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朝ドラの次は大河!人気絶頂の長谷川博己

今週のクローズアップ

 故・松田優作さんや樹木希林さんを輩出した名門劇団・文学座に合格。25歳で俳優デビューし、34歳の時に出演したテレビドラマ「家政婦のミタ」(2011・日本テレビ系)の頼りない父親役で知名度がアップして以来、映画、ドラマ、CMと活躍してきた長谷川博己。来年は、明智光秀を描く大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で主演を務める。現在、朝ドラ「まんぷく」が放送中、2本の映画が公開中と人気絶頂の彼のさまざまな魅力を堪能できる過去作を紹介します。(構成・文:編集部 石井百合子)

新作映画

心に傷を抱えるナイーブな元自衛官
半世界』(公開中)

半世界
『半世界』より (C) 2018「半世界」FILM PARTNERS

 とある地方都市の郊外を舞台に、十数年ぶりに再会したアラフォー同級生3人組の交流を描く本作。長谷川が演じたのは、海外派遣されていた元自衛隊員・沖山瑛介。何の前触れもなくふらりと帰郷した彼は妻子と別れたようで、廃墟同然だった実家に引きこもる。備長炭の製炭を生業とする紘(稲垣吾郎)、中古車販売業を営む光彦(渋川清彦)の暮らしに波紋を呼ぶ、いわば起爆剤的なポジションだ。

 阪本順治監督はオフィシャルインタビューで、長谷川のキャスティング意図を「求めたのは、内へ内へと籠もっていくデリケートで神経質な性質です。マッチョを求めるなら長谷川君をキャスティングしていません。これまでに何度か素の彼と会った(目撃した)ことがあったのですが、その時の印象が、瑛介役に結びつきました。つまり、普段の彼から、内向的で群れることを望まない神経質さを感じたのです」と述べている。

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半世界
稲垣吾郎、渋川清彦とのコンビネーションも抜群!(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS

 初めはアイデンティティー崩壊寸前の危うい状態にあり、親友の紘、光彦をも寄せ付けなかった瑛介の変化もさることながら、元自衛官という設定ならではのアクションシーンも見応え十分。いわゆるマッチョなキャラクターではないが、自衛官として修羅場をくぐってきた経験の厚みを感じさせる、鮮やかな動きに引き込まれる。

歴史的イベントを司った藩主
サムライマラソン』(公開中)

 『不滅の恋/ベートーヴェン』(1994)などのイギリス人監督バーナード・ローズによる侍映画としても注目を浴びる本作。日本初のマラソン大会と言われる安政遠足(あんせいとおあし)の史実に基づく土橋章宏の小説を映画化するもので、長谷川が演じたのは、群馬県安中市にあった安中藩の主・板倉勝明(いたくら・かつあきら)。アメリカ政府の使者ペリーに開国を迫られ、揺れる幕府に不満を抱いており、藩士を鍛えるために遠足を開催。それが幕府の大老に謀反の動きとみなされ、思わぬ事態を引き起こしていくさまが、スリリングに描かれる。

サムライマラソン
『サムライマラソン』より (C) ”SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

 我が国を守ろうとする頑なさのあまり、娘の雪姫(小松菜奈)にも高圧的な言動で接し、険悪なムードに。威厳あるリーダー、年頃の娘を持つ父親、さまざまな側面を表現してみせた。また、182センチの高身長が役に生きており、城から侍たちを見下ろすシーンではそれが顕著に感じられる。

 なお、本作の衣装を黒澤明監督の『』でアカデミー賞衣装デザイン賞に輝いたワダエミが手掛けていることも話題。西洋文化が少しずつ入ってきた幕末という時代の特徴を表現した、自由に発想されたデザインが見もの。勝明が大広間に藩士たちを集める時などは、紋切り型を避けるために裃姿ではなく紋付き袴姿とされた。

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セクシー!

裏の顔を持つエリート
二重生活』(2015)

二重生活
「二重生活」DVD発売中(3,800円+税)発売元・販売元:株式会社KADOKAWA

 小池真理子の小説を、ドラマ「開拓者たち」(2012)などの岸善幸監督が映画化。長谷川は、ヒロインの大学院生・珠(門脇麦)が修士論文のテーマのために尾行する近所の男性・石坂にふんした。美しい妻と娘、マイホームを持ち、手掛ける本は次々とベストセラーになる出版社勤務のエリート。絵に描いたような幸福を手にしながら不倫に溺れている。街中のビルの隙間での大胆なラブシーンもあり、裏の顔を持つ危うい男性の魅力を存分に発揮。PRイベントではドキュメンタリー出身の岸監督らしいスタイルとして、「カット尻(のタイミング)がわからない」現場だったと驚きを漏らしていた。

情熱的な年下の恋人
セカンドバージン』(2011)

 2010年に放送され、大いに話題を呼んだNHKドラマの映画版。17歳年上の出版業界の敏腕プロデューサー、るい(鈴木京香)と許されぬ恋に落ちた既婚者の金融庁キャリア・鈴木行(長谷川)。マレーシアで運命的な再会を果たした2人の顛末が描かれる。“年下の男”がハマり役で、常に自信に満ちたるいに気後れしていく苦悩を哀愁たっぷりに表現。本作が長谷川の記念すべきスクリーンデビュー作となった。Vネックのカットソーを嫌味なく着こなせるのも長谷川ならでは。

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ヒーローもハマる

人類最強の男
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015)
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(2015)

進撃の巨人
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」Blu-ray&DVD発売中(Blu-ray:4,800円+税/DVD:3,800円+税)発売元:講談社 販売元:東宝

