アカデミー賞、日本作品の受賞はあるか?
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ハリウッド最大の映画の祭典・91回目となるアカデミー賞授賞式が2月24日(日本時間2月25日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催されます。WOWOWでは今年も、華やかな式典の模様を生中継。どの賞の行方も気になるところですが、とりわけ今年は日本映画が2作品ノミネートされており、受賞への期待が高まっています。外国語映画賞にノミネートされた『万引き家族』と、長編アニメ映画賞にノミネートされている『未来のミライ』は、果たして栄冠に輝くのか!? その受賞の可能性を探ってみましょう。(相馬学)
日本作品の活躍をプレイバック!
1947年の第20回に特別賞の名で設立された外国語映画賞。以来この部門では4度、日本映画が栄冠に輝いています。賞の名称がまだ名誉賞だった1951年に、黒澤明監督作品『羅生門』で初の受賞、1954年に『地獄門』、1955年には『宮本武蔵』が続きました。また、1975年にはソ連で製作された黒澤監督の『デルス・ウザーラ』が賞を獲得しています。比較的記憶に新しい2008年の『おくりびと』は、じつに53年ぶりの日本映画の戴冠かつ、外国語映画賞という名称になってからは初の受賞となりました。
一方、長編アニメ映画賞は2001年の第74回に設立された比較的新しい部門。設立の翌年に宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が受賞を果たし、アニメ大国・日本の底力を世界に知らしめる恰好となりました。以後も、この部門では『ハウルの動く城』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』『レッドタートル ある島の物語』がノミネートされており、和製アニメーションのクオリティーの高さが評価され続けています。
ちなみに黒澤明は1989年の第62回に、宮崎駿は2014年の第87回で名誉賞を受賞し、ハリウッドでも偉大な功績が称えられています。
実績は十分!『万引き家族』
それでは、今年のノミネート作品はどうか? まずは外国語映画賞にノミネートされた『万引き家族』から見てみましょう。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の実績は、他の候補作品をリードするものと言っても過言ではありません。是枝裕和監督は『幻の光』でデビューして以来、海外の映画祭で高く評価されてきただけに、実績も十分と言えるでしょう。
とはいえ、今年のノミネート作品には、同部門以外にも作品賞など全10部門でノミネートされた『ROMA/ローマ』という強敵がいます。監督のアルフォンソ・キュアロンは2013年に『ゼロ・グラビティ』で監督賞を受賞したこともある名匠。『万引き家族』の前に立ちはだかる対抗馬の中でも、とてつもなく大きい存在です。
しかし、『万引き家族』の受賞に分がないわけではありません。『ROMA/ローマ』は、そもそもNetflixが製作したインターネット配信用の作品で、劇場公開を目的とする作品という従来の考え方からすると厳密には“映画”ではありません。近年のアカデミー賞では配信用の作品もノミネートされるようになりましたが、アカデミー会員の中に“映画館で上映される映画こそ受賞作にふさわしい”という思想が根付いているのも事実で、その考えが受賞を左右する可能性は十分に考えられます。
また、カンヌ国際映画祭で『万引き家族』に賞を授けた審査員長ケイト・ブランシェットは2度のアカデミー賞に輝くほどアカデミー会員に愛され、尊敬されている女優でもあります。そんなケイトが選んだ作品ということも『万引き家族』に有利な材料と言えるでしょう。
ジブリ以外で初のノミネート!『未来のミライ』
続いて、長編アニメ映画賞の『未来のミライ』の受賞の可能性を検討してみましょう。実は、同部門でスタジオジブリ作品以外の日本映画がノミネートされたのは初めて。とはいえ、細田守監督は『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』と、1作ごとに国内はもちろん国外での評価を高めてきた実力派で、アカデミー賞の前哨戦とされるゴールデン・グローブ賞では日本映画としては初めてアニメーション作品賞にノミネートされました。すなわち、前哨戦の段階でジブリ超えを果たした、という見方もできるのです。
とはいえアカデミー賞におけるライバルは、やはり強力です。ゴールデン・グローブの同賞を制した『スパイダーマン:スパイダーバース』や、アカデミー賞ノミネートの常連ウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』に加え、『インクレディブル・ファミリー』『シュガー・ラッシュ:オンライン』という強力なディズニー/ピクサー作品が控えているのです。アカデミー賞における長編アニメ映画賞はディズニー/ピクサー作品の独壇場と言ってもよく、2012年の『メリダとおそろしの森』から前回の『リメンバー・ミー』まで6年連続で受賞中。当然、今年も有力視されています。
しかし、今年のディズニー/ピクサーの2作品は、いずれも続編。シリーズ物が2作続けて同賞を受賞したことは過去に例がありません。物語の鮮度という点でも、『未来のミライ』に確実に分があります。
いずれの作品も2018年の日本で、邦画のベストテンに入る興行成績を残した大ヒット作。そんなメジャーな日本映画がハリウッドに認められたことは、映画ファンとしては喜ばしいことに違いありません。これらの賞の行方に注目しつつ、晴れの授賞式を楽しんでみては?
生中継!第91回アカデミー賞授賞式は2月25日(月)午前8時30分よりWOWOWプライムにて放送
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