映画館で禁断のおせんべいをぼりぼり食べる!の巻
まほの別府ブルーバード劇場日記
別府ブルーバード劇場との出会い
「別府」とは縁もゆかりもございません!
連載第1回 斎藤工さんが…!別府駅前が大パニックになった日はこちら>>
ブルーバード劇場のお手伝いを始めて、はや3年。よくみんなから「森田さんって、地元が別府なんですか?」という質問をされます。でもわたくし、別府とはなんのご縁もございません! 別府生まれでもないし、じいちゃんやばあちゃんが別府とか、そういうこともないんです。
つまり、縁もゆかりもない! そんなわたしが、どんないきさつでブルーバード劇場のお手伝いをすることになったのか。今回は、その衝撃な出会いについてお話ししたいと思います!
はじめて別府を訪れたのは今から4年前。その頃のわたしは、よくある「人生に疲れちゃった」状態。生きる屍みたいな顔して生きておりました。心も体も限界に感じていた頃に、小学生の頃からの幼馴染がある日突然「別府においでよ!」と誘ってきました。「今仕事で別府に滞在しているんだけど、めちゃくちゃいいとこだし、温泉もあるからゆっくりしにおいでよ~」と。
「温泉」という二文字に惹かれて別府を訪れたわたしが、友達に「着いた!」というラインを送り、戻ってきた返事はまさかの「ごめん! あんたくるの忘れてて、今熊本!」。
このヒト、とんでもねえな!
と呆れ果てながらも、送られたアドレスの家を探し出し、ポストの鍵を使って無事に到着。その時わたし1週間滞在する予定できていたのですが、どこに行けばわからないわでただただボーゼン。毎日、別府駅周辺をひたすらをうろうろしていると、ある日めっちゃ気になる場所を見つけちゃったのです。
別府ブルーバード劇場
別府駅前の坂道をゆるゆるとおりて行くうち、右側に見えてくる真っ赤な階段。そして、無数に飾られた映画のポスター。
「映画館なの?」
なんだか無性に気になって、恐る恐る階段を登って行くと
「おばあちゃんがいる!」
窓口に、ちょこんとおばあちゃんが座っていて、「いらっしゃいませー」とニコニコで話しかけてきた。
映画館のおばあちゃんがせんべいをくれた!
「もうすぐ、『百円の恋』っていうのが始まりますよ」と言われるがまま、チケットを買うと、「はい、大人一枚ね」とおばあちゃんが昔懐かしい感じの切符を定規でビリッともぎって半券をくれました。なにこれ、昭和感がすげえええ! と感動しながら、劇場の扉を開けると、そこはさらなる昭和感が!
しかも、お客わたし一人! こんなことがあっていいのか! うおおお。めっちゃ自由じゃん~。と一人で大興奮して、一番後ろのど真ん中にどでん! と座っていると、さっきのおばあちゃんが「おかし食べる?」と何やら差し出してくれた。
せんべい!
せんべいって! 「ボリボリ音立てちゃダメ!」とか「静かにしてね!」とめっちゃ劇場のマナーが厳しい時代に、せんべいくれた! どんだけ自由! とさらに衝撃を受けていたわたし。
しかもいきなり映画始まった! 予告編ないんかい! とツッコミどころ満載。シネコンでの上映にすっかり慣れきったわたしは、痺れるほどこの映画館が好きになっていました。恋かも!
せんべいボリボリ食べながら、めちゃくちゃ自由に、最高にいい映画を楽しんだわたしが席を立とうとすると、一番前の席からおっちゃんがいきなり立ち上がり、「面白かったなあ!」と一言。びっくりした! ブルーバードの一番前の席はソファー席になっていて、そのおっちゃんは寝っ転がりながら観ていたのですよ。ビールの缶片手に! なんなんだよ、最高かよ! とわたしはすっかりこの映画館の虜になっていました。
そして、わたしの心はこの時決まっちゃったのです。まるで、一目惚れした乙女のように。「私、この映画館の嫁になるわっ!」と。(次回に続く)
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