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新海監督の新作『天気の子』はどんな映画?注目ポイントまとめ

天気の子
7月19日公開! - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 7月19日に公開が迫った新海誠監督の3年ぶりの新作『天気の子』。原作・脚本は新海誠、音楽はRADWIMPS、キャラクターデザインは田中将賀、企画・プロデュースは川村元気最終興行成績が250億円を超えた前作『君の名は。』の座組を引き継いでおり、注目度は非常に高い。一方、試写を一度も行っていないため、公開前に明かされている情報は非常に限られている。

 ここでは、これまでの情報を整理しつつ、注目ポイントとともに『天気の子』がどんな映画かを考えてみたい。(大山くまお)

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「東京」の物語

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本作では東京がポイントに!? - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 『天気の子』の公式サイトでは、「天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を『選択』するストーリー」と説明されている。主人公は故郷の離島から家出してきた少年・帆高で、ヒロインは、祈るだけで空を晴れにする力を持つ少女・陽菜。二人が偶然出会って、ともに運命に立ち向かっていく。新海誠監督が得意とするファンタジックな「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語である。

 物語のポイントの一つは「東京」だ。公開された“スペシャル予報“と題された映像には「雨が降り止まない東京で二人は出逢った……」というフレーズが登場する。新海監督も「帆高が東京に来て、東京と同時に陽菜を発見していく話」と語っていた。東京の風景は『君の名は。』でも描かれてきたが、『天気の子』では主人公の帆高が憧れ、陽菜と出会い、ともに生活する場所として東京の様子がより緻密に描かれるはずだ。

天気の子
綺麗だな~ - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 『天気の子』での東京は、『君の名は。』のようなきれいな部分だけではなく、かなり俗っぽいダーティな部分が描かれると予想される。実際、公開された“スペシャル予報“には、新宿歌舞伎町の入口にあるまんが喫茶や歌舞伎町の奥まった場所にある雑居ビルなどが登場する。また、帆高が雇われる編集プロダクションも現代的なオフィスビルなどではなく、薄汚れたビルの一室にある(「バイトル」のタイアップCMではライターのような仕事をしたり、トイレ掃除をしたりしている帆高が映し出される。また、都バスとのタイアップも発表されている)。どのような東京の姿が描かれるのか楽しみだ。

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フレッシュな出演者たちの魅力

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醍醐虎汰朗が声を担当した主人公の少年・帆高 - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 劇場アニメの話題作、大作といえば、有名俳優やタレントによる吹き替えがすでに定番となっているが、『天気の子』では大々的なオーディションによって帆高役の醍醐虎汰朗と陽菜役の森七菜を抜てきした。両者ともけっして知名度が高いとは言えない若手俳優である。

 『君の名は。』で大ヒットを飛ばした新海誠作品のプロモーションは、もはや主役の知名度に頼らなくてもいいという判断があったのかもしれない。だが、それよりも製作陣は登場人物の年齢と極めて近い演者のフレッシュな魅力に賭けたのではないだろうか。

 あらためて2人のプロフィールを見てみよう。帆高役の醍醐虎汰朗は2000年生まれ。16歳のときに舞台「弱虫ペダル」の小野田坂道役でデビュー。極限まで体力を使うという「ペダステ」の主役を務めた後、ドラマ「先に生まれただけの僕」など、いくつかの映像作品への出演を経て、『天気の子』の主役を射止めた。まっすぐな視線が印象的な俳優である。

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ヒロインの陽菜 - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 陽菜役の森七菜は2001年生まれ。園子温監督のドラマ「東京ヴァンパイアホテル」などに出演し、「先に生まれただけの僕」では醍醐とクラスメートだった。『天気の子』と同じく川村元気がプロデューサーを務める2020年公開予定の岩井俊二監督の映画『Last Letter』では、松たか子演じる主人公・裕里の娘役と裕里の高校生時代の二役を務める。人をとらえて離さない天真爛漫(てんしんらんまん)な魅力が持ち味だ。

 新海監督は醍醐に対して「帆高は醍醐くんだし、醍醐くんが帆高なのだから」と声をかけており、森を抜てきした理由として「七菜ちゃんは、とらえどころのない女の子で、天気のような子」「聖なる感じがしますね」と語っている。醍醐が持っている一途さは帆高そのものだし、森が持っているピュアネスは陽菜そのものということなのだろう。演者を役に合わせたというより、役に合った演者を選んだとも言える。

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帆高に様々な出会いが訪れる - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 付け加えると、醍醐と森(あるいは帆高と陽菜)のような2000年代前後生まれの人たちは「Z世代」と呼ばれることがある。デジタルネイティブである彼らの特徴は「情報消費の早さ」であり、「自然体を好む」「自分らしさを大切にする」なのだそうだ。スマホやネットを使って東京でサバイバルしつつ、世の中からの圧力に抗って大都市を駆け抜ける帆高と陽菜の姿が見られるのではないだろうか。

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規範から外れていってしまう少年の物語

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これまた綺麗だな~ - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 新海監督が『天気の子』について繰り返し語っていることがある。それは、この作品がエンターテインメント大作でありつつ、いわゆる社会的な“正しさ”を描いている作品ではないということだ。インタビューでは「極端な言い方をすれば、正しくない内容を語ろう、いわゆる賛否の分かれるものを作りたいと思った」とはっきり語っている。

 たとえば、未成年の飲酒は法律に違反している。だから、昨今の映画やドラマでは未成年の飲酒シーンは描かれなくなった。コンプライアンス(法令遵守)の問題ではない。観客や視聴者から批判が寄せられるようになったからだ。同様に、自転車の二人乗りのシーンも描くことができなくなったと映画関係者から聞いたことがある。作中の人物にも強くモラルが求められる時代になったと言えるだろう。

 だが、新海監督は「主人公の男の子は模範的な少年ではなく、世の中の規範から外れていってしまう」と語る。帆高は家出少年である。その時点で「模範的な少年」ではない上に、未成年なのに東京の繁華街を根城にし、さらに「世の中の規範」から外れていく。物語には刑事も登場するが、帆高は追われる立場なのかもしれない。

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7月19日に公開だー! - (C) 2019「天気の子」製作委員会

 新海監督は「正しい人間よりも、正しくあろうと思いながらも規範どおりに行動できず、必死に何かに手を伸ばす人を描く映画」とも語っている。フィクションの登場人物にも「正しい行動」を求められがちな昨今、『天気の子』が何を投げかけてくるのかが楽しみだ。

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