理想がもたらした大きすぎる代償!【ウォーキング・デッド シーズン9】
今週のウォーキング・デッド
いよいよこのシーズン最終話まで、あと1回を残すのみ。ここで何かが起こらないわけがない。それがわかっていても、やっぱり衝撃を受けてしまうのが「ウォーキング・デッド」。シーズン9の最後に近づいた今も変わらない、この作品ならではの魅力を再認識!(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン9の15話について、ネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
今週のウォーキング・デッド連載:第15回
今回は懐かしい顔ぶれもあちこちに!ネタバレなしで観るのがオススメ
今回は、ネタバレなしに紹介するのが難しい。何も知らずに見るのが一番、とだけ言っておこう。
とりあえず、これは知っていても問題ないだろう、いよいよ王国でフェアが開催されて、王国、ヒルトップ、アレクサンドリア、オーシャンサイドの人々が参加する。なので、この頃しばらく見なかった顔ぶれも集合。
ロジータ(クリスチャン・セラトス)やユージーン(ジョシュ・マクダーミット)も登場、ユージーンは今回も彼らしいセリフあり。王国に戻ったダイアン(ケリー・ケイヒル)も久しぶり。他にも懐かしい顔があちこちに。
そして、ルーク(ダン・フォグラー)も久々に登場。フェアのステージでアルデン(カラン・マッコーリフ)と一緒に歌を披露する場面がちょっとだけあるので、彼らのファンはお楽しみに。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>衝撃!!予期していてもやっぱりショック!このビジュアルは強烈すぎる
ショック! ついに衝撃的な事件が発生。しかも驚愕のビジュアルで。これだから「ウォーキング・デッド」はやめられない。
このショッキングな場面までのストーリー構成も巧み。冒頭のタイトル前の場面で、“平和な光景”から“地獄の惨状”への急転換を描く。その途中経過は描写しない。そして、タイトル後の本編で、これと同じ演出を、より大きな規模で繰り返すのだ。
最初は和やかな光景が続く。王国のフェアには、全コミュニティーの人々が集い、それぞれのリーダーが協力を誓って憲章に署名する。久々に再会する人々が微笑み合う。
変化するのは、行方不明だったヘンリー(マクセン・リンツ)の一行が戻り、“囁く者”のリーダー、アルファ(サマンサ・モートン)の娘リディア(キャサディ・マクリンシー)も一緒だとわかったとき。人々は“囁く者”の報復を予測し、戦闘能力の高い者たちがヒルトップに向かうことになる。ここでみんなが長々と別れのあいさつをし合うのも、これから何かが起こることの前振り。そしてやっぱり、フェアの人々の中に、普通の女性の格好をしたアルファがいるのだ。この“来るぞ、来るぞ”と“ああ、やっぱり”のサスペンス演出には、わかっていても乗せられる。
そして大惨事は、いきなり結果の形で出現する。地面に並べて立てられた10本の長い棒、その先端には人間の頭部が突き刺さっている。カメラが近づくと、その顔は知っている顔ばかり。この光景、この演出が強烈すぎ。「ウォーキング・デッド」がショッキングな表現を恐れない作品だということを再認識させてくれる。
実はこの光景は、原作コミックにもある。「ウォーキング・デッド」ドラマ版はこれまでも、幼い子供による殺人など、原作コミックの名シーンをキャラクターや状況をアレンジしつつ描いている。それもこのドラマの魅力の一つ。
ただし光景は同じだが、人選はかなり違う。共通しているのは鍛冶屋の妻タミーだけ。画面では一瞬でわからなかったかもしれないが、ドラマで頭部がさらされる10人を整理すると、前述のタミー以外は、“ハイウェイマン”のオジー(アンガス・サンプソン)とアレック(ジェイソン・カークパトリック)、元救世主で今はアレクサンドリアにいるDJ(マット・マンガム)とフランキー(エリース・デュフォー)、ヒルトップに住む10代のアディ(ケリー・マック)とロドニー(ジョー・アンドウ=ハーシュ)、ここまではサブキャラだが、さらにメインキャラが3人も犠牲になっている。イーニッド(ケイトリン・ネイコン)、タラ(アラナ・マスターソン)、そしてヘンリーまでもだ。
これは衝撃的だ。このシーズンで大フィーチャーされてきたヘンリーが、こんなに早くいなくなるとは。また、タラはシーズン4から、イーニッドはシーズン5からいた長寿キャラ。彼女たちはドラマの中心にはならないが、ずっと生き延びるような気がしていた。そんなファンの先入観をあっさり覆すのも、「ウォーキング・デッド」なのだ。
ちなみに、コミックで頭部がさらされるのは12人で、テレビドラマと共通のメインキャラでは、エゼキエル王、妊娠中のロジータ、ルークが殺されて、こちらも衝撃的。テレビドラマではこの3人は生き残っている。
今回はその他にも、ダリルがコニー(ローレン・リドロフ)に愛犬ドッグの世話を任して彼女への信頼を示したり、普通の女性に偽装したアルファがエゼキエルに「備えておきたいの。厳しい冬になる予感がする」と発言して、本シーズン最終話の2週間後に放送開始のテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のスターク家の家訓「冬来たる」を意識しているのかと思わせたりするが、この大事件の前ではどうでもよくなる。
ドラマの最後、仲間の死にショックを受ける人々の前で、生き残ったセディク(アヴィ・ナッシュ)は、死んだ人々が最後まで戦った勇者だったと語る。しかし、“囁く者”たちは、境界線を越えたらウォーカーの大群を差し向けると宣言している。“囁く者”と戦うのか、戦いを回避するのか。果たしてダリルたちの決断はどうなる!?