ママ業と女優業を両立するスターたちいっぱい！
今週のクローズアップ
2児のママでもあるブレイク・ライヴリー主演の『シンプル・フェイバー』が3月8日に公開されますが、ほかにもママ業と女優業を両立しているスターは数多くいます。ここで取り上げるママ業は、子育て全般のことではなく、女性ならではの妊娠＆出産について。見た目も変わるし、物理的な休養期間があるしと、女優のキャリアにとっては大きなトピックとなります。人気と実力を兼ね備えた女優たちが、どうやって女の一大行事を迎えつつもキャリアを維持しているのか、そのたくましいママ兼女優ぶりを紹介します。（編集部・香取亜希）
【はじめに】
子育てと仕事の両立について聞かれた女優が、「男性にも聞くべきよね」と一刀両断したというのはよく聞く話。たしかに、子育ては母親だけがするものではないので、今のご時世この質問は愚問です。女優たちはキャリアを維持するために妊娠＆出産をどう乗り越えていったのでしょうか？
エミリー・ブラント
『プラダを着た悪魔』でヒロインをいびる職場の先輩を演じブレイクしたエミリー・ブラントは、2010年に俳優のジョン・クラシンスキーと結婚しました。結婚後も『アジャストメント』『LOOPER／ルーパー』などの数多くの大作に出演し知名度を上げていたエミリー。そんな中、2014年に長女ヘーゼルを出産しましたが、妊娠中に撮影していたのは、トム・クルーズと共演した『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でした。エミリーのキャリア史上最も激しいアクションを見せていたといっても過言ではない作品で、劇中ではかなり鍛え上げられた肉体を披露していました。まだおなかが目立たない時期だったようですが、大事な時期にアクションシーンをこなすとは、ミスター・パーフェクトのトムもびっくりのプロ根性です。
そして歌と踊りに挑戦し、自身の代表作の一つとなったヒット作『メリー・ポピンズ リターンズ』では、ボイストレーニング中に第2子妊娠を発表し、2016年に次女バイオレットを出産後すぐに同作のリハーサルを開始したそう。つまり、劇中で見せたスリムな体型は2人目を生んだ直後。同作でエミリーは、ゴールデン・グローブ賞女優賞（コメディ／ミュージカル）、放送映画批評家協会賞主演女優賞とコメディ映画女優賞にノミネートされるなど高く評価されました。乳飲み子とおよそ2歳差のまだ小さい子供がいながらの撮影は、肉体的にも精神的にも大変だったことでしょう。
ケイト・ブランシェット
2度のオスカー受賞歴を誇るベテラン女優ケイト・ブランシェットは、1997年に劇作家のアンドリュー・アプトンと結婚しました。2001年に長男ダシエル・ジョン、2004年に次男ローマン・ロバート、2008年には三男イグナティウス・マーティンを出産。『エリザベス』で一躍有名になって以降、大作話題作と出演作品が後を絶たない人気者なのに、一体いつの間に3人も出産していたのでしょう。実は、アバズレ妊婦役で出演した『シッピング・ニュース』を撮影中、実際に1人目を妊娠しており、劇中の大きなおなかは自前なんだとか。また、『ライフ・アクアティック』で妊婦のジャーナリストにふんしていた際にも、2人目を妊娠していたそう。妊娠中も休むことなく撮影するなんて、ケイトは本当に仕事人間です。3人目を妊娠中には、第80回アカデミー賞で主演女優賞と助演女優賞にダブルでノミネートされるという史上まれにみる快挙を成し遂げました。授賞式に現れたケイトは妊娠後期で、まさに神々しい輝きを放っていました。
