引っ越し魔・ウーマン村本の眺めのいい部屋って?
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、村本がとことん憧れている映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』をななめ見しちゃいます。村本がはニューヨーク留学直前の取材で、BIG CITY LIFE への憧れを語りまくり! 相方のある秘密もしゃべっちゃった?(取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆)
『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』(2014)
名優モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが夫婦を演じた人間ドラマ。40年間暮らしたニューヨークのアパートを売ろうとする熟年カップルの姿を通して、何気ない日常の大切さや夫婦の絆が、優しいタッチでつづられる。
ウーマンそれぞれの憧れポイント!
中川:この映画、村本に多大なる影響を与えた映画ってことで。
村本:その通り! もうな、俺の人生に大きな影響を与えた映画! 以前、暇でふらっと立ち寄った恵比寿ガーデンシネマで観てね、大感動ですよ。派手なアクションもなく、何か大きな事件が起きるわけでもないけど、日常にある大事なものに気づかせてもらえた映画。ブルックリンのアパートの最上階に暮らす老夫婦が、年老いて来て階段の上り下りがきつくなって、家を売ろうってことになり……。というお話でね。ストーリーもそんな特別でもない。
中川:でも、この夫婦はアパートに40年以上住んでて、めっちゃ愛着のある家なわけやん。村本なんて、東京来てから何回引っ越ししているのかわからんのに、共感できたん?
村本:そう! 俺は引っ越し王。もう1年に一度のペースで引っ越してるからね。その度に敷金礼金は飛んでいき、引っ越し貧乏や。でもな、自分にないものだからこそ、逆に憧れちゃうわけよ! 都会に浮かれている俺と、都会に地に足をつけている素敵な夫婦というな。
中川:この夫婦の関係は憧れたわ。お互いがお互いのことちゃんとわかっているっていうか。俺と嫁は出会ってまだ7年で、こういう関係ではないし。
村本:ああ、お前んところ、完全に冷え切っとるもんな。
中川:うるさいわ! でも、この映画のダンナなんて、奥さんに子犬あげてありがとうのキスしてたやん? 俺なんてたぶん、今後何をあげてもキスしてもらえる気しないわ(笑)。なんなら、マッサージでもしてあげて、ちょっとだけ肌を触って欲望を満たすということしかできていないのが現実なのよ。
村本のおかげ?中川、高層マンションご購入
村本:そういえば、お前の家ってどこにあるんや?
中川:板橋区。
村本:「板橋区、巨乳のいる家売ります」って映画作ったら?
中川:なんで奥さん付きで売るねん!
村本:だって売るんやろ? あのボロ屋。
中川:売らんよ! そもそも賃貸やし。
村本:僕がなんでこんな話をしたかと言うとねぇ。この人、都内にめちゃくちゃいい高層マンションを購入しとるのよ。
中川:余計なことを言うな!
村本:さあ、なんぼか言いなさい。
中川:……6,000万円のマンションですわ。35年ローン。コンシェルジュもいる3LDK。まあ、狭目ですけどね。だから、この映画に出てくる内見のシーンとか、家探しをしてた時と重なって、なんか親近感湧いたなぁ。アメリカって、元の家主とこんなにコミュニケーション取るんやって。そういうアメリカの不動産事情みたいなのもめっちゃ珍しくて、面白かったわぁ。
村本:「眺めのいい6,000万円のマンション」て、めっちゃいい家やんけ! 今の家からスーパージャンプしたなぁ。この映画とは正反対やで。あっちは40年暮らした家に対する愛着の話なのに、中川は古い家をいともたやすく飛び出していくという。というかな、そこに暮らせとんのは俺のおかげなんやから、金日成のように俺と(吉本の)社長の写真をでっかく部屋に飾っとけ!
家に必要なものって?
村本:俺が代官山とか恵比寿とか六本木とかをグルグルグルグル引っ越ししまくっている間も、お前は築40年のところにずーっといて、いよいよそこから飛び出したからなぁ。もう、ほんまに「中川やりおったな」って言葉しかないけど、やっぱり住んでいる人と、家との相性って大事やと思うで。だって、お前が住んでいた家は、俺は死んでも住めない。中川家のアパートとか、絶対に光なんて入ってこないやろ。映画の中でも、不動産屋が光は財産! って言うてるやろ? 俺はあれ、よくわかるわ。窓からの日差しってめっちゃ大事。
中川:俺ん家は、窓を開けたらすぐ高速道路やからほこりがすごくて、子供が喘息になってもうて、ずっと窓閉めっぱなしやったからな。でも、今度の家も西日が強すぎてカーテン閉めなやばい(笑)。でもな、東向きか西向きかで、値段が1000万円くらい違ってくるんやで。光も何も言えんわ。
村本:俺は1階に住んでいた時が、めっちゃ怖かったなぁ。光の問題どころか、誰か入ってくるんちゃうかっていつもビクビクして。だから周囲の治安とかも大事やと思う。映画の夫婦が暮らしているブルックリンは、下町っぽくていいよなあ。外で会う人みんなが知り合いでさ。散歩で犬を連れてコーヒーを買いに行くあの感じなんて最高やで。
中川:俺も実は、今住んでいる町がめっちゃ好きなのよ。好きすぎて、最初はうちの周辺で新居探していたぐらいやもん。
村本:お前の近所もあんな感じなん?
中川:例えば、町のお店やさんとかで「あ、パラにいや!」って声かけられたりするけど、プライベートで毎回ってしんどいやろ? でも、うちの近所の人たちは俺を見てもそんなに気にしないでスルーしてくれて、それが心地よくて。
村本:中川……それ単に、人気なくなっただけちゃう?
これだけは言いたい!ななめ見ポイント
中川:夫婦が2人の若い頃をずーっと思い出して行くシーンがめっちゃ良かった。俺も、嫁と出会った時のこと思い出したりすることって今でもあるし。あんときは俺のことすっごい好きでいてくれたな……とかね。この映画はやっぱり、年老いて行く夫婦やし、夫婦で住んでいる家なわけやん。村本はこれを見て結婚したくならへんの?
村本:うーん。夫婦っていうよりも、ああいうアパートに住みたいっていう憧れの方が強いわ。やっぱりあの場所やねん。
中川:村本の中で眺めのいい部屋ってどんな部屋?
村本:よし! まず眺めのいいの定義を作ろう。ブルックリンの橋が見えて、ニューヨークの街が遠くに見える感じ。あれがすごくいい。例えば、新宿も大都会やし憧れるけど、あの景色を30階から見たところでなんかちょっと違う。眺めがいいわけじゃない。でも、恵比寿に住んでいたとき、窓を開けると住宅街が見えた。時々、誰かが掃除をしていたり、どこかの家庭の笑い声が聞こえたりさ。それが俺にとっての眺めのいい部屋。
中川:じゃあ、これまで住んだ中で一番眺めがいい部屋ってどこやった? やっぱり恵比寿?
村本:いや、大阪に住んでいた頃。アパートの窓を開けたら、何故か素っ裸のお姉さんが見えてしまったときがあって。あれは、最高の眺めやったな!
※記事内容には個人の意見が含まれています
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。