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障がいや異人種は素敵な個性!『グリーンブック』ファレリー監督、愛と笑いの過去作リスト

 第91回アカデミー賞で作品賞ほか三冠に輝いた『グリーンブック』。監督のピーター・ファレリーが今まで製作に携わった過去作を振り返ります。ぴったり1歳半下の弟ボビーとの共作も、本作のようにピーター監督だけでの製作もあり、作品の幅を広げているようです。ボビーがかつて「体を使った視覚的な笑いが好き! 悪人、善人、どんな役も障がいのある人に演じてほしい」と述べたように、彼らはどの作品でも障がいを持つ人や異人種の人々を映画に登場させ、それぞれが持つ個性として描き人間愛にあふれる笑いを届けてくれます。

ジム・キャリー主演の誘拐ドタバタ劇

『マスク』と同年発表の『ジム・キャリーはMr.ダマー』 New Line Cinema / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ジム・キャリーはMr.ダマー』(1994)

監督:ピーター・ファレリー 脚本:ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー

 ファレリー兄弟の商業映画デビュー作。全米興行収入は製作費の10倍を超える2億5千万ドルの大ヒットを記録(Box Office Mojo調べ)。一目惚れした女性の忘れ物のスーツケースを届けるも中には誘拐された彼女の夫の身代金が入っていて……。コンビはジム・キャリーとジェフ・ダニエルズ。キャリーのおかしさはもちろんのこと、演技実力派のダニエルズもコメディーで過去にはなかった魅力を全開させ大ヒットとなった。

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ほろりと泣かすあっぱれファレリー兄弟ワールド

社会派コメディに華を添えるヴァネッサ・エンジェル ゲッティ イメージズ

『キングピン/ストライクへの道』(1996)

監督:ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー

 ボーリングのチャンプのロイ(ウディ・ハレルソン)はライバルのアーニー(ビル・マーレイ)により負け知らずの“黄金の手”をマシーンに突っ込まされ失う。17年後、義手で酒浸りの毎日を送っている彼だったがボーリングの才能に恵まれたイシュマエルと出会い彼をチャンプにして仕返しをしようと画策するが彼がアーミッシュゆえに断られてしまう。そこで自らがアーミッシュの地へ出向き、宿敵アーニーとのリベンジに挑むため奮闘する……。ファレリー兄弟ならではの痛快コメディー。

キャメロン・ディアスに誰もが首ったけ!

映画史に残る名迷シーン 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

メリーに首ったけ』(1998)

監督・製作総指揮・脚本:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 地味なテッド(ベン・スティラー)は一目ぼれしたメリー(キャメロン・ディアス)の知的障がいの弟を助けプロムに誘われる。歓喜するもつかの間、最悪のミスをしてしまい、彼女とは疎遠に。しかしそれから13年後、どうしても忘れられぬ彼女へ思いから探偵を雇ってメリーを探すことに。ところがその保険調査員ヒーリー(マット・ディロン)まで彼女に一目ぼれ。次にはヒーリーの怪しさを調べる建築家も彼女にぞっこんになり結局5人もがメリーに首ったけになるが最後に彼女が選んだのは? 爆笑ノンストップコメディー。

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唯一無二な大爆笑家族コメディー

ジム・キャリー演じる警官に内在する「ふたり」がゼルウィガーふんする女性と三角関係に! 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

ふたりの男とひとりの女』(2000)

監督・製作・脚本:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 ジム・キャリーとレニー・ゼルウィガーが共演。キャリーふんする真面目な警官チャーリーは産まれた子供の肌が黒いことで妻の裏切りを知り、二重人格になってしまう。ジギルとハイドのような2人がチャーリーの中に生まれたのだ。この2人と、妻と別れた後に登場したゼルウィガーふんする女性との、とっても不思議な三角関係が楽しく展開。ファレリー兄弟ならではのエッチだけど楽しい雰囲気が満載。

人も恋人も見かけで選んではいけない?警告コメディー

ミルクシェークデートの2人だが…… 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

愛しのローズマリー』(2001)

監督・製作・脚本:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 美女を選べ、という父の遺言を実践してきたジャック・ブラック演じるいけてない男性がある日、心が美しい女性がすべて美人に見えるおまじないにかかる! グウィネス・パルトロー演じる136キロのふくよか女性も彼には美女に映るのだ。原題はSHALLOW HAL。ファレリー兄弟らしい笑いと人間愛の詰まったハートフルなヒューマンラブコメ。

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体内は漫画、外は実写の兄弟作アニメ

腸内フローラなる表現など出現前のおなかの中の楽しいストーリー Warner Brothers / Photofest / ゲッティ イメージズ

『バクテリア・ウォーズ』(2001)<未> Anime

監督・製作:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 シングルファーザーのフランクは不摂生の結果、体内で善玉細胞と悪玉細胞が闘ってしまい……という楽しいアニメ。『犬ヶ島』のビル・マーレイが主役フランクを演じ、アカデミー賞授賞式司会経験もあるクリス・ロックと『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーンらが声の出演。妻亡きフランクはファストフード尽くしに加え落ちた物まで食す生活。そんな彼の体内で刑事菌と風邪薬ドリックスが闘いに挑み……。『オジー&ドリックス』のタイトルで2002年にリメイクもされている。

