『ヴェノム』に出てきたアレって何?7つの素朴なギモン
マーベルの最恐ヴィランを描く『ヴェノム』が全米に続いて日本でも大ヒット中だ。ヴェノムの凶暴ぶりに興奮し、エディとヴェノムのバディぶりも楽しいが見終わった後で「あ、アレって何だっけ?」と思うところも? そんな疑問をスッキリさせよう。(平沢薫)
※本記事はネタバレを含みます。映画『ヴェノム』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします!
素朴なギモンその1 結局、シンビオートの最終目的って?
この映画の敵、地球外の寄生生物であるシンビオートの最終目的は、地球を彼らの餌場にすること。彼らは他の生物に寄生するが、他の生物をエサにもするのだ。だから、シンビオートのリーダー、ライオットは、ライフ財団の宇宙船を使って仲間たちの大群を地球に連れてこようとする。
ということは、おそらくシンビオートは最初からただ採取されたわけではない。彼らは、ライフ財団の宇宙船乗組員に遭遇した時に、地球人がエサになることに気づき、わざと採取されて地球にやってきたのだろう。
素朴なギモンその2 なぜヴェノムはエディの味方になった?
ヴェノムはエディに寄生してしばらくしてから、「お前が気に入った」「オレは自分の星では、お前のような負け犬だった」と言う。そしてシンビオートのリーダー、ライオットに反逆することを決意し、エディにその理由を問われると「お前だ。お前がそうさせた」と答える。あれ、そんな出来事があったっけ? と思ってしまうが、これはきっとシンビオートの能力のせい。
シンビオートは寄生すると、宿主の能力や性質だけでなく意識や記憶も手に入れる。なので、ヴェノムはエディに寄生して彼のこれまでの経験や性格を知ったはず。そして、はぐれ者同士の共感を抱いたのに違いない。
素朴なギモンその3 エディの「NYのデイリー・グローブ社での出来事」って?
エディがライフ財団を取材することになると、恋人アニーは「NYのデイリー・グローブ社でのようなことを繰り返さないで」と心配する。これは原作コミックでの出来事を踏まえたもの。
コミックでエディは、元はNYの新聞社デイリー・ブローブの人気記者。彼は殺人犯だと名乗る人物のインタビューを記事にするが、スパイダーマンが本当の殺人犯を捕まえたことから、エディの記事が誤報だったことが分かり、新聞社をクビになる。この映画にはスパイダーマンは登場しないが、このセリフがあるということは、ひょっとしてスパイダーマンと接点があったのかも?
素朴なギモンその4 生き残った宇宙船乗組員、ジェイムソンって?
冒頭でロケットが不時着したとき、唯一の生存者として救急車で運ばれた人物の名が、ジェイムソン。このネーミングは「スパイダーマン」のジョン・ジェイムソンを意識したものかもしれない。
ジョン・ジェイムソンは、スパイダーマンが働く新聞社デイリー・ビューグルの社長、J・ジョナ・ジェイムソンの息子。元宇宙飛行士で、月面で未知のエネルギーを浴びたことからヴィランのマンウルフになってしまう人物だ。
素朴なギモンその5 ヴェノムがアニーに寄生すると女性体型になるのはなぜ?
シンビオートは変形自在なので、ヴェノムが女性体型になるのはちょっと違和感があるが、この姿はコミックの"シー・ヴェノム"を意識したもの。コミックにもヴェノムがエディの元恋人(コミックでは元妻)アニーに寄生してシー・ヴェノムになるシーンがあり、その時は女性的な体型になる。
アニーに限らず、もともとシンビオートは宿主の性質と融合するので、女性に寄生すると女性的な身体になる。ヴェノムとは別のシンビオートが別の女性に寄生したスクリームも女性体型だ。
素朴なギモンその6 ヴェノムがチョコレートを欲しがるのはなぜ?
ヴェノムはいつも腹を空かせていて、エディに「人間は食べるな」と言われると、チョコレートをねだる。あの容貌でチョコレートが好きとはキュートさ倍増だが、これにはコミックで設定されている理由がある。
シンビオートが人間の脳を食べたがるのは、脳にある神経伝達物資フェネルチルアミンが好物だからだが、この物質はチョコレートからも抽出できる。だから、ヴェノムはチョコレートを欲しがるのだ。
素朴なギモンその7 エンドクレジットの途中に出てきた男は何者?
エディが刑務所に連続殺人犯の取材に行くと、その男(ウディ・ハレルソン)はエディにニヤリと笑って「俺がここを出たら大虐殺(カーネイジ)になるぞ」と言う。映画字幕に、このふりがなが付いているところが親切だ。
このカーネイジとは、ヴェノムの宿敵の名前。シンビオートが凶悪殺人鬼に寄生して残虐さが倍増した赤色の共生体で、原作コミックでは、ヴェノムが単独では倒せず、スパイダーマンと共闘した凶悪キャラだ。
この人物は、そのカーネイジになる男、凶悪殺人鬼クレタス・キャサディ。彼がここに登場したということはもう、続編のヴィランはカーネイジに決定。続編では、カーネイジの誕生と、ヴェノムとの激闘が描かれるはずだ。そしてスパイダーマンも共闘する?!
オマケ アニーが言う「クリプトナイト」って?
エディがアニーに、ヴェノムはある周波数の音が弱点だと話すと、アニーは「クリプトナイトみたいに?」と言う。このクリプトナイトは、スーパーマンの唯一の弱点である物質のことだが、注目なのはそこではなく、ヴェノムはマーベル宇宙、スーパーマンはDC宇宙の存在だということ。アニーの発言は、その境界線をサラリと通り越しているのだ。こんなさりげない越境も、シンビオートの異端児『ヴェノム』の映画らしい?