豪華キャラ集合に興奮!12月の5つ星映画5作品はこれだ!
今月の5つ星
ついに2018年も終わり! 師走を盛り上げる今月の5つ星映画は、ゲームの裏側の世界を描いたディズニー映画最新作や、鬼才・中島哲也が川村元気とタッグを組んだ異色ホラー、大泉洋が10キロ減で難病を患った実在の人物を演じ役者魂を見せつけた話題作に、インド映画らしい魅力あふれる感動実話ドラマ、そして実際の誘拐事件に着想を得た切ない恋物語をピックアップ。これが12月の5つ星映画5作品だ!
本当にコワいのは人間……!?中島哲也監督が放つ強烈ホラー
『来る』
『告白』『渇き。』で知られる鬼才・中島哲也監督の新作『来る』は、得体の知れない“あれ”による超常現象に巻き込まれる人々が描かれる。恐ろしいことはわかっているのに、“あれ”が何なのか好奇心を掻き立てられて指の隙間からスクリーンを覗いて観てしまうのは中島監督の演出のすごさ。さらに、“あれ”の被害に遭うイクメンパパ・田原(妻夫木聡)ら登場人物たちの背筋が凍るような心の闇が垣間見え、彼らの本性を知れば知るほど、本当に怖いのは“あれ”なのか“人間”なのかわからなくなってくる。また、岡田准一、黒木華、小松菜奈、妻夫木と主役級のキャストが揃うなか、日本最強の霊媒師・琴子を演じる松たか子のビジュアルと存在感は圧倒的。どんな敵でも倒せるのではないか、という謎の期待と安心感がある。死者が続出し、どんどんエスカレートする“あれ”の霊的攻撃を止めるために琴子が日本中の霊媒師たちを集結させて儀式を行うさまは、まるで祭のようで、なぜか気持ちが高揚する。(編集部・梅山富美子)
映画『来る』は12月7日より公開
妻への思いが社会を変える!インドが舞台の感動の実話
タイトルロールでもある“パッドマン”ことラクシュミが、新妻・ガヤトリが生理の際に不衛生な古布を使っていることを知ったことから、安全かつ安価な生理用品づくりに邁進し、インドに革命を巻き起こしていく感動の実話。彼が改革を挑んでいく、女性の生理期を「穢れ(けがれ)」として女性は室内にも入れないというインドの風習や、高価な生理用ナプキンの使用率が12%という前近代的な悪環境には思わず顔をしかめてしまうが、これが21世紀の物語であることに驚きだ。ラクシュミは研究に没頭するあまり、妻や親戚にも愛想をつかされ、村八分にされて逆境に立たされてしまうものの、驚異の粘り強さで低コストかつ衛生的な生理用ナプキンを製造できる機械の発明を成し遂げる。何よりも感動的なのは、自分の妻を思う気持ちが彼を近代主義者へと変え、そしてインド全土の女性たちの救済へとつながっていくことだろう。女性たち自らが生産と配給を手掛けるシステムも開発し、利益追求とは異なる理念に突き動かされた彼の思いが社会のかたちまでを変えていく。素朴さと誠実さを体現している主人公のラクシュミを演じるアクシャイ・クマールの笑いを誘う演技はもちろん、人情喜劇あり、ラブロマンスあり、陽気なミュージカルありと、インド映画の魅力がふんだんに詰まっている。(編集部・大内啓輔)
映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』は12月7日より公開
ネットの世界だからこそ実現した豪華キャラ集合に興奮!
ネットショッピングやYouTubeを初めて使ったのはいつだったか……? 忘れてしまうくらい身近な存在になったインターネット。今作では、そんなネットの世界に初めて触れたヴァネロペとラルフの冒険を描く。東京を意識したという街並みに、Googleなどサイトが高層ビルのように立ち並ぶ世界には、インターネット利用者がアバターになってSNS、ショッピング、オークションを活用したり、動画を見て「いいね!」なるハートを送ったりと、ネットの世界をユニークに表現。その上、ディズニープリンセスや、『スター・ウォーズ』『アベンジャーズ』シリーズのキャラが勢ぞろいするなど、まさにネットの世界だからこそのなんでもあり。プリンセスがおとぎ話をいじった「ぶっちゃけ女子会」や、『アベンジャーズ』顔負けのアクション(?)シーンまでもが描かれ、本当に「ここまでやるのか、ディズニー!」と笑いが止まらない。そんな刺激的な世界に魅了される主人公ヴァネロペと、逆の反応を示すラルフを対照的に映しながら、きちんとネットの闇に触れているところもいい。(編集部・山本優実)
映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』は12月21日より公開
ファンタジックな解釈が神の一手!実話に着想を得た切ない恋物語
落ち葉の絨毯が敷き詰められた森を背景に、少年少女の甘酸っぱいじゃれ合いが繰り広げられる冒頭シーンはあまりにも美しく、青春ラブストーリーなのかと錯覚しそうになる。しかし、本作は1993年にシチリアで実際に起きた凄惨な誘拐事件に着想を得た作品。一筋縄ではいかない恋物語だ。ほどなくして少年の誘拐事件が起きると、甘い雰囲気は鳴りを潜め、事件に対して沈黙を貫く周囲の人間の冷酷さが浮き彫りになる。実在の事件がモデルではあるものの、少年に思いを寄せる主人公の少女は本作のために作り出されたキャラクターだ。この架空の少女の視点から事件を捉えたことが、作品にとって神の一手。単なる「実在の事件を基にした映画」には収まらない不思議な手触りの映画に高めており、何もなかったように事件をやり過ごす周囲への強い抗議を示したファビオ・グラッサドニア&アントニオ・ピアッツァ監督の脚本が冴えわたる。携帯でもパソコンでもなく、ラブレターでつながる少年少女の恋は、ファンタジックな描写も相まって不思議な童話のようで、少女を演じた新人ユリア・イェドリコフスカの力強い眼差しに胸が締め付けられる。(編集部・吉田唯)
映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』は12月22日より公開
人を頼ることの大切さを教えてくれる、愛しき人たらしの物語
タイトルだけ見ると、一体どんな映画なのか全く予想がつかないであろう本作。だが、そのものずばり“愛しき実話”がすべてを物語っている。全身の筋力が徐々に衰えていく難病・筋ジストロフィーを幼い頃に患い、首と手しか動かすことができなくなった鹿野靖明さんと、彼の闘病生活を支える鹿野ボラこと大勢のボランティアたちとの交流の記録を綴った作品だ。だが、本作はその想像を大きく裏切ってくれる。この鹿野という自由すぎる男が、超越した魅力にあふれる男だからだ。そんな人物を10キロにもおよぶ減量という気合で演じた主演の大泉洋は、当時の鹿野を知る周りの人たちも生き写しだと称賛するほどのハマりぶり。わがままで、図々しくて、惚れっぽくて、よくしゃべる。いわゆる人たらしという魔力に魅了される。無駄にできる時間のない、命を懸けたわがままを実行し続ける鹿野が発する「甘えて何が悪い」という言葉。人同士の距離のとり方が難しい現代だからこそ、その言葉の大切さが心に深く響く。(編集部・浅野麗)
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は12月28日より公開