二番煎じを超えた面白さ

首ったけ先輩作品へのオマージュシーン?20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ギリーは首ったけ』(2001)<未>

製作:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 孤児院出身のギリーは、さえない生活を送っていたが、町にやってきた美容師のジョー(ヘザー・グラハム)に一目ぼれし、肉体関係を持つが、実は兄妹だったとわかり……。ブラックユーモアやお下劣表現も多いが独特のユーモアはそれなりに楽しめる。ジョーの母役は名優サリー・フィールド。『扉をたたく人』『シェイプ・オブ・ウォーター』のリチャード・ジェンキンスも出演。『メリーに首ったけ』のヒットの約年2年半後の作品。

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ヒトを愛し、優しく接するファレリー兄弟らしさがほとばしる

メリル・ストリープもシェールもさりげなく出演している感動コメディー 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

ふたりにクギづけ』(2003)

監督・製作・原案・脚本:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 『ボーン・スプレマシー』マット・デイモンと『恋愛小説家』のグレッグ・キニアが互いに腰でくっつく結合双生児を演じる。俳優志望のプレイボーイとシャイでおくてな真逆キャラの2人。そんな2人が3年越しのネット上の彼女に会いにハリウッドへ! ファレリー兄弟が13年間温めてきた企画のようでラストに向かい、それまでのコメディーからいつの間にか深く感動させる技はお見事。いつも通り障がい者を通し人の優しさを見せてくれる。

給食おばちゃんも活躍!名コンビの可笑しさは健在

爆笑コンビ作品の金字塔? New Line Cinema / Photofest / ゲッティ イメージズ

『新 Mr.ダマー ハリーとロイド、コンビ結成!』(2003)<未>

製作:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 お騒がせコンビ、ハリーとロイドの誕生エピソードがわかる前日譚コメディー。学校の地下室で用務員の義父と暮らすロイドと、片や学校へ行かず自宅でママが先生のお坊ちゃまのハイド。知的レベルが近い2人は高校で仲良しになり……。キャリーとダニエルズの出演はないが、「NCIS:LA ~極秘潜入捜査班」エリック・クリスチャン・オルセンのイケメンぶりも魅力。

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趣味もいいけどやっぱり恋人ファーストがハッピーかな?

現地でのスローガンは A Comedy About The Game Of Love.人生ゲームのご参考に! Fox Searchlight / Photofest / ゲッティ イメージズ

『2番目のキス』 (2005)

監督:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー 

 『ハイ・フィデリティ』『アバウト・ア・ボーイ』の英国人原作者の映画化。1997年には、コリン・ファース主演でも映画化された。舞台はボストン。『50回目のファーストキス』のドリュー・バリモアふんするビジネスコンサルタント、リンジーは『TAXI NY』ジミー・ファロンふんする高校教師ベンと恋に落ちるがベンはレッドソックス命の男性でいつも彼女は“2番目”の存在。仕方なく一緒にレッドソックスを応援するが……。ユーモラスな胸キュン版恋愛コメディー模様。

東京オリ・パラの前に楽しく予習ができる抱腹コメディー

出演の実在オリンピアンは映っているでしょうか?『リンガー! 替え玉★選手権』の1シーン Fox Searchlight / Photofest / ゲッティ イメージズ

『リンガー! 替え玉★選手権』 (2005)

監督:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 知的発達障がい者のふりをし彼らの “スペシャルオリンピックス”に出て儲けようと企む主人公を『ジョニー・ノックスヴィルアクション・ポイント / ゲスの極みオトナの遊園地』(2018)<未>(予告編だけでも爆笑)のノックスヴィルが快演。芝刈り機でわざと自らの指を怪我させエントリーし、果たして結果は如何に? 遊園地でもパラリンピック? へこみ時のサプリ映画にもなる。実在有名スペシャルオリンピアンも出演。

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ニール・サイモンワールドでベン・スティラーが最高の演技

ベン・スティラーの魅力満載 ライラ役はマリン・アッカーマン Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ライラにお手あげ』(2008)<未>

監督・脚本:ボビー・ファレリー&ピーター・ファレリー

 泣く子も黙る脚本家ニール・サイモンと笑いの大御所ベン・スティラーのタッグならつまらないわけがなし! サイモン脚本の映画『ふたり自身』(1972)のリメイク。ベン演じる40歳の主人公はそれまでの気ままな生き方から一転し周りの影響もプラスして美女ライラといきなり結婚するも、なんとハネムーン先で理想の女性に出会ってしまい……結婚の理想と現実の差に奮闘する様をファレリーブラザーズが粋にアレンジし酔わせてくれる。

結婚生活とは何か?ドタバタコメディー

夫婦のルールもファレリー監督マジックで爆笑のうずに New Line Cinema / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ホール・パス/帰ってきた夢の独身生活<1週間限定>』(2011)<未>

