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間違いなしの神配信映画『ピリオド -羽ばたく女性たち-』Netflix

神配信映画

ドキュメンタリー編 連載第7回(最終回)

 ここ最近ネット配信映画に名作が増えてきた。NetflixやAmazonなどのオリジナルを含め、劇場未公開映画でネット視聴できるハズレなしの鉄板映画を紹介する。今回はドキュメンタリー編として、全7作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

生理用ナプキンを低コストで製造することで女性の経済的自立を目指す

ピリオド
Netflixオリジナル映画『ピリオド -羽ばたく女性たち-』独占配信中

『ピリオド -羽ばたく女性たち-』Netflix

上映時間:26分

監督:ライカ・ゼタブチ

 女性の月経をタブー視する風潮が根強いインドの地方の村で、低コストで衛生的な生理用ナプキン製造法を学んだ女性たちが自ら製造・販売することで自立を目指す姿を追う。26分という短編に、静かな性革命の軌跡が凝縮されている。

 本作の発端となったのは、ロサンゼルスの私立高校で始まった支援活動だ。昨年日本でも話題になった劇映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)のモデルとなったアルナーチャラム・ムルガナンダムにインスパイアされた生徒たちがナプキン製造機購入とドキュメンタリー制作の資金を集めた

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ピリオド
Netflixオリジナル映画『ピリオド -羽ばたく女性たち-』独占配信中

 インドではナプキンの普及率が極端に低く、異性の目を気にする女子が初潮を迎えた後に学校を中退することが多々ある。撮影隊が向かったニューデリー郊外のハープール地区で地元の人々にマイクを向けると、少女たちは恥ずかしそうに笑って誤魔化そうとしたり、深刻な顔で黙り込んだり。若い男性たちは「女性の病気だ」と言い、成人女性さえもメカニズムを理解していない。全くの無知なのか、知らないふりをするのか、ともかくムルガナンダムの言う通り、インドでは「月経は最大のタブー」であることが如実に伝わってくる

 製造機の説明会に集まった女性たちに、解説役の男性が「携帯の電源を切って」と言う。携帯電話は普通に持てるのに、ナプキンは入手困難。それが現実なのだ。シフトを組んで製造を始め、完成後は慣れない営業活動に苦戦もするが、売る側も買う側も共に女性。そこに連帯が広がっていく。

 監督はイラン系アメリカ人女性のライカ・ゼタブチ。当初はロサンゼルスの女子高生たちの活動を追うつもりだったが、取材で訪れたハープールの女性たちにフォーカスすることに決めたという。自立への一歩踏み出し、自信に輝き始めた女性たちの表情が美しい。なかでも、既婚女性が仕事や独立することは好ましくないとされる風習に逆らい、警察官を目指すスネハが印象的だ。

 ピリオドとは、欧文の句点のことだが、英語では女性の月経のことも指す。原題のサブタイトル「End of Sentence」は「ピリオドを打っていいのは文章、女性の教育ではない」という意が込められている。邦題は、彼女たちの販売する商品名「fly(フライ)」にかけて、「羽ばたく女性たち」。作品のメッセージを的確にとらえている。

 本作は第91回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した。登壇した監督は「泣いているのは生理中だからではありません。月経についての映画がオスカーを受賞したことが信じられないんです!」とスピーチした。

 いま日本でカメラを向けられ、生理について尋ねられたら、大半の女性はインドの少女たちと同じ反応をするだろう。アカデミー賞授賞式前に The Hollywood Reporter が行ったアンケートで、アカデミー会員のある男性監督は「男は誰もこの映画に投票しないと思う。男にとっては不快だから」とコメントしていた。ここで描かれる現実は、遠い国の特別な話ではない。(文・冨永由紀)

Netflixオリジナル映画『ピリオド -羽ばたく女性たち-』独占配信中

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