 諫山創による大ヒット漫画を、『日本沈没』などの樋口真嗣監督が2部作で映画化。長谷川は、“人類最強の男”シキシマという新キャラクターを演じた。人を喰う巨人たちから人間が逃げ惑う世界で、縦横無尽に飛び回り巨人たちをばっさばっさと倒していくカリスマ的戦士をクールに好演。ワイヤーアクションを華麗にこなす劇中の姿からは想像できないが、ジャパンプレミアではアクションに苦戦したことを告白。「僕が最初に立体起動で飛んだのですが、みんなが(自分を)ロープで持って、『いっせーの』で飛ぶんです。飛んだ途端、一瞬体が沈む感覚を味わって、もう死ぬんじゃないかと思って叫んでしまった」と苦笑いしていた。

親しみやすいリーダー
シン・ゴジラ』(2016)

 「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が総監督を、樋口真嗣が監督と特技監督を務める『ゴジラ』シリーズ最新作で、82億5,000万円の大ヒットを記録(日本映画製作者連盟調べ)。長谷川は、内閣官房副長官・矢口蘭堂役に。対ゴジラ作戦“ヤシオリ作戦”の指揮を執るリーダーだが、時には「まずは君が落ち着け!」と諭されることも(名シーンとして人気)。多くの組織、人間を束ねる知性、頼もしさを備えつつも、完全無欠ではない親しみやすいリーダー像がハマっていた。

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テンション高っ!

夢に生きる映画小僧
地獄でなぜ悪い』(2013)

地獄でなぜ悪い
「地獄でなぜ悪い」DVD発売中(3,800円+税(スタンダードエディション))発売・販売元:キングレコード株式会社 (C)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会

 長谷川が園子温監督と念願かなってのタッグを組んだコメディー。長谷川は園監督の若かりし頃を反映した映画マニアの平田に。少年時代から自主映画を作り続け、いつか永遠に刻まれる1本の映画を撮ることを夢見ていた映画監督志望の青年を、終始ハイテンションで熱演。情報番組「ニッポン・ダンディ」に園監督と出演した際には、かねてから園監督のファンで、「『紀子の食卓』(2005)を観た直後ぐらいに自分の舞台を観ていただけないかとメールを送ったこともあった」と話しており、園監督をして「はまり役で大成功」と言わしめていた。後に、同監督の特撮映画『ラブ&ピース』(2015)でも主演を務めている。

時に妄想する熱血教師
映画 鈴木先生』(2012)

 長谷川がドラマ初主演を務めた、武富健治の漫画に基づく「鈴木先生」(2011・テレビ東京)の映画版。黒縁メガネとループタイがトレードマークの中学校教師・鈴木(長谷川)が、いわゆる問題児よりも一見、何の問題もなさそうな生徒に着目し、独自の教育理論で生徒たちの問題に向き合っていく。学園モノとしてはかなり異色で、鈴木は熱血教師である一方、教え子の美少女・小川蘇美(土屋太鳳)が気になり(自身で小川病と呼んでいる)、しばしば妄想を繰り広げるという、きわどい側面もある。それをユーモラスに、さらりとこなせるのは「ザ・好青年」な長谷川だからこそ。テレビドラマ、映画ともに脚本を「リーガル・ハイ」シリーズの古沢良太が務めている。

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ダーク&ミステリアス

狂気の犯罪者
劇場版 MOZU』(2015)

MOZU
「劇場版MOZU」Blu-ray発売中(4,800円+税)発売元:TBS 販売元:TCエンタテインメント (C)2015 劇場版「MOZU」製作委員会 (C) 逢坂 剛/集英社

 2014年に2シーズンにわたって放送された、逢坂剛のベストセラー小説に基づくテレビドラマの劇場版。長谷川は、警視庁公安部のエース倉木(西島秀俊)を翻弄する狂気の犯罪者・東和夫に。劇場版では一層、過激なキャラクターとなっており、「チャオ!」の名ゼリフが話題に。大ヒット舞台挨拶では長谷川が、その誕生秘話に言及。東が車で去っていくシーンで、監督から「ここで最後に東の狂気を見せてください」と指示を受け、難題に焦った長谷川は、乗っていた車がイタリアのマセラティだったことから思わず「チャオ!」(イタリア語の挨拶)と発したという。西島は、映画の撮影でフィリピンロケを行った際には飛行機の遅延により、準備する間もなく車に乗せられてぶっとんだ演技を披露した長谷川を「すごい」と驚き、絶賛していた。

異星人に翻弄されるジャーナリスト
散歩する侵略者』(2017)

 ホラー&スリラー映画の名手、黒沢清監督が、劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の人気舞台を映画化。長谷川演じる桜井は、一家惨殺事件の取材中に、人間の概念を奪う異星人と出会うジャーナリスト。スクープを狙い、若き異星人たち(高杉真宙恒松祐里)を密着取材するも、思いもよらぬ惨劇に巻き込まれていく。完成披露時には、劇中でつけていたサングラスが私物であったことを告白。アクションシーンなどもあったため「買ったばかりだったのにボロボロに……」と嘆き、笑いを誘っていた。

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爽やかなザ・好青年

京言葉も魅力的な大学教授
舞妓はレディ』(2014)

 『Shall we ダンス?』などの周防正行監督が、舞妓をテーマにしたミュージカル・コメディー。長谷川は、舞妓修行に励むヒロイン・春子(上白石萌音)に京言葉をレクチャーする言語学者・大学教授の京野に。オードリー・ヘプバーン主演の名作『マイ・フェア・レディ』(1964)のヒギンズ教授を彷彿させる上品かつ知的な男性を優雅に好演し、ミュージカルシーンでは歌声も披露。また歌と言えば、園子温監督の『ラブ&ピース』ではロックスターを演じている。

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