最終章第4話「ゲーム・オブ・スローンズ」まさかの…大惨事発生!
ゲーム・オブ・スローンズの魅力
今回を入れて残り3回になったせいか、1つのエピソードにこれでもかとドラマがぎっしり。死者たちとの激闘を生き延びた人々に、もっと過酷な戦いが迫る!(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章について、ネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
ゲーム・オブ・スローンズの魅力 連載:第13回
<これから観る方向け:ネタバレなし>怒涛の前回よりも4分短いだけ!ドラマがぎっしり盛り込まれている
今回は、前回の激しい戦いの後に続くエピソード。監督はこのシーズンの第1話、第2話に続いて本作を監督するデヴィッド・ナッター。これがこのシリーズ最後の監督エピソードになる。彼はシーズン3第9話「キャスタミアの雨」、あの残虐な結婚式を描いたエピソードを監督。また、サーセイ(レナ・ヘディ)の“恥辱の道”やアリア(メイジー・ウィリアムズ)が視力を失うなどドラマが続々のシーズン5第10話「慈母の慈悲」でエミー賞監督賞を受賞している。彼が手がける最後のエピソードとしても、じっくり観ておきたい。
脚本を手がけるのは、前回の第3話から最終話までずっと、この番組のクリエイター・コンビ、デヴィッド・ベニオフとD・B・ワイス。このシリーズを誰よりも熟知している2人が、最後に向けていったいどんなシーンを見せてくれるのか。
長さはたっぷりの78分。前回のシリーズ最長の82分より4分短いだけ。ドラマがぎっしり盛り込まれている。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>ジョンの出生の秘密の影響は!?主要登場人物たちの心理描写が見もの
今回はまた“嵐の前の静けさ”の回かと思ったら、早くも戦いが始まってドラゴンが撃ち落とされるという大事件が発生。やはりこのシリーズ、いい意味で予想を裏切ってくれる。
とはいえ今回は、基本的には心理描写の回。主要登場人物たちが、ジョン・スノウ(キット・ハリントン)がターガリエン家の継承者だという事実を知り、それについての反応が描かれて、彼らの性格と心理の動きが描写される。そして、そこから生じた彼らの行動が、今後のストーリーに繋がっていく。
まず、デナーリス(エミリア・クラーク)の反応はかなり戦略的。彼女はジョンに、この事実を誰にも言わないようにと請う。彼女は、サンサ(ソフィー・ターナー)がそれを知ったら自分を倒してジョンを玉座に着けさせようとするだろうとも言うので、ジョンとの関係よりも、自分の地位を気にしているようにも見えてくる。
また、その前に、デナーリスが宴会の席で自分の周囲に誰もいないことに気づく場面があって彼女の孤独と不安が浮き彫りになり、彼女はそれゆえに地位の確立を切望しているようにも見える。前回に続いて、クリエイター・コンビ、ベニオフとワイスの脚本による心理描写はきめ細やかだ。
しかし、正直者のジョンは「家族には伝えないわけにはいかない」とサンサとアリアに話す。やれやれまたか、と思わせるが、これがジョンの性格なのでしょうがない。
すると、デナーリスを信用していないサンサは、玉座の候補者はデナーリスだけではないと、ティリオン(ピーター・ディンクレイジ)にこの情報を伝える。
そして、ティリオンの反応は少々意外。彼はヴァリス(コンリース・ヒル)とこの事実について検討するが、デナーリスに忠誠を誓っているヴァリスが、統治者として相応しいのはデナーリスよりもジョンではないかと言うと、それを完全には否定はしないのだ。ヴァリスはいつも通り、王ではなく人民を優先していて、自分が何か行動を起こすかもしれないことをティリオンに示す。このデナーリス陣営の空気の変化が、これからのドラマに影響を与えそうだ。
ドラマへの影響といえば、他にも2つある。まず、アリアとハウンド(ロリー・マッキャン)が、それぞれの「やり残したこと」のため七王国の王都キングズ・ランディングに向かった。アリアは「殺したい人リスト」を完成できるのか、ハウンドは兄マウンテン(ハフソル・ユリウス・ビョルンソン)と対決できるのか。そして、もう1つはジェイミー(ニコライ・コスター=ワルドー)の決断。ブライエニー(グウェンドリン・クリスティー)の制止を振り切って城に向かったジェイミーは何をするのか。最後の大きな戦闘の中で、彼らの個人的な物語の結末も描かれるのに違いない。
それとは別に、失恋が続出したのも今回の特徴。赤毛の野人トアマンド(クリストファー・ヒヴュ)が失恋。ジェンドリー(ジョー・デンプシー)が失恋。この2人は立ち直りが早そうだが、次の2人は傷が深い。ブライエニーの恋は成就もするが、ある意味で敗れもする。グレイ・ワーム(ジェイコブ・アンダーソン)は愛する人を失う。
また、ブロン(ジェローム・フリン)はティリオンと取引して暗殺指令をペンディング。ジリ(ハンナ・マリー)がサム(ジョン・ブラッドリー)の子供を妊娠。トアマンドは野人たちと、ジョンのダイアウルフ、ゴーストを連れて壁の北に帰る。ミッサンディ(ナタリー・エマニュエル)の最後の言葉が、ドラゴンに火を噴かせる時の言葉「ドラカリス」なのもカッコイイ。1話にこんなにもたくさんのドラマが詰め込まれている。
そして、次回はまた過激な戦闘になるだろう。今度の戦闘は夜間ではなく日中だろう。サンサが口に出す「ジョンに行ってほしくない。スターク家の男はキングズ・ランディングでいい経験をしたことがない」という懸念は、視聴者全員も同じ。次の戦闘では、誰が生き延びるのか。いよいよ残すところ、あと2回だ。
<今回の名セリフ>
「彼女を救うことはできない。彼女と一緒に死ななくていい」 ——ブライエニーがジェイミーに
この後、「ここにいて わたしのそばにいて お願い」と続く。“彼女”とはサーセイのこと。寡黙な騎士ブライエニーは滅多に心情を口に出すことがないので、これは例外中の例外。彼女の新たな一面だ。ブライエニーはジェイミーが馬に鞍を乗せているのを見るだけで、彼が死ぬつもりなのを察知して、こう言う。それでもジェイミーは、これまでの自分の悪行を並べて「サーセイは卑劣だ。俺も同じだ」と言い、行ってしまうのだが。
「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」はBS10スターチャンネルにて4月15日より<世界同時放送>
「ゲーム・オブ・スローンズ」は、スターチャンネルオンデマンド、Hulu、Amazonプライム・ビデオなどで視聴可能