ウーマン村本、ネット配信のアカデミー賞有力作に脱帽 - 『ROMA/ローマ』
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は傑作SF『ゼロ・グラビティ』(2013)で知られるアルフォンソ・キュアロン監督の新作『ROMA/ローマ』をななめ見しちゃいます。アカデミー賞最多ノミネート作をNetflixで観られる時代に2人とも驚き!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆)
『ROMA/ローマ』
政治的混乱に揺れる1970年代のメキシコを舞台に、中産階級の一家と若き家政婦クレオの1年を描く。メキシコの首都・メキシコシティ育ったキュアロン監督の半自伝的作品で、自ら撮影監督を兼任した美しいモノクロ映像は必見。タイトルの『ROMA/ローマ』は、首都中心部に近いコロニア・ローマ地区が由来。
監督のセンスにパラダイス大感動!
村本:観てみたら、この映画がアカデミー賞の作品賞候補に入った意味がわかったわ。今、メキシコって(トランプ米大統領が)不法移民対策で「国境の壁」を作ろうとしていたり、いろいろと問題が持ち上がっとるけど、この映画は70年代を舞台にしながら、人種問題や女性の社会進出みたいなものが、しっかりと全て描かれているなと。しかもそれを映画館やなくNetflixでインターネット配信しちゃう。時代の流れが全部入った映画やなって。内容は最高やし、それに最高に美しい映像が融合していて、感動しました!
中川:ほんまに観やすかったわ。なんか、最初にちょっとだけ見たメイン画像がすごいアートっぽくて、モノクロ映画っていうし、これ大丈夫なんかな? 難しい映画なんやないかなって不安やったんやけど。
村本:それと、今の日本人にはもう、こういうお手伝いさんみたいな存在って遠いもんになってしまったから、その点はわかりにくいかもしれんな。
中川:うん。でも実際に観たらぜんぜんわかりやすいし面白かった。オープニングからして、主人公が外廊下で犬のウンコ掃除してるだけなのに、めっちゃセンス良かったよな。
村本:廊下のウンコ掃除って……お前もうちょっとマシな言い方ないんかい!
中川:アップになった床のタイルに掃除用の水が流れてくるとそこに空が映って、さらにそこを飛行機が通っていくねん。そこを観てもう「うわ、この映画めっちゃオシャレやん!」って、びっくりしたのよ。
村本:あれがまた、ええラストにつながっていくしな。ここでは言えんけど、めっちゃいいラストやったなあ。
ウーマン、時代の進化を実感
村本:アカデミー賞で最多ノミネートされてる映画なのに、もうNetflixで観られるって部分も、めっちゃ斬新やな。すでにネット配信してるんや! って思ったもん。しかも全世界に向けてって。すごいよな。
中川:俺なんか、Netflixやから携帯使って観たもん。でも面白いから、ぜんぜん集中が切れないと言うか。一気に観れたわ。やっぱり面白い作品って、何で観ても面白いんやなって思った。
村本:新しいよな~。俺は、映画は映画館で観るのがめっちゃ好きだから、それはそれで寂しけど、こういう形態もあるんやなって、新しいモノを見せられた感じがする。これまでのやり方を壊して、新しい映画の形に挑戦したんやなって。そのせいでカンヌ国際映画祭では、(コンペティション部門出品を)拒否されたって聞いたけど、挑戦したことがすごいなって思ったわ。
中川:もちろん映画館で観られるのも大事やと思うけど、Netflixやったら、言語に関係なく、世界中でめっちゃたくさんの人が観れるからな。みんなに観てほしいわ。
中川の着眼点はまさかの!
村本:ていうかお前な、今いろいろと偉そうなこと言ったけど、こないだルミネ(the よしもと)の楽屋で言ってたやん。「あれどうなってんの!? あんなにくっきり××××映ってんのやばない!? あんなんようボカシも入れんと配信してるなあ」って(笑)。それが第1声やったし!
中川:まーそうやね(笑)。ヒロインの彼氏(ホルヘ・アントニオ ・ゲレーロ)な! だって、あの人すごくない? この映画観た人たちは、絶対にみんな、あれに釘付けになると思うよ。めっちゃ全裸でカンフー(武道)を彼女に見せてるんやもん。やばかったわ。立派なモノをブラブラさせて……。
村本:こいつ、ほんまテンション上がりすぎて、楽屋のメイクさんとか女の人の前で「××××見た!?」って連呼しやがって。どんだけ興奮してんねん! お前の言葉にモザイクかけろ!
中川:しかも、彼氏が所属してる集団が日本語もしゃべってたよな。
村本:そうそう、武道の練習しながら「アリガトウゴザイマス!」って言うとったなぁ。
中川:気になるわぁ。棒を振り回すとこ、なんであんな裸でしとったんやろ……。
村本、意外なキャラに共感
村本:主人公のクレオも彼氏もそうやけど、出てる人たちが、みんなめっちゃ芝居上手やったな。でも、基本的には素人ばっかりなんやろ? みんな現地で働いている人たちなんやって。それもすごいよな!
中川:いや、びっくりした。確かに主人公のクレオも、なんか女優さんぽくないっていうか。めっちゃキレイなわけでもないし、体型もスタイル抜群ってこともないのに、人間味にあふれている。今聞いたら、あの人、もともと学校の先生でこの役に抜擢されたって。
村本:会話のシーンも自然だったよな。台本がぜんぜん決まっていなくて、アドリブやったって聞いてそれも納得というか。登場人物の人たちのキャラクターが細かい動きですごい伝わってくんねん。例えば、クレオを雇ってる一家のお母さんが、だんだん生活が追い詰められていて、夫婦関係のこともあって寂しくてって言う感情がめっちゃ伝わってきた。しかもお母さんの性格、ちょっと俺に似ていて切なくなったわ。
中川:確かに、急に怒鳴ったと思ったら、反省していきなり謝ってきたりするとこなんてお前ソックリやで! いきなりほっぺたパーン! ってしてくるとことか、めっちゃ怖かったし。
村本:クレオの彼氏もめちゃくちゃな野郎だけど、なんだかんだ言って俺はめっちゃ共感できるねん。彼女に良いこと言いまくっておいて、いざという時には逃げる奴な(笑)。俺やったら、きっとトイレに行くって言うて逃げるなぁっていう場面で全く同じ行動してて笑ったわ。
中川:なら、お前も彼女の前で棒振り回して全裸カンフーするん?
村本:それはせんけど、部屋に女の子がいても、会うのが2回目以降やったら、全裸で独演会の練習とかしてるわ。
中川:クレオはあの時、目ぇキラキラさせて彼氏さんのこと見てたけどな。村本もそんな風に見つめられてんの?
村本:あいつはめっちゃ筋肉すごかったから、あんな目で見られてたけど、俺の場合、こんなボヨンボヨンの体でブツブツしゃべってるところ、キラキラした目で見られるわけないやん。もう、そんなんなる可能性は無い! 『ゼロ・グラビティ』やわ!
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
※記事内容には個人の意見が含まれています
取材協力:サラベス 品川店
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。