『スター・ウォーズ』スカイウォーカー家の人々:第3回レイア・オーガナの物語
スター・ウォーズ特集
12月20日世界同時公開される最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、これまでの『スター・ウォーズ』サーガを締め括る作品。今回のサブタイトルにちなんで、これまでの全ストーリーを、“正史”とされている映画とテレビシリーズに基づいて、スカイウォーカー家の人々のドラマとして見直してみよう。第3回はルークの双生児の妹、レイアを紹介する。(平沢薫)
※この連載はその人物の生涯を知るために、作品が公開された順ではなく出来事の起きた順で紹介しています。
信念も性格も変わらない“戦うプリンセス”
ただのお姫様ではなく将軍
父アナキン(ヘイデン・クリステンセン)、兄ルーク(マーク・ハミル)と同じ強いフォースの力を持ちながら、ジェダイになることを選択せず、レジスタンスの将軍であることを選び、常に“戦うプリンセス”であり続ける女性、それがレイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)だ。『スター・ウォーズ』で勝気な若いお姫さまとして登場してから、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)との結婚を経て、すでに青年カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)の母親となっている『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』まで、彼女は性格も考え方も行動も、まったく変わっていないように見える。
『スター・ウォーズ エピソードIII/シスの復讐』の最後、ルークと一緒に生まれたばかりの双生児の赤ん坊として登場、彼女はオルデラーンの貴族ベイル・オーガナ(ジミー・スミッツ)夫妻の娘として育てられる。『スター・ウォーズ』で若い女性となって登場するレイアは、銀河帝国の独裁政治に抵抗する反乱軍の一員で、強い信念と勇気と行動力の持ち主。そして、裕福な家庭で可愛がられて育った娘らしく、勝気で怖いもの知らず。ダース・ベイダーの脅しにも屈せず、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』ではタトゥイーンの犯罪者ジャバ・ザ・ハットを自力で倒すという戦闘能力も発揮する。
この“戦うプリンセス”という姿勢は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも変わらない。年月を経て、独裁勢力の名は帝国軍からファースト・オーダーになり、それに抵抗する集団の名は反乱軍からレジスタンスに変わったが、レイアは反乱軍の一員からレジスタンスの一員となって戦い続け、“将軍”と呼ばれる立場になった。
そして、どうやらハン・ソロに対するツンデレな態度は、結婚後もずっと変わらなかったらしい。『スター・ウォーズ』で会ったばかりの頃も「フケツでマヌケなオタンコナス」と呼んでいたが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも「あなたがデススターの戦い以外で役に立ったことがある?」と言いたい放題だ。しかし2人の仲が悪いわけではない。ハンが不在だったことを、レイアが「さみしかったわ」と言うと、ハンが「それが狙いさ」と答える。まるで『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の「愛してるわ」「分かってる」の名ゼリフの頃と同じ相思相愛ぶりなのだ。そういえば、レイアは好みの男性のタイプも変わってない。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』での彼女のお気に入りは、腕はいいが組織の一員としては問題児のポー・ダメロン(オスカー・アイザック)なのだ。
また、レイアの兄ルークへの信頼も変わらない。レイアは、息子ベン(後のカイロ・レン)が心に闇を抱え始めたのを知ったとき、息子をルークに預ける。そして、ルークの指導がうまくいかずに息子が去り、ルークが失踪した後も、決してルークを責めずに信頼し続ける。だから、レイ(デイジー・リドリー)がフォースの力を持っていることを知ったとき、修行のためにルークの元へと送り出すのだ。
さらに、レイアの人民による抵抗運動への信頼も変わっていない。レジスタンスがもはや壊滅寸前となった『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のラストでも、レジスタンスは再建できると信じ、仲間たちに「そのために必要なものは全てそろっている」と宣言する。最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、きっと彼女のこの言葉を証明する何かが起きるのに違いない。
子育てが唯一の弱点?
こうして“戦うプリンセス”であり続けるレイアだが、ただ、子育てだけは思うようにはいかなかった。ベンは、祖父ダース・ベイダーに心酔し、ファースト・オーダーの最高指導者スノーク(アンディ・サーキス)の影響で心に生じた闇を増大させ、ルークの元も離れ、カイロ・レンと名乗りファースト・オーダーと行動を共にするようになる。しかし、レイアと息子の絆は、まだ失われていない。それはカイロが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でレイアの乗る宇宙船を攻撃するべき状況になったときにも、攻撃しなかったことからも明らかだ。果たしてこの絆は、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でのカイロ・レンの行動にどんな影響を及ぼすのだろうか? スカイウォーカー家の母と子のドラマも見逃せない。
<ヴィランズ列伝:ジャバ・ザ・ハット>
ジャバ・ザ・ハット(声:ラリー・ワード)は惑星タトゥイーンの犯罪界を仕切る地元の犯罪組織のボス。借金を返済しないハン・ソロに賞金を掛けて賞金稼ぎたちに追跡させ、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』でソロをカーボン凍結にして壁に飾ったのが彼だ。悪役なのだが、魅力的なキャラクターでもある。何しろ彼は、理不尽なことはしない。ソロを追ったのも彼が借金を返済しないので、そのまま放置していたからだ。そして自分の身の程を知っているから、銀河皇帝のように銀河の支配やジェダイの滅亡といった大それたことを企てたりはしない。自分の欲望には忠実で、ギャンブルや美女たちを周囲に置くのが大好き。
そして、親分肌で他人の技量を評価することができるのも彼の魅力だ。賞金稼ぎに偽装したレイアが強気な取引を申し出たときには「この賞金稼ぎが気に入った。クソ度胸があるうえに、機転もきく」と評価して、楽しそうに笑うのだ。
ジャバは『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』でレイアに倒されてしまうが、『スター・ウォーズ エピソードII/クローンの攻撃』と『スター・ウォーズ エピソードIII/シスの復讐』の間を描くアニメシリーズ「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」にも登場。ここでも彼らしい魅力を発揮してくれる。