【完全ネタバレ】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、ココを知ってるともっと楽しい!
大ヒット中の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』をはじめとするMCU映画に関する小ネタが山盛り! 過去のスパイダーマン映画と原作コミックへのリスペクトも満載だ!
※本記事はネタバレを含みます。映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』及び『アベンジャーズ』シリーズ鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』『アイアンマン』シリーズに直結!
本作の時間軸は『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストに直結。ピーター・パーカーの通う高校の校内放送が、アイアンマンをはじめ、今は亡きアベンジャーズの面々を追悼するところから始まる。サノスの指パッチンで消えた生徒たちが、5年後の世界に戻ってきた瞬間の光景も見られる。
どこに行ってもトニー・スターク追悼の壁画や献花があり、ピーターは記者たちから「アベンジャーズはあなたが引き継ぐのか」と聞かれる。ピーターの部屋で“充電中”の表示が出ているアイアン・スパイダー・スーツは、『エンドゲーム』で着ていたもの。本作では、まさに『エンドゲーム』の続きが描かれるのだ。
振り返れば、もともとこのシリーズは『アイアンマン』シリーズと関係が深い。スパイダーマンは、アイアンマンことトニー・スタークからの誘いをうけて、自分の単独映画よりも前に『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場。また、これまで重要人物だったベン叔父さんは死去していて、ピーターを導くのはトニーだった。
そのトニーのボディガード、ハッピー・ホーガンが登場するのも『アイアンマン』シリーズ3作品と『アベンジャーズ/エンドゲーム』とこのシリーズだけ。トニーがいない今回は、ハッピーがピーターに協力していく。ハッピー役のジョン・ファブローは、MCUフェーズ1の1作目である『アイアンマン』を大ヒットさせた監督でもあり、フェーズ3最終作となる本作で、彼が活躍するのも感慨深い。
そのうえ、本作は敵も『アイアンマン』シリーズ直結。ミステリオことクエンティン・ベックと彼の協力者は、トニーが社長を務めるスターク・インダストリーズの元社員。ベックが発明した技術は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でトニーが説明したB.A.R.F.システムに使われていた。
また、ベックの右腕である科学者ウィリアム・ギンター・リーヴァ(William Ginter Riva)は『アイアンマン』に登場。会社を乗っ取ろうとする悪役からアーク・リアクターの製造を命じられるが出来ず、「トニーは洞窟でスクラップから作ったんだぞ!」と叱責され「私はトニー・スタークじゃありません」と泣き言を放ったあの科学者だ。
また本作では、ピーターが自分でスーツを製造するシーンが『アイアンマン』シリーズでトニーがスーツを製造する場面にそっくり。ハッピーが「音楽は任せろ」と言って『アイアンマン』の定番曲であるAC/DCの「Back in Black」をかけることで、そっくり感が倍増。曲を聞いたピーターが「僕も(レッド・)ツェッペリンは好きさ」と間違えるというオマケも付いている。
これまでのスパイダーマン映画&原作コミックをリスペクト!
まず、コミックでも映画でもスパイダーマンを悪者として扱ってきた、新聞社デイリー・ビューグルの社長J・ジョナ・ジェイムソンが登場。サム・ライミ監督版のシリーズでこのキャラに扮したJ・K・シモンズが演じているのが嬉しい。このキャラは、映画『アメイジング・スパイダーマン』シリーズには登場しなかった。ちなみにシモンズは、「アベンジャーズ」「スパイダーマン」のテレビアニメシリーズでも同キャラの声を担当していた。
また、ミステリオの設定は原作コミックを踏まえつつ、現代的にアレンジしたもの。コミックではVFXマン出身で幻影を作り出すのが得意。新聞記事を使ってスパイダーマンを悪者にしようとする話や、自分の死を偽装するエピソードもあるのだ。
そして、ミステリオの「自分は別の宇宙、アース833から来た」とセリフは、マーベル・コミックの“マルチバース(多次元宇宙)”を意識したもの。マーベル・コミックの各ヒーローは、それぞれ別次元の宇宙で活躍しているという設定で、それぞれの宇宙は“アース+数字”で呼ばれる。例えば、原作コミックの正史宇宙はアース616 、MCUの宇宙はアース199999。ミステリオのセリフに出たアース833は、コミックスでスパイダーUKというスパイダーマンが活躍する宇宙。本作の予告編にこのミステリオのセリフが登場したことで、今後は映画も“マルチバース”になるのかと噂になったが、本編でこの言葉はミステリオのウソだったと判明。映画がこの設定を取り入れたわけではないようだ。
他にもオマージュはたっぷり。ピーターの旅行カバンのイニシャル「BFP」は故ベン叔父さんのイニシャル、ベニス通りの名前にはコミックライターの名前が続々など数え切れない。エンドクレジットの献辞にスタン・リーだけでなく、2018年に死去したもう一人のスパイダーマンの生みの親、スティーヴ・ディッコの名が記されているところにも原作への敬意が溢れている。
今後のMCUにつながるヒントも!?
1つ目のポストクレジットシーンで、すでに事件が発生。続編ではこの事件が描かれるに違いないが、それ以外にも次回作や今後のMCUにつながるヒントがあるかもしれない。
まず、悪役については、原作コミックに登場するヴィランたちで結成されたチーム“シニスター・シックス”が登場するのではないかとの噂が。チームの初期メンバーは、すでに過去の『スパイダーマン』映画でも登場しているドクター・オクトパス、サンドマン、エレクトロ、ヴァルチャー、ミステリオ、そして映画未登場のクレイヴン・ザ・ハンター。そこで、次はこの未登場キャラが出るとの噂がある。また、前作に登場したヴァルチャーとスコーピオンが再登場するとの噂も根強い。
そして、今回登場したニック・フューリーの部下の一人ディミトリが、実はドミトリ・スメルダコフことカメレオンなのではないかとの噂も。カメレオンは、1963年の原作コミック「ジ・アメイジング・スパイダーマン(原題) / The Amazing Spider-Man」第1巻に登場したヴィラン。2010年のコミックではシニスター・シックスの一員になっているが、さて。
さらに怪しいのは、ニック・フューリーの行動。2つ目のポストクレジットシーンで、本作のフューリーとマリア・ヒルは、『キャプテン・マーベル』に登場したスクラル人タロスと妻ソレンが化けた姿だったことが判明。本物のフューリーはスクラル人の宇宙船にいたことが明らかになるが、彼はそこで何をしているのか。フューリーの行動が今後のMCU作品に関係する? まだまだMCUから目が離せない。(平沢薫)