『名探偵ピカチュウ』~<最終回>漫画連載:憑依系女子、夢野映子の1日
憑依系女子夢野映子の1日
『名探偵ピカチュウ』というタイトルから小さな子ども向けの作品かと思いきや、大人も楽しめる愛にあふれる作品でした。
《あらすじ》ポケモンのことが大好きだった少年ティム(ジャスティス・スミス)は、ポケモンに関わる捜査に没頭する父親とポケモンを遠ざけるようになってしまった。大人になったティムのもとに父親の訃報が届き、遺品を整理するために向かった先で、人間の言葉を話すピカチュウ(ライアン・レイノルズ)と出会う。
私がゲームボーイで初代「ポケットモンスター赤・緑」をプレイしたのは11歳のとき。偶然にもゲームの中の主人公と同じ年齢でした。11歳というと、サンタクロースの存在を疑い始めた頃。まだまだ純粋な年齢の私たちはゲームをプレイしながら思います。「私も、ポケモンたちと暮らしてみたい」と。
本作に出てくるライムシティはその夢を叶えてくれました。人間とポケモンが共存する街です。あの頃描いた夢がそのままスクリーンに映し出され、そこには製作側の愛があふれていました。夢中になってゲームをプレイしたキッズが、大人になって作った作品なのではないかと推測します。冒頭、ゲームボーイの音が一瞬流れた瞬間に、私はそう感じました。
ストーリーはシンプルですが、だからこそポケモンたちの愛らしさに集中できます。ポケモンって個々のクセが強いからこそ、扱いが大変でも愛おしいんですよね。その愛が本当に伝わってくる素晴らしい作品でした。ポケモン離れしてしまった人ほど、あの頃の気持ちが蘇って泣いてしまうかもしれません。
最後になりますが、今回を持ちまして「憑依系女子 夢野映子の1日」の連載を終了させていただく運びとなりました。映子の“映画を観ると登場人物が憑依してしまう”という部分はフィクションですが、私は映画を観るとしばらく余韻が抜けずに色々と妄想をしてしまいます。そんな私の妄想を、このような形で連載できたことは本当に楽しかったです。
2年間どうもありがとうございました。これからもいち映画ファンとして妄想は続けます。
ヤナマリ的見どころ
・バリヤードとのパントマイム対決
・ピカチュウの表情の豊かさ
・人間とポケモンの信頼関係
柳本マリエ プロフィール
17歳で渡米したことをキッカケに人生の歯車が崩れ出す。まったく紳士ではないイギリス人と4年間も付き合ったり、フランス郊外の知らない街で迷子になったり、色んな夢を追いかけていたら絵日記ブロガーになっていました。現在は肩に乗るネコと暮らしています。ブログ「17歳からのイングリッシュ」毎日更新中!