ついに公開!『ONE PIECE STAMPEDE』はどんな映画に?
いよいよ8月9日より『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』の公開がスタートした。本作は尾田栄一郎原作の人気テレビアニメ「ONE PIECE ワンピース」放送20周年記念作であり、前作『ONE PIECE FILM GOLD』から3年ぶりとなる待望の最新作だ。ここではネタバレ一切なしで、見どころを解説してみたい。(大山くまお)
■真夏のオールスター『ONE PIECE』祭り、爆催!
「STAMPEDE(スタンピード)」とは、「群衆が押し寄せること」「動物たちの突進・暴走」、そして「熱狂的行動」という意味を持つ。その名のとおり、『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』は人気キャラクターが総登場するオールスターお祭り映画だ。
キャッチフレーズは「熱狂の渦へ向かえ」「時代の覇権を巡る熱狂、開幕。」「立ち上がれ、全勢力。」。ほかにも「大戦炎上」「世界狂乱の宴を目撃せよ」など、景気のいいフレーズが乱れ飛んでいる。絶対に観客を興奮させてやる、熱狂させてやる、という製作陣の自信の表れだろう。
舞台は「海賊の海賊による海賊のための世界一の祭典、海賊万博」。世界中から海賊たちを集めて、海賊王ゴール・D・ロジャー(津嘉山正種)が遺したお宝を争奪しようというのだ。当然ながらやってくるモンキー・D・ルフィ(田中真弓)たち麦わらの一味。仕掛け人であるブエナ・フェスタ(ユースケ・サンタマリア)のたくらみどおり、おなじみの顔ぶれが次から次へと登場する。
“最悪の世代”と呼ばれるトラファルガー・ロー(神谷浩史)やユースタス・キッド(浪川大輔)、バルトロメオ(森久保祥太郎)、キャベンディッシュ(石田彰)の姿も。さらに海賊たちを一網打尽にしようとするスモーカー(大場真人)たちによる海軍の内偵調査が進む中、元ロジャー海賊団の“鬼”の跡目ダグラス・バレット(磯部勉)が乱入! ルフィたちの前に立ちふさがる。
ほかにも大将・“藤虎”イッショウ(沢木郁也)、“黄猿”ボルサリーノ(置鮎龍太郎)、王下七武海“海賊女帝”ボア・ハンコック(三石琴乃)、“世界最強の剣士”ジュラキール・ミホーク(掛川裕彦)が登場。
そこへ元王下七武海クロコダイル(大友龍三郎)、革命軍参謀総長サボ(古谷徹)、CP-0ロブ・ルッチ(関智一)までが参戦する! 道化のバギー(千葉繁)、アルビダ(松岡洋子)、Mr.3(檜山修之)、ワポル(島田敏)、たしぎ(野田順子)も登場するぞ。
最強最悪の敵の前に、海賊、王下七武海、海軍、革命軍、CP-0がまさかの共同戦線を張って戦うという、どこからどう見てもオールスター映画だ。登場キャラクターはその数200! 絵を描く人たちも大変だったと思うが、声優さんたちが勢揃いした様もさぞかし壮観だったろう。20年という歴史の重みを感じるなぁ。
■魅力的なオリジナルキャラクターたち
しかし、彼らと戦う敵役がしっかりしていなければ、オールスターもただの顔見せにすぎない。ある意味、劇場版ではオリジナルキャラクターの悪役が映画のカギを握っていると言っていい。
ルフィたちオールスターの前に立ちはだかるのが、ロジャー海賊団の元船員、ダグラス・バレットだ。海底大監獄インペルダウンLEVEL6から脱走した男であり、国家戦力級の力を持つ“最強最悪の男”だ。まわりの鉄や武器など、あらゆるものを合体・変形させる「ガシャガシャの実」の能力者である。演じるのは超ベテラン俳優で、ハリソン・フォードのフィックス声優としても知られる磯部勉。
もうひとり、物語の鍵を握っているのが「海賊万博」の仕掛け人であり「最悪の戦争仕掛人」でもあるブエナ・フェスタという男。ひょうきんな顔をしているが、コイツが何をたくらんでいるのか注目したい。演じるのは、最近ドラマでも敵か味方かわからない役で魅了するユースケ・サンタマリア。
海賊万博の司会を務めるのは義手義足の男、ドナルド・モデラート(山里亮太)とそばかすが特徴の歌姫アン(指原莉乃)。ゲスト声優も旬な人選だ。人気の7人組YouTuberフィッシャーズが声を務めるフィッシャーズ海賊団も登場する。
■新たな次元へ突入する劇場版『ONE PIECE』
『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』までに13作が公開された劇場版『ONE PIECE』は、中編が中心だった「東映アニメフェア」期、原作の人気エピソードを映画化したり、意欲的なストーリーに取り組んだりした「THE MOVIE」期、そしてド派手なエンターテインメントを志向した「FILM」期の3つに分けることができる。
しかし、14作目にあたる『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』は「THE MOVIE」も名乗っていないし、「FILM」の刻印も押されていない。それだけ特別な作品ということだろう。
設定やストーリーを見る限り、『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』はド派手な「FILM」期の作品に近い印象を与える。だが、そこで安易に大ヒットを重ねてきた「FILM」を名乗らなかったことに、製作陣の強い意志を感じる。ここから新しい『ONE PIECE』の歴史を作る。そのためのうるさすぎる号砲、華々しい打ち上げ花火がこの作品なのだ。
「とうとうやっちゃったオールスター映画…!! ヤベェのできてます!!」「20周年という名目がなければぼくはこんな映画やらせません。だって面白いに決まってんじゃん!!」と本作で監修も務める尾田栄一郎もエキサイトする『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』。まずは細かいことは考えず、熱狂の渦にダイブしよう!