最終章第1話「ゲーム・オブ・スローンズ」は再会のオンパレード!
ゲーム・オブ・スローンズの魅力
ついに4月15日に放送が開始した「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章。この第1話は、放送日に米批評家サイト「ロッテントマト」で何と94%(4月17日現在)と大好評。みんなが待ってて、大満足したこのエピソードの見どころはココだ!(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章の1話について、ネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
ゲーム・オブ・スローンズの魅力 連載:第10回
<これから観る方向け:ネタバレなし>主要キャラが勢ぞろい!ドラマもスピーディーに進む!
シーズン第1話の役目といえば、今後のストーリー展開への期待を高めて、次も観ようという気にさせること。この第1話は、その役目をしっかり果たしている。
まず、このシーズンの主要登場人物が、ほぼ全員、画面に顔を出している。前シーズンの最終話、北の壁が崩れた後に生き残った人々も判明。七王国の王都キングズ・ランディングでは、サーセイ(レナ・ヘディ)が雇った傭兵集団、黄金兵団のリーダー、ストリックランド(マーク・リスマン)も登場する。
そして、ドラマの展開が速い。何しろこのシーズンは全6話。ゆっくりしている暇はない。エピソードによって長短があると公表されているが、今回は54分。短い時間に情報が詰まっている。
そんなエピソードだから、監督も脚本もベテラン。監督デヴィッド・ナッターは「X-ファイル」などで活躍してきたベテラン。このシリーズの監督は9話目。脚本家デイヴ・ヒルは、2012年からクリエイターコンビ、デヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイスのアシスタントとして参加し、2015年からスタッフ・ライターに。2016年から脚本を手がけている 。
そして、キャストたちも発言していたように、これまでの名シーンを連想させる場面も続々。ずっとシリーズを見てきたファンには、この仕掛けもうれしい。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>こんなにあれこれ詰め込んじゃうの!?名シーンを思い出させる演出も感無量
映像的な見せ場は、ジョン・スノウ(キット・ハリントン)が初めてドラゴンに乗り、別のドラゴンに乗るデナーリス(エミリア・クラーク)と一緒に北国の空を飛ぶシーン。ジョンの不安と興奮、ドラゴンの生物らしい動き、スピード感もいい。ジョンが、ドラゴンで飛んだのは新展開。今度の戦いでは、ジョンがドラゴンに乗るのかも?
しかし、今回はドラマ編。うわぁ、こんなにあれこれ詰め込むのか、と思ってしまうほど、ドラマの萌芽(ほうが)がたっぷり仕込まれた。今後が気になるネタを確認しておこう。
まず、前シーズンのビッグニュース、ジョン・スノウの本当の両親は、早くも本人に伝わった。ターガリエン家の正統な当主は、デナーリスではなく、ジョン。しかし友人サム(ジョン・ブラッドリー)からそれを聞いたジョンは、あまりうれしそうではない。サムは、デナーリスが彼の父と弟を処刑したことを知ったショックもあり、ジョンの方がデナーリスより王にふさわしいと言うが……。さあ、ジョンはどうする?
そして、もう1つドラマを招きそうなのが、サンサの心理状態。彼女はデナーリスへの不信感を隠しもせず、ジョンに対しても「王位を捨てたのは、北の民のためなのか、女王を愛しているからなのか」と問い、ティリオン(ピーター・ディンクレイジ)が協力するというサーセイの言葉を信じているのを知ると、もっと賢いと思っていたと言い放つ。
確かにサーセイの言葉は嘘で、それを見抜くサンサは賢いのだが、その態度はちょっと……。サンサ役のソフィー・ターナーは『X-MEN:ダーク・フェニックス』(6月21日公開)で暴走するヒロインを演じるが、この作品でも暴走気味? 彼女同様、北方の領主たちも民たちも、デナーリスを信頼していないのも気になる。そして、サンサが指摘する“食料不足”は、確かに問題。これはどのように解決されるのか?