そんなケイトは夫と20年以上連れそい、ハリウッドでは数少ないおしどり夫婦としても知られています。家族と一緒の写真を撮られることがあまりなく、仕事とプライベートは分けるタイプですが、授賞式のレッドカーペットなどでは夫婦一緒のことも。息子たちも立派に成長中で、第12回ヘルプマン・アワードは次男ローマン・ロバートのエスコートで登場したケイト。また第19回放送映画批評家協会賞の晩餐会では、三男イグナティウス・マーティンが同席し、同じ席のサンドラ・ブロックに紹介するなど、ママの顔を見せていました。ママの晴れの日を息子のエスコートで祝えるなんて素敵です。ちなみに、2015年に養女エディスを迎え、現在4児のママ。妊娠しようが、子供がいようが、バリバリと働くママはかっこいい！
ジェシカ・アルバ
ジェームズ・キャメロン製作総指揮のドラマ「ダーク・エンジェル」でブレイク以降、セクシーな健康美で人気者になったジェシカ・アルバ。2008年に『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』の撮影スタッフだったキャッシュ・ウォーレンと結婚。2008年に長女オナー、2011年に次女 ヘイヴンを出産しました。出産後も『バレンタインデー』『スパイキッズ4D：ワールドタイム・ミッション』『シン・シティ 復讐の女神』など、ジャンルにとらわれない幅広い映画に出演していました。
子供を持ったことで心境の変化があったのか、2011年に健康と環境に配慮したベビー用ブランド「The Honest Company」を起業しました。ビジネスウーマンとしても成功し、2012年には雑誌フォーチュンの最も影響力のある企業家10人に選ばれるというやり手ママに。子供ができて女優業をセーブするどころか、子供がいるからこそ新たなライフスタイルを確立したジェシカ。そして、2017年には長男ヘイズを出産し、現在3児のママです。パワフルすぎる！
アンジェリーナ・ジョリー
『トゥームレイダー 』でカンボジアを訪れて以来、人道支援に目覚めたアンジェリーナ・ジョリーは、2002年に長男マドックス、2005年に長女ザハラ、 2007年に次男パックスを養子として引き取りシングルマザーとして育ててきました。2005年にブラッド・ピットとパートナー関係になってからは一緒に子育てをし、2006年に次女シャイロ、2008年に双子の三男三女ノックスとヴィヴィエンを出産しました。子供ができてからも『ウォンテッド』『ツーリスト』など、話題作へ出演し続けていましたが、変わったことと言えば、出演する作品で自身の子どもたちと共演する機会を作ったこと。『マレフィセント』では、幼少期のオーロラ姫役で娘のヴィヴィエンが出演しているほか、『カンフー・パンダ3』ではパックス、ザハラ、シャイロ、ノックスがパンダの声で参加しています。子どもたちに貴重な経験をさせてやりたいという親心なのか、一緒の時間を過ごすための工夫なのか、ママが女優だからこそできる特別な体験です。
さらに、作品へのかかわり方に変化が見え始めたのは、『最愛の大地』で脚本、製作、監督デビューを果たしてから。2014年に「1、2本映画に出演したら、後は監督に専念したい」と発言して以降、『不屈の男 アンブロークン』で製作と監督、『チャイルド・マリッジ 掠奪された花嫁』で製作総指揮、『生きのびるために』で製作総指揮を務めるなど、映画製作者としての活躍が目立ってきました。Netflixで配信された最新作『最初に父が殺された』はアンジーが脚本、製作、監督を担当し、マドックスが製作に携わっています。
チャリティー活動にも熱心なアンジーは、生まれたばかりの我が子の写真を初披露する際、シャイロの時はPeople誌に約410万ドル、双子の時はPeople誌とHELLO! 誌に約1,400万ドルで独占契約を結んだことでも話題になりました。もちろん契約金は全額慈善団体に寄付されました。パパラッチたちが我先に子供の顔を撮影しようと躍起になっていたので、アンジーならではの賢い選択です。
サラ・ジェシカ・パーカー
