キングダム、観たらすごかった!原作ファンも納得
提供:東宝
読み出したら止まらない胸アツ展開で、熱狂的ファンを量産し続ける大ヒットコミックにして、魅力的なキャラクター&名言の宝庫『キングダム』がついに実写映画化。原作の壮大さやキャラクターの完成度の高さから期待と同じ数だけ懸念も存在する映画版は、壮大なロケーションにアクション、物語も全てが本物。原作の魂が注入された本格エンターテインメント超大作だった!
本物にしか出せないスケール!
紀元前245年・春秋戦国時代の中国を舞台に、“天下の大将軍”を夢見る戦災孤児の少年・信と、中華統一の夢を掲げる後の始皇帝・エイ政(えいせい)の出会いと激闘を描く『キングダム』。あまりに広大な中国大陸を戦場に繰り広げられる、大軍勢が入り乱れるバトルも原作の魅力のひとつです。
映画版でも、美しく広大な景色を収めたロングショットは見事な出来栄えで、大作映画に欠かせないスケール感です。実際にロケが行われた中国・浙江省寧波市象山県は、春秋戦国時代の宮殿を再現したオープンセットが存在し、雄大な草原など、まさに『キングダム』の世界が広がっており、力強い画はこのロケーションあってこそでしょう。
広大な土地を走る軍勢もド迫力。騎馬シーンでは100頭の馬が用意され、兵士役のエキストラにはのべ1万人を動員。国内ではなかなか実現が難しい、全て本物だからこそ成立する大規模シーンが撮影されました。信とエイ政の抱える夢が、いかに途方もなく大きいものであるのか。それを実感できる説得力バツグンの映像は、スクリーンで目撃するべきです。
外見から中身まで!キャラ再現度もすごい!
原作における信は、天下の大将軍たちに比べると年齢も若くまだまだ細身の青年です。主演の山崎賢人さんは、抜群の身体能力を持ちながら、満足に食事もできない奴隷出身の信を演じるため、筋肉をつけながら徹底的に身体を絞るという、苦行のような役づくりに挑んだそう。力強くしなやかな信の肉体が見事に再現されていて、美しい野生動物のように飛び・駆け・斬るさまは、実写ならではの躍動感にあふれています。
一見ただの野生児ですが、決して折れない強い意志と、物事の本質を見極める目を持った信。これまで、優しく内向的な青年を演じることが多かった山崎さんですが、本作で見せた、周囲からイジられる愛されキャラにして、いつの間にか人を導く信の表情こそ、本当の彼ではないかと思う程ピッタリ。一世一代のハマり役と言っても過言ではないでしょう。
また、本作のもう一人の主人公とも言えるエイ政役の吉沢亮さんもハマり役。見た目の美しさはもちろん、どんなに泥にまみれても品格を失わないビジュアルは正にエイ政! 加えて、名言だらけのセリフにも臆することなく挑んでおり、「凶刃の野を行く薄弱の王」としての覚悟が伝わってきます。後の世の平和のために、時に犠牲を強いても進み続ける、強力なリーダーシップは映画でも健在です。ちなみに、エイ政の影武者となる信の幼なじみ・漂を演じたのも、もちろん吉沢さん。原作に登場する、漂が信に夢を託すシーンは、ハマり役の二人の熱演も相まって、屈指の名場面になっています。
そのほか、二人と行動を共にする河了貂(かりょうてん)役の橋本環奈さん、楊端和(ようたんわ)役の長澤まさみさん、エイ政と敵対する成キョウ(せいきょう)役の本郷奏多さん、昌文君(しょうぶんくん)役の高嶋政宏さんなど、主要キャストは誰もが再現度高し。そのなかでも注目の存在が、大沢たかおさん演じる大将軍・王騎(おうき)です。
王騎といえば、中華にその名を轟かせた六大将軍のひとりであり、信に絶大な影響を与える超重要な存在ですが、肉体改造でプロレスラー並みの肉体を作り上げた大沢さんの存在感は王騎そのもの。特に、丸太のような極太の腕が持つ説得力は半端ないです!
本物が集結したアクション!
外見だけでなく、キャラクターのアクションも本物志向。特に主人公を務める山崎さんは、相手もシチュエーションも次々に変わるバトルに挑んでおり、本場の香港映画も顔負けのフル回転。それらをすべてこなしています。そして、大量の人員を投入した、血で血を洗う乱戦はまさに『キングダム』のバトル。楊端和役の長澤さんが、長い手足と二刀流を駆使するセクシーで流れるような殺陣も必見です。
信がさまざまな武人との出会いを経て成長していくのも『キングダム』の醍醐味ですが、映画版において、最大の敵として信の前に立ちふさがるのが、成キョウ側に仕える凄腕の剣豪・左慈(さじ)。群がる兵士をたった一人で蹂躙する強敵を演じた坂口拓さんは、アクション監督としても活動する、日本を代表するアクション俳優。あらゆる格闘技に精通する坂口さんの存在感と剣術は、本物だけが出せる迫力に満ちています。
原作にも登場する左慈ですが、映画版では、原作者・原泰久先生自らのアイデアで、元将軍という経歴が追加されました。天下の大将軍を夢見る信と、戦場の現実を目の当たりにしてきた左慈。相反する思想を持った二人の戦いは、『キングダム』のテーマを象徴するクライマックスになっています。
キャラクターの個性が光る戦いを演出したアクション監督・下村勇二さんは、元スタントマンにして、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』への出演でも知られる、香港の伝説的アクション俳優ドニー・イェンに師事した人物。本作のメガホンを取った佐藤信介監督とは『GANTZ』『図書館戦争』『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』などを通じて長年タッグを組んできました。日本のアクション界を牽引してきたタッグによって、戦いを通じて各キャラクターが成長していく、理想のバトルシーンが完成しています。
原作の魅力を100%伝える物語!
映画『キングダム』で描かれるのは、異母弟である成キョウのクーデターによって王宮を追われたエイ政が、信たちの協力を得て王座奪還に乗り出す「王都奪還編」。原作コミックスにすると、5巻分の物語となります。何者でもない市井の青年が、国を追われた王(姫)を助け、アイデンティティーを見出していく展開は、原作コミックの魅力でもあり、映画『スター・ウォーズ』などにも通じる王道ストーリー。スピンオフがいくらでも作れそうな魅力的なキャラクターに、無数のバックストーリーの存在を予感させる世界観など、『スター・ウォーズ』のような壮大なサーガに通じるものといえます。さらに本作の要所要所にはトラディショナルな場面転換の手法も登場。そこにもまた、『スター・ウォーズ』初期作品へのオマージュを感じとることができるのです。
「王都奪還編」は、原作ファンにとっては序盤ともいえるパートかもしれませんが、この思い切った判断によって、無理に原作要素を詰め込もうとする実写作品と違い、原作の魅力をあますところなく伝えることに成功したといえるでしょう。
脚本作業には、原作者の原先生もかなりの部分で協力しており、信たちのドラマをしっかりと描きながら、納得のいく改変がなされた仕上がりになっています。しかも、冒頭からクライマックスのつるべ撃ち。原作コミックは序盤からこんなにも面白かったのか! と嬉しい再発見もできるはずです。(入倉功一)
映画『キングダム』は4月19日より全国公開
映画『キングダム』オフィシャルサイト
(C) 原泰久/集英社 (C) 2019映画「キングダム」製作委員会
※山崎賢人の崎は、立つ崎(たつさき)が正式表記
※エイ政のエイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくりが正式表記
※成キョウのキョウは、虫偏に喬が正式表記
※高嶋政宏の高は、はしごだかが正式表記