また、キングズ・ランディングでも事態が進展。まず、傭兵の黄金兵団が到着して戦いの準備が整う。さらにユーロン・グレイジョイ(ピルー・アスベック)はサーセイに関係を迫り、「君の腹にプリンスを宿す」と宣言。それを聞いたサーセイは、何かを考える表情になる。彼女はすでにジェイミー(ニコライ・コスター=ワルドー)の子供を妊娠しているので、この妊娠を使ってユーロンを操るだろう。ここでも何かドラマが起きそうな……。
さらにサーセイは、ブロン(ジェローム・フリン)に彼女の弟2人、ティリオンとジェイミーの抹殺を依頼。この時、使者からブロンに渡されるクロスボウが、シーズン4でティリオンが父親を殺した時の武器だというのもサーセイらしい。さあ、ブロンはどうする?
そんなドラマが続々なので、あっさり決着したのが、シオン(アルフィー・アレン)による、ユーロンに捕らえられた姉ヤーラ(ジェマ・ウィーラン)の救出。ヤーラは領地を取り戻すため故郷に戻る。一方、シオンは戦いに参加するためウィンターフェルに戻るので、そこでまた何かをやりそうだ。
そして、これらのドラマに並行して、シーズン7からの“運命の再会”はまだ続いている。ジョンと家族たち、アリア(メイジー・ウィリアムズ)、ブラン(アイザック・ヘンプステッド・ライト)、サンサの再会は、それぞれ雰囲気がかなり違うのが見どころ。
アリアとハウンド(ロリー・マッキャン)の再会は想定内の展開として、アリアとジェンドリー(ジョー・デンプシー)、かつて一緒に放浪していた2人がなんだかいい雰囲気。シーズン3でアリアが、ジェンドリーの旗標なき兄弟団への協力を阻止しようと「わたしたちだってファミリーになれる」と言うと、彼が「いいや、お前がなれるのは貴婦人(マイ・レディー)だ」と言ったことを踏まえて、ジェンドリーがわざとアリアを「マイ・レディー」と呼んだりもする。ひょっとしてこの2人はこれから接近する?
そして、ウィンターフェルに到着したジェイミーが、彼のせいで車椅子に座っているブランを見るところで、エンディング。これはシーズン1第1話が、ジェイミーがブランを窓から突き落としたところで終わったことへのオマージュだろう。
そう、今回のエピソードにはシーズン1第1話へのオマージュが続々と登場。まず、冒頭の風景が雪原の林、少年が高いところから行進を見る、アリアが人々の中に混じって行列を見る、一族揃っての御一行の出迎え、ウィンターフェルの“心の木”の前にたたずむ男、ウィンターフェルの地下墓地での重要な会話、磔(はりつけ)られた子供の死体など、第1話を連想させる光景が次から次へと登場するのだ。
また、シーズン1以外のオマージュもある。ドラゴンで山奥の滝の近くに降りたデナーリスが、ジョンに「ここにいれば1,000年経っても誰にも見つからない」と言うのを見ると、シーズン3で野人イグリット(ローズ・レスリー)が山奥の洞窟にジョンと入り、「この洞窟から出たくない」と言ったことが思い出される。ウィンターフェルの会議で若き女領主リアナ・モーモント(ベラ・ラムジー)が「われわれはあなたを“北の王”にした」と発言してジョンを批判する姿を見ると、幼かった彼女がシーズン5でスタニス(スティーヴン・ディレイン)からの忠誠を求める手紙に「熊の島が知る王は 北の王 スタークのみ」と返信したことが思い出される。
こんなふうに、この最終シーズンはきっとこれからも、さまざまな光景がこれまでの出来事を思い出させて、このシリーズが歩んできた道のりの長さ、描いてきた物語の壮大さに思いを馳せさせるのに違いない。そんな期待も膨らませてくれる。
<今週の名セリフ>
「昔はお前が最も賢い男だと思っていた」——サンサがティリオンに
字幕では「最も巧妙な」だが、英語だとCleverestなのでストレートに「最も賢い」でよさそう。ティリオンが、サーセイの言葉を信用したことに向けてのキツイひと言。サンサはかつてティリオンに保護されたのに、こんな発言をするとは。サンサの変化がよくわかる。
「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」はBS10スターチャンネルにて4月15日より<世界同時放送>
「ゲーム・オブ・スローンズ」は、スターチャンネルオンデマンド、Hulu、Amazonプライム・ビデオなどで視聴可能