるアクション・エンターテインメント『銀魂2 掟は破るためにこそある』。本作で前作から引き続き、銀時(小栗旬)と新八(菅田将暉)と行動をともにする万事屋のメンバー・神楽を演じた橋本環奈も、さらにキュートに、さらに“笑い”のボルテージを上げて帰ってきた。そんな彼女が、毎日のように爆笑の連続だったという濃密な撮影を振り返った。
前作の反響が大きかったからこそ不安もあった
Q:まず、昨年公開の前作『銀魂』を振り返って、コメディエンヌとしての演技はいかがでしたか?
そうですね。ただ、神楽も私がほかの福田(雄一)監督の作品で演じた役もすべて福田さんが生み出されたものです。コミカルなお芝居も監督が実践してくださるものを参考に演じているだけなので、「コメディエンヌ」と言われてもいまいちピンとこなくて。神楽にしても、他人を見ているような気持ちになります。
Q:今回の『銀魂2』の万事屋の3人はどちらかと言うとギャグ担当です(笑)。台本を最初に読んだときはどう思いました?
前作より遥かに面白いギャグパートだなと思いました。しかも、映画が始まって早々から、こんなことやっても大丈夫なの? というシーンが連続するんです(笑)。あの一連は、私だけじゃなく、万事屋のみんなが面白いので、お客さんも笑ってくれるんじゃないかなという自信があります。
Q:お客さんを、前作より笑わせなきゃいけないというプレッシャーもあったそうですね。
前作では“鼻〇ジ”や“ゲ〇イン”と呼ばれるぐらい衝撃的なゲロを吐くシーンがあって、その反響が大きかったんです。今回は、お客さんはもうすでにそれを見ているわけだから、私は何をすればいいんだろう? という不安にかられました。ただ、『銀魂2』は万事屋の3人で遊ぶシーンが前作より多かったので、周りを信じて楽しもうと思いました。実際、小栗(旬)さんの銀ちゃんや菅田(将暉)さんのぱっつぁん(新八)と思い切り3人でふざけまくりました(笑)。
何が起きても笑っちゃう空気が流れていた
Q:小栗さん、菅田さんと3人のシーンで印象に残っていることを教えてください。
「将軍接待篇」のキャバクラと床屋でのくだりはやっぱり面白かったですね。面白過ぎて、みんなテンションがおかしかったと思うくらいです(笑)。小栗さんや菅田さんとは撮影がお休みの日も一緒にいて、仲よくさせていただいていたので、その空気も映画に出ていると思います。それに、『銀魂2』から参加された新しいキャストのみなさんとも笑いがとれるコメディーが撮れたので、とても楽しかったです。
Q:橋本さんの泣き顔も面白かったです(笑)。
私も原作のキャバクラのエピソードは大好きで、グラ子(キャバ嬢になった神楽の源氏名)のメイクが涙でボロボロになるところも好きだったから、それを実写で面白く表現できたらいいなと思っていたんですけど、一方では出オチにならないか心配だったんです。でも、あのシーンの撮影終了間際に、菅田さんが「やっぱ、何回見ても面白いわ」と言ってくれたので、安心しました(笑)。
Q:キャバクラのシーンの撮影で、ほかに覚えていることはありますか?
キャバクラのシーンに登場する、あるキャラを演じるのがまさかの(佐藤)二朗さんだったわけですが(笑)。キャストの名前が入っていない仮の台本を見たときに、このキャラは二朗さんだなって思ったシーンです。神楽たちとのセリフで監督が二朗さんを当てて台本を書いているんだろうなというのがわかったからすごく楽しみでしたし、あのキャバクラのシーンは将軍(勝地涼)やお妙さん(長澤まさみ)、真選組のメンバーもそろっていて、みんなテンションが高かったので、何が起きても笑っちゃう空気がすごく流れていました。
小栗旬が言い放った「『銀魂1』を超えた!」
Q:もう一つのギャグパートである床屋のシーンで橋本さんが挑戦したことは?
あのシーンの神楽はわりと無表情で、淡々と当たり前のように作業を続けて笑いをとる感じだったんです。そこでは3人の空気感とポジショニングも大切だったのですが、思わず笑いそうになったときもあって大変でした(笑)。
Q:あのシーンでは、新八の状況説明がそのままツッコミになっているのも最高でした(笑)。
あれは面白かったです(笑)。小栗さんも菅田さんも普段はセリフを間違えないのですが、あそこは2人とも喋っているうちに面白くなって、テンションがおかしくなっちゃって、小栗さんがセリフを間違えたと思ったら菅田さんも間違えるから、私も笑いをこらえきれなかったです(笑)。ちょうど、あのときに小栗さんが「『銀魂1』を超えた! 遥かに超えた!」と言ったんです。あの床屋のくだりを撮り終えたときに、私たちもそれを確信したので、大いに期待していただきたいです。
笑い上戸だから我慢が大変!
Q:橋本さんが撮影現場で思わず笑ってしまったシーンはほかにもあるのでしょうか。
私は笑い上戸でどこでもすぐに笑っちゃうので、監督からずっと「カンカン、我慢よろしく!」って言われ続けていました(笑)。それでも我慢できなくて笑っちゃったところは、ムロツヨシさんが演じた源外とのシーンですね。ムロさんは現場で思いついた面白いことを本番でいきなり言うから耐えられなくて、小栗さんも菅田さんも私も顔を下に向ける感じで沈没していました(笑)。
Q:柳楽優弥さんが演じられた、土方十四郎の別人格=ヘタレアイドルオタク“トッシー”のシーンも面白かったですね。
そこも笑いました(笑)。監督に「そこはやりたいようにやって」と言われた柳楽さんが、アドリブを言いながら神楽の写真を撮るんですけど、そこにはもう柳楽さんはいなくて、トッシーなんですよ! 逆に柳楽さんだと思ったら笑っちゃうからトッシーだと思うようにしていました。源外があることを説明しているシーンでも万事屋の3人はちゃんと話を聞いているのに、トッシーだけ斜め右を見ていて。その変なバランス感覚と再現度の高さにハマっちゃったから、柳楽さん本人にも「トッシー、大好きです。めちゃくちゃいいですね~」って言いました(笑)。
Q:ところで、橋本さんはそろそろ二十歳を迎えられますが、二十歳に向けての抱負は何かありますか?
まだ実感がないですね。二十歳なんだ、もう大人なんだという感じですけど、二十歳になるまでの役も誠心誠意生きていけたらいいなと思いますし、二十歳の年に公開される作品や二十歳になって初めて出会う役もあると思うので、楽しみがすごく多いです。
「私は監督に指示をいただいた通りにやっているだけ」という橋本だが、役と“笑い”のポイントを瞬時に理解し、それを肉体で表現する理解力とポテンシャルはかなり高い。それは福田雄一監督が『銀魂』だけではなく、『斉木楠雄のΨ難』や今秋放映のドラマ「今日から俺は!!」でも橋本をキャスティングしていることからも明らかだ。さらに本作のアクション監督・田渕景也が「もう立派なアクション女優」というほど、並々ならぬ身体能力も兼ね備えている。『銀魂』シリーズで才能を開花させた橋本環奈は、果たしてどこへ向かうのか? 目が離せない。
映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』は8月17日より全国公開