監督:ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー

 夫婦生活がマンネリ化し、作品原題のホール・パス(本来は授業中に廊下に出てもいいという許可証だったが、転じて独身のように振る舞える許可証)をゲットした中年男性2人がハメを外すありさまを楽しく見せてくれる。妻たちも不倫など奮闘を重ねストーリーは展開。果たして4人の結末は如何に? 『ワンダー 君は太陽』等のオーウェン・ウィルソンジェナ・フィッシャー、リチャード・ジェンキンス、クリスティナ・アップルゲイトら出演。

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1930年代にヒットした「三ばか大将」をリメイクしたスラップスティック・コメディー

かつての名作に可笑しさもどーんとアップデート! 20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

新・三バカ大将 ザ・ムービー』 (2012)<未>

監督・製作・脚本:ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー

 1930年代に短編映画でもテレビでもヒットした「三ばか大将」をリメイクしたスラップスティック・コメディー。親に捨てられ引き取られるチャンスなく中年迄孤児院育ちの三兄弟が、孤児院の財政難を知り83万ドルの債務返済を目指し町へ出る……という楽しいストーリー。「最高の人生の見つけ方」ショーン・ヘイズ「24 TWENTY FOUR(ファイナル・シーズン)」クリス・ディアマントポロス等が出演。

ここまでやるか?強烈お下劣コメディー

各スターのファンにとってはどんな位置づけの作品でSHOW? Relativity Media / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ムービー43』(2013)

監督・制作:ピーター・ファレリー

 ハル・ベリーヒュー・ジャックマンナオミ・ワッツケイト・ウィンスレットリチャード・ギア等豪華キャストによる12パートからなる下ネタ満載コメディー。DVD特典のお蔵入り!「ムービー43・キッズバージョン」(97分)からは入る方が刺激が弱くて良いかも。例えばキーワードだけでも性癖、裸体型ミュージックプレイヤー、初潮等々。しかしさすがファレリー監督、最後には見事1つの形に結び付くかも?……な笑えるアンサンブル超大作。

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ジム・キャリーとの再タッグで全米大ヒット

『シリアル・ママ』のターナーがキーパーソンに! Universal Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』 (2014)

監督・製作・脚本:ピーター・ファレリー&ボビー・ファレリー

 『ジム・キャリーはMr.ダマー』の20年振りの続編。主演2人もスタッフも勢ぞろい。失恋のショックで身体が動かず言葉を話すことができなくなり精神病院にいるロイド(ジム・キャリー)をハリー(ジェフ・ダニエルズ)は20年間看病し続けたのに実は仮病だった! しかも前作のアグレッシブ女性(キャスリーン・ターナー)とのできちゃった子も科学者の養子に出されたので探しに行き……。コンビの爆笑旅は続く!

お洒落なウディ・アレン風コメディー

向かって左からボビー、マット・デイモン、ピーター Angela Weiss / Getty Images

『ある大邸宅の結婚狂想曲』(2015)

製作総指揮:ピーター・ファレリー

 マット・デイモンとベン・アフレックも製作総指揮に参加のヒューマンコメディ。上院議員の英米カップルに議員の慈善団体を狙った詐欺師の弟が絡み……とファレリー監督らしい騒動劇。原題の意味は有閑階級。アイロニーのおかしさに35ミリフィルムへの兄弟のこだわりがプラスされたステキな一作。(スターチャンネル)

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セラピーは米国人の基本と気づくファレリー監督らしいコメディー作品

ぶっ飛び発言もイケメンだから許せちゃう?主役のロン・リヴィングストン
ぶっ飛び発言もイケメンだから許せちゃう?主役のロン・リヴィングストン Santiago Felipe / Getty Images

ドラマ「ラウダーミルクの人生やり直し手伝います」(2017~)

企画・製作総指揮:ピーター・ファレリー

 シアトル、メンフィス等を舞台に教会のアルコールとドラッグの依存症カウンセラー、サム・ラウダーミルク(『バンド・オブ・ブラザース』ロン・リヴィングストン)が直球で人びととやりあうコメディー。根は優しいし賢いのに毒舌度はかなりだが登場人物も魅力的だし、身体の障がいを個性のひとつと表現するファレリーらしさが笑いに包まれる作品。第1シーズンでは『メリーに首ったけ』を彷彿させる美人エピソードも。(Amazonプライム・ビデオ)

米国南部の黒歴史にファレリー監督の優しさあふれるエッセンスを入れた名作

YMCAが実は意味を持つ微妙なシーン Universal Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

『グリーンブック』 (2018)

監督・製作・脚本:ピーター・ファレリー

 黒人への差別が横行し白人と同じ施設を使うこともままならない60年代のアメリカ南部。グリーンブックという黒人が利用可能な施設案内本を持ち南部へ演奏旅に行く高い教養を持つ黒人ピアニスト、ドン(マハーシャラ・アリ)と彼の運転手兼用心棒、粗野な伊系米国人トニー(ヴィゴ・モーテンセン=14kg増量)を巡る実話。アカデミー賞作品賞を受賞。トニーの実子が脚本等に参加している。(西野悦子)

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