もう一度観たくなる!『インクレディブル・ファミリー』トリビア集
ピクサー・アニメーション・スタジオで映画『インクレディブル・ファミリー』の製作陣を直撃! 同作のトリビアを集めてきました。(編集部・市川遥)
1. ボブに縞模様の服(パジャマ)を着せた理由
仕事に出られず家庭に囚われたように感じているボブの気持ちを表すため、刑務所の服のイメージだそう。
2. ジャック・ジャックが服を着ているのはヘレンが家にいる時のみ
ジャック・ジャックはほとんどおむつ姿ですが、それはボブが慣れない家事育児に疲れ果てていて、服にまで気が回らないから。反対にジャック・ジャックが服を着ているのは、ヘレンが家にいる(いた)時だけという設定になっています。
3. トニー・ライディンジャー少年役で監督の息子が続投
第1弾『Mr.インクレディブル』でヴァイオレットが思いを寄せるトニー・ライディンジャーの声を担当したのは、ブラッド・バード監督の息子マイケル。当時はトニーと同じ14歳くらいでしたが今や20代後半になっていたため、マイケルに14歳のような声を出してもらった上で、電子的にも少しいじったのだそう。バード監督いわく「あまりに完璧に聞こえたから、14年前に録音したものと、新しく録音したものとを続けて聴いてみたけど、全く違いがわからなかったよ」。
4. ボツになったボブたちの家をトニー・ライディンジャーの家に再利用
実は本作は製作期間が1年早められ、カツカツのスケジュールで制作されました。6か月かけて制作したもののストーリーの都合でボツになったボブたちの新居は、トニー・ライディンジャーの家として再利用。外観が映画のラストでちらりと登場します。彼、本当にいい家に住んでいますよ!
5. 椅子が水没する様子を見せたら…
ボブたちのとびきりゴージャスな新居に置かれているのは、おしゃれで高級そうな家具の数々。プロダクションデザイナーによると、家の中でダッシュがボタンを押しまくり、家具が水没していくシーンを建築家や家具の専門家に見せてみたところ、彼らは普通の観客のように笑わずに、「あの椅子は3万ドル(約330万円)の価値があるのに!」とショックで息をのんでいたそう。それだけ家具の一つ一つがリアルということですよね。
6. ディヴァーはもともと兄弟だった
制作の途中で現在の兄妹の形に変更になりました。ヒーロー軍団の一人として出す予定だった女性キャラクターを妹にし、“ディヴァーの弟”を電撃を繰り出すヒーローにしたのだそう。
7. 衣装担当者は普段からミッドセンチュリーの服装
本作の世界観のコンセプトは、素晴らしいデザインにあふれた“ミッドセンチュリー(20世紀半ば)”。衣装担当者たちもこの時代の服が大好きで、自身もビンテージの洋服を何百着と持っているそう! 時間があればアニメーションの衣装をリアルに作るのも好きで、過去にはメリダ(『メリダとおそろしの森』)のドレスを縫製してしまったことも。
8. ジャック・ジャックの声は前作からストックしていた!
前作でも本作でもジャック・ジャックの声は、キャラクターデザインを担当したトニー・フチーリの息子のものがメインで使われています。
フチーリ「彼は、『Mr.インクレディブル』の製作を始めた2年後に生まれました。息子が変な音を発しているので、ブラッド(・バード監督)が録音するようにと言い、僕は窓を毛布でカバーして家の中で1時間ほど録音したんです。それが1作目と今作に使われています。今、振り返ると、もっと録音しておけば良かったなと思ったりしますけど。今じゃ、もう16歳なので(笑)」。
9. ジャック・ジャックと戦うアライグマは第1弾の時のアイデア
ストーリーにうまくはまらなかったことに加え、当時の技術では難しかったアライグマのシーンは、本作でようやく日の目を見ることに。またスライム状のジャック・ジャックも第1弾の時のアイデアで、あまりにもグロテスクすぎるバージョンを経て今のバランスの取れた形になりました。
10. 日本人スタッフも大活躍!
■成田裕明さん(特殊効果を手掛けるエフェクト・テクニカル・ディレクター)
一番大変だったシーン「ジャック・ジャックが、着ているスーツの機能の一つで遊んだり食べたりするシーンです。そのシーンでシェービングクリームのような軽くて、キャラクターの動きに合わせて変化するものを初めて作ることになり、それがかなり大変でした。ジャック・ジャックはむちゃくちゃな動きをしますし(笑)。アニメーターと話をしながら進めていくのですが、『こんなんしたらかわいいよ!』とジャック・ジャックの動きをいっぱい提案してくれて、僕は『それはちょっと~』と汗をかきながら(笑)。でも最終的には面白いものができて、ブラッド・バード監督も大爆笑してくれました」
■原島朋幸さん(アニメーター)
こだわったところ「アニメーションってコンピューターの中で何でもできて、キャラクターも簡単に動かせちゃうんですよね。だけどそれをきちんとその世界の中で重さを与えて、生きているっていうのを見せるのがわたしたちアニメーターの役目。ボブはヘレンよりも重いと感じられるようにしないといけないですし。ボブたちはスーパーパワーを持っているので何でもできちゃうのですが、そこには説得力のある重さと動きがないといけない。ブラッド・バード監督だけじゃないんですけど、とにかく言われるのは『ウエイト、ウエイト』ということ。そこにはすごく気を遣いました」
映画『インクレディブル・ファミリー』は公開中