1997年に俳優のマシュー・ブロデリックと結婚したサラ・ジェシカ・パーカー。ドラマ「SEX AND THE CITY」シリーズで一躍人気者になりましたが、人気の海外ドラマは何年も続くことが多いので、特に主演女優がいつ妊娠出産するのかは、作品に大きな影響を与えます。シーズン6まで続いた本作では、サラはシーズン5撮影中に妊娠していました。サラふんするキャリーが妊娠するストーリーに変更するというのも一つの手ではありますが、サラの場合は設定の変更はありませんでした。シーズン後半おなかが目立ってくるころには、おなかが隠れるような衣装を着用してはいますが、キャリーの攻めのファッションセンスは変わりませんでした。サラの妊娠もあって、シーズン5はエピソード8までで一旦お休みとなりました。実は同じ時期、ミランダ役のシンシア・ニクソンも妊娠＆出産を経験。シンシアの場合は、劇中の役どころでも急遽妊婦になり、シーズン5、6と妊娠＆産後太りがリアルに役柄に反映されていますが、サラは役の上では全く変化を感じさせませんでした。
シリーズ終了後、2007年に自身のアパレルブランド「BITTEN」を立ち上げたり、2008年と2010年に『セックス・アンド・ザ・シティ』が2度映画化されたりと大忙し。その間2009年に双子の長女マリオンと次女タビサが生まれました。サラは『セックス・アンド・ザ・シティ』に主演だけでなくプロデューサーとしても名を連ねていたので、かなり多忙を極めていたはずなのにいつの間に？ と不思議でしたが、なんと双子は代理母出産で誕生しました。ちなみに、2011年に発表されたフォーブス誌（電子版）によるハリウッド女優の所得番付ではアンジェリーナ・ジョリーと同率の1位。現在はドラマ「Divorce／ディボース」シリーズに参加しているサラは、主演と同時にプロデュースもこなし、さらにキャリアを進化させているところが素晴らしいです。
チョン・ジヒョン
『猟奇的な彼女』でブレイクし、韓国はもちろん日本でも人気のチョン・ジヒョンは、2012年に一般男性と結婚後、宇宙人と恋に落ちるわがまま女優を演じたドラマ「星から来たあなた」が大ヒット。次作の映画『暗殺』では日本統治下の韓国を舞台に最強のスナイパーとして活躍するシリアスな役どころで、かっこいいアクションとガンファイトを見せこちらも大ヒット。同作では、韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞で女優主演賞を受賞し、素晴らしい結果も残しました。そして、同作をプロモーション中に第1子妊娠を発表し、公私ともにおめでた続きとなりました。
2016年に長男を出産後、復帰作となったのがドラマ「青い海の伝説」。人魚にふんしたジヒョンが、人間の青年に恋をするというファンタジーラブロマンス。おとぎ話と同じく、陸に上がれば人間の足がはえますが、水の中では人魚に戻る設定ということもあり、毎回人魚になるシーンが登場するのですが、そのスレンダーなボディーといったら、とても産後とは思えない細さっ！ 2月に出産し、同年11月にはドラマの放送が始まっていたことから考えても、短期間でよくここまで体をしぼったなぁと感服です。人気俳優イ・ミンホと共演した本作も、本国で大ヒットを記録しました。そして放送終了後約半年後に第2子妊娠を発表し、2018年に次男を出産しました。2016年から2018年の間に、ヒット作と子供2人を生み出すという、目まぐるしい人生の転機を迎えたジヒョン。仕事で結果を残しつつ、仕事に支障がないスケジュールで2歳差男児を生み育てるとはお見事！ プライベートは秘密主義を通し、子供の写真や名前などは公にはせず、決してママタレント化しないところも、女優としてかっこいいです。
このほかにもナタリー・ポートマン、アン・ハサウェイ、ニコール・キッドマン、ジュリア・ロバーツなどなど、ママであり女優であるスターは大勢います。妊娠＆出産はキャリアダウンではなく、キャリアアップだと実証しているスターたちばかり。それぞれに合ったスタイルでママ業を両立している姿は輝いています。ママは強し！